↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
川島式直接排除型除霊工法  作者: いけたらいく
§2.異世界出張
52/246

生真面目なサイモンと気弱なハリス

この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。


治安維持の為に、町ごとに編成されるルバルフドラードは、古代語で、悪事に備える、という意味を持つ。司法と行政を預かる警察組織のようなものである、というと、小難しい説明を持ってこなければならないが、かつてのテレビ時代劇でいうところの南町奉行所とか、北町奉行所。西部劇なら、保安官事務所。近年では、時代劇も西部劇も下火になっているから、代わりの例えは何か、となるが、これまた、いい例えがない。だが自警団ではない、念の為。


とにかく、警察に毛が生えたようなものだ。


町の人間は、ルバルフドラードなどと、長ったらしい名前で呼んではいない。門番もルバルフドラードの仕事のひとつだが、主な仕事はパトロールだ。町を巡回している姿をよく見かけるので、「おまわりさん」とか「おまわり」なんて呼ばれている。そもそも正式名称をまともに覚えている者は、ほぼいない。かしこまった何かしらの手続きをする際に、そういえば、おまわりさんとこの、あれ、なんつったっけ、という程度の認識だ。単純に警備隊とか、もっと分かりやすい名前を付けておけばいいのに、とよく言われる。


サイモンも、おまわりさんになる試験を受けた時に、はじめて正式名称を知った。


森へ行く道すがら、そんな話をすると、川島は、丸末の小椋のことを思い出し、


「あー、それ、なんかわかるわ。」


と笑った。そして、


「こっちも、おまわりさんって言うんだな。いや、そう変換されて聞こえているだけなのか。」


ぼそぼそと何やら独り言をつぶやいていた。


川島をはじめて近くで見た時は、大袈裟ではなく、心臓を鷲掴みされるほど驚いた。相棒のハリスは、臆病な奴だから、もしかして気絶したんじゃないか、と思ったくらいだ。


この辺の人間とは、顔立ちが少し違う。はっきりいうと、とても恐ろしい顔立ちをしている。行ったことはないが、旅の詩人がうたう物語では、遠く遠く、海の向こうに、姿かたちは似ているが、どこか違った人々が暮らしているという。おそらく、それくらい遠い所からきたのだろう。


魔術師様にお願いされた時は、なんで俺がそんなことを、と目の前が真っ暗になったが、都のように、盗賊がよく出る土地じゃない。昨今噂の幽鬼が怖くないわけではないが、


「盗賊が出ないのなら、怖いものはない。」


と川島が言い切った。何の根拠もないようだが、妙に自信に満ち溢れていた。


何だか、大丈夫な気がして、同行を了解してしまった。ハリスは、自分は関係のないような顔をしていたが、魔術師様に、ふたりで、と言われて飛び上がって驚いていたが、こうして一緒に、森に向かっている。


もし、と川島が、


「もし、盗賊が出たとしても、君たちが何とかするのだろう?」


と言うと、ハンスが


「大丈夫ですよ、カワシマ殿。サイモンは、都の訓練所で一番だったのですから。」


と答えた。


「いや、話を大きくし過ぎだハリス。」


窘めるが、


「心強いな。」


川島は、笑っていた。橋を渡る頃には、ハリスも川島に慣れて、打ち解けていた。


「しかしなぜ、馴染みのない古代語で名付けたんだろうな。」


誰に言うでもなく、川島が呟いた。


「名付けた偉いさんが、考古学が好きだったとか、なんとか。」


ああ、なるほど、と川島は合点した。川島の所属する会社は、大きなグループに所属する建設会社だ。建設会社を創立する際に、グループの偉い人が、ディスティネーション、という言葉が大好きで、どうしても社名に入れたいと言ってきかなかった、という逸話(エピソード)がある。


どこにでも、そういう奴はいるんだな。


月明りと角灯を頼りに、3人は、暗い夜道を進む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。