小さな訪問者
この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。
休みの前は、あれをしようかな、これをしようかな、などと少しは計画したが、結局、この体たらく。特に何をするでもなく、怠惰に過ごしていた。
そんな生活の所為か、昼寝をし過ぎて、その夜は、寝つきが悪かった。しかし、明日も休みだ。眠らなければ、という焦りはない。時計の音が聞こえる。秒針が、カチ、カチ、と時を刻む音が聞こえる。
カチ、カチ、カチ、カチ、カッ…
止まった。電池切れか。替えの電池のストックは、食器棚の一番右端の引き出しの中だったな。取りに行くのが面倒だ。どうせ、今は(後もう数日間だが)、時間に縛られているわけではないから、そのままにしておいてもいいか。
と、寝返りを打って反対側を向くと、
「こんばんは。」
小人が居た。民族衣装のような格好をした小人が2人。
いつの間にか眠ってしまっていたんだな。
「こんばんは。」
もう一度寝返りを打って元の向きに戻ろうとした。
「待ってください。」
引きとめられた。
「なんだよ。」
機嫌悪く答えると、年老いた小人が前に進み出て、丁寧に、後ろに控える若者と揃って、お辞儀をした。
「カワシマ殿、お久しぶりです。あの時、助けてもらえなかった、アスマールのサクウです。」
何を言っているんだ、こいつは。助けてもらえなかった?心当たりがない。ああ、こいつらが、話しかけてくる奴らか。捕まえて、トンネルの中に放り込んでやろう。
「カワシマ殿。よくない目で私たちを見ていますね。」
機先を制するように、手のひらを見せた。
うーん。警戒されているとなると、捕まえにくいな。合掌に処す為に、蚊の動きを見て、その隙を窺うように、川島は、小人を注視した。
「実は、今度こそ助けていただきたく、再びやってまいりました。カワシマ殿、お願いですから、助けてください。」
「お願いします。助けてください。」
後ろの若い小人も、続いて頭を下げた。
考える余地はない。だから、こう答える。
「眠いk「眠いからイヤだ。」
「!?」
言おうとしたことを、かぶせ気味に、言われてしまった。
「以前、そう言って、お断りになられましたね。ですから、今回は様子を見て、十分睡眠を取られていることを確認してから、お伺いしました。」
ん?
「あ!」
思い出した。
小さい頃、念願だった、とまでは言わないが、欲しいなあと思っていた自分の部屋をあてがわれて、親と一緒ではなく、ひとりで寝るようになった頃の話だ。




