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川島式直接排除型除霊工法  作者: いけたらいく
§2.異世界出張
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かわはら

この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。


川島は、ひとりで飲み歩くことが多かった。


川島の経験上、田舎の飲食店で、インターネットの星の数は、あてにならない。当たっていることもあるが、外れが多い。だから、自分の直感を頼りに、一見で店に飛び込みで入ったりする。しかし、川島の直感も、インターネットと大差ない。当たったり、外れたり。ただ、自分で決めたからには、当たり外れの責任は自分にある、という部分で、納得している。


秋も深まった、ある夜。いつもの通りを外れて、違う通りの店を攻めた。


3階か、4階建ての白いビルだった。ビルに、ちいさな看板がひとつ。ぼんやりと灯りがともった白い看板に縦書きで、かわはら、の黒い文字。


「ふぅん。」


飯も食わずにバーを2軒はしごして、ほろ酔いの川島は、なんかいいな、と思って、誘われるようにビルに入った。目隠しの壁をすり抜けてからの、暖簾のかかった格子戸までの少し長いアプローチは、敷き詰められた玉砂利に、飛び石。


あ、高い店だ。


そこで怖気づくような酒量ではなかった。


ふらっと、ひとり、飛び込んだ。


「いらっしゃいませ。」


と歓迎されたものの、少し怪訝な表情の女将さん。


カウンター席は、空いている。


「ひとりですけど、いいですか?」


どうぞ、とカウンターに案内されて、ビールありますか、と早速、駆け付け1杯。


メニューが見当たらない。壁に短冊も掛かっていない。


ああ、本当に、高い店だ。


カードがあるし、と川島に不安はない。


何をどう頼んだものかと、お通しをつまみにビールを飲んでいると、女将が話しかけてきた。


女将が言うには、このビル全てがお店で、1階はカウンターとテーブル席、2階から上は座敷になっていて、最大50名様の宴会ができるとかなんとか。


へぇ、と興味なさげに聞いていると、女将は話を止めて、困ったように調理場の大将を見た。


後に、川島は、時期が時期だったから、自分が、()()()()()()()()()()()()()()()()、だと思われていたのではないか、という推論に至る。


さておき、女将のSOSを受けた大将は、改めて川島に、はっきり問うた。


「もしかして、あんた、飛び込みかい?」


そうだよ、と頷いて、ビールを一口。


大将は豪放に笑って、


「そうか、そうか、あんた飛び込みか。」


愉快そうにまた笑って、


「白子、焼いちゃろか?」


と言うので、


「もらう。」


と答えた。この白子の美味しさを超える白子に、川島はまだ出会っていない。


それから、川島が注文せずとも、大将が見計らって、あれを飲めこれを食え、ともてなされた。後から、何組かの常連らしき年配のおじさんがやってくる度に、


「こいつ、うちの飛び込み。」


と川島を紹介し、川島も、


「かわはらの飛び込みです。」


と自己紹介をした。


なぜか大将に気に入られた川島は、それからちょくちょく、かわはらに寄るようになった。


かわはらの()()は、()()()()ではなく、()()()()だから、お揃いだ、と言い合う仲になった頃。かわはらのカウンターで、焼き魚が出てくるのを待っていると、常連客がひとり、川島の隣に座った。

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