幽鬼王の復活
この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。
東の空が白みはじめたころに、川島少年は、目を覚ました。
あたりの薄暗さに、まだ寝ていい時間だな、と判断した。一度体勢を変えて、二度寝しようと、寝返りを打ったら、枕元に、2人の小人が立っていた。2人の小人は、川島少年と目が合うと、頭を下げて、助けてください、と言った。
川島少年は、夢だな、と思った。自分はまだ寝ているのか、じゃあ二度寝をする必要はないな、と考えていた。
小人たちは、ずっと川島少年に頭を下げ続けていた。
「助けてください。お願いします。」
繰り返し繰り返し、助けを求め続けてきた。
その反復される言葉が、徐々に川島少年の眠気を誘い始めた。おかしいな、夢を見ているということは、寝ているということ。夢の中で眠くなるのは、どういうわけだろう。ああ、考えるのも面倒だ。眠い。
「助けてください。助けてください。お願いですから助けてください。」
何度も何度も頭を下げて、2人の小人は助けを求め続けていたが、
眠気に耐えられなくなった川島少年は、寝返りを打って、小人たちに背を向けて、
「眠いからイヤだ。」
無碍に断って、すやすやと寝てしまった。
「あの時、助けをお願いしに来た者です。」
年老いた小人が、川島に深々と頭を下げた。
ああ、あの時の小人か。こいつら、実在したのか。いや、もしあの時、目が覚めて、助けに応じていたら、どうなっていたんだ?まだ6つか7つの子どもに、こいつらは、何をお願いしようとしていたんだ。6つか7つなんて、世間知らずどころじゃないぞ。そんな年端もいかない子どもに、何をさせようとしていたんだ。そして、40年近く経った今になって、なぜまたやってきたのだ。
よく考えよう。はじめていいものか、はじめてはダメなものか。そして気を付けよう。知らぬ間に、はじまってしまわないように。
「あの時の小人が、なぜまたやってきたんだ?」
シンプルな質問を投げかけた。
「実は、幽鬼王が、また甦ったのです。」
何言ってんだこいつ。ああそうか、何もこいつらのことを、深く考える必要はない。さっさと捕まえて、トンネルの中に放り込んでしまえばいいんだ。いい大人が、幽鬼王なんて言葉に引っかかるわけがなかろう。いや、そういう奴もいるか。谷村のことを思い出した。
「カワシマ殿。またよくない目で、私たちを見ていますね。」
いちいち心を読む奴だ。
「私たちが、またやってきたのは、カワシマ殿が、今は、むしろ以前にお会いした頃よりもずっと、私たちの存在を信じられるようになっているはずだからです。」
ああ、こいつらは、本当に、話しかけてくるようになった奴なんだな。




