神隠し
この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。
喪中に、神棚を白い紙や白い布などで覆い隠すことを神隠しというが、世間一般に浸透している神隠しは、行方不明のことではなかろうか。
ある日、突然、何の前触れもなく、忽然と消え失せる。
それらの行方不明、失踪の総てを神隠しなどと呼んだりしているが、神隠しというからには、神様の仕業である。本来ならば、限定的な使用であるはずなのだが、総称として扱われているわけだ。いちいち訂正されることも少なく、現代に至る。
もともとの神隠しとはどういうものか。
神域で消息を絶つことであろう。
神域とは、つまり常世、幽世。人の世界ではない。人が生きる世界は、現世。
幽世と現世。隔てるのは縄張り、注連縄。
幽世に迷い込み、あるいは入り込み、神に隠される。ゆえに神隠し。
神域たる幽世に、どうやって入り込むのか、迷い込むのか。総てにおいて、ここから先は神域だぞ、と注連縄などではっきりとわかるようにしてくれているわけではない。
何かの拍子で入り込み、迷い込む。
例えば、猫がにゃーと鳴いたりした拍子に。
神隠しの神も、恭しく社へ祀られておられるような、列記とした神様だけとは限らない。この国では、貧乏神や付喪神だって、神と呼ばれる。百鬼夜行でぞろぞろと歩く妖怪たちも、神の側面に過ぎないのかも知れない。
神様や神域は、そこかしこに点在し、ある日突然、チャンネルが合ったものを連れ込んでしまう。
偶然か必然か。故意か過失か。未必の故意か。
などと、考察したところで、虎穴に入らずんば虎子を得ず。
今、抱えている案件は二つ。
「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な・て・ん・の・か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り…」
ここから先のバリエーションは、多岐にわたる。もしかすると、最小単位は個人。
「か・き・の・た・ね・を・ぐ・る・ぐ・る・さ・ん・か・い・ま・わ・せ・ば・い・い・1・2・3!」
決まった。




