不完全燃焼
この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。
後日談は、省略する。割愛ではなく、省略。
色々あったが、省略する。
なぜならば、きわめて事務的であり、説明的であり、至極退屈な話だからだ。ただの発表会に、何の意味があるのか。月例の工程会議が、しばしば陥る状態だ。互いに持ち寄った工程表の発表会。吟味して、調整して、折り合いをつけて、という打合せは、現場に丸投げして、ただただ、発表するだけ。なんの益にもならない。体裁の為の会議。
くそくらえだ。
海外の有名な大学で、著名な教授がおこなった講義が話題となり、書籍化された。読んでみると面白かった。しかしその本は、講義内容を抜粋して、編集されたものだった。後発で、完全版が出版されたと聞きつけ、読んだ。挫折した。なるほど、我々のような凡人からすれば、面白い部分を抽出して編集された本の方が、合う。
なんだかんだと取り繕ったところで、つまりは、省略の正当化である。
ただ、時々、遊びに行きたい、という兄の意見を尊重したことは、報告しておく。よほど、楽しかったのだろう。
実働で3日から5日かな、と想定していたから、少し余裕を持って終わらせることができた。これが仕事だとして、竣工書類が必要ないなんて、こんな気楽な竣工はない。
いい判断だった。
そう、何もかもをやる必要はない。冷静に考えて、そこまでする義理もない。あれもこれもと、手を出してどうする。口を出し、手を出せば、最後まで面倒を見なければならなくなる。
全部は、やらなくていい。川島は、完全主義、完璧主義ではない。
経験はないか。
攻略本を見ただけで、ゲームを攻略した気になったことはないか。人は、誰しも、コレクターの側面を持っている。コンプリート欲が出て、遊びが作業になることはないか。あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ。あれをやる為には、これをこうして、これをやる為には、あれをこうして。熱中している時は、楽しいかもしれない。それ自体に、楽しみを見い出せる好き者は、大勢いるだろう。
川島は、違う。
ゲームをする上で、効率よく、有利に進めたいという気持ちで、攻略本を読んだり、攻略サイトを見るが、それで本当に、ゲームを楽しめているのだろうか、という自問自答に陥る。やはり、初見は頼らず、行き詰まってから、頼るのがいい。
先輩の言葉を思い出す。
一人前になる道は、効率のいい一本道ではない。
閑話休題。
話が逸れて、着地点が離れた。
とにもかくにも、川島は、無事に、帰ってきた。
残りの休日を満喫し、さあ、改めて、次の現場に向かおうという心持ちでいる。
しかし、待て。いつもなら、次の現場は、前の現場が終わりかける頃には、もう決まっているものだ。今回は珍しく、何も決まっていなかった。
どこに行かされるんだ?
小さな疑問を持ったまま、川島は、残りの休日を過ごした。




