↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
川島式直接排除型除霊工法  作者: いけたらいく
§1.工法成立
14/246

川島の怪談話

この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。


「そういう川島君の怖い話はないのか?」


絵島は、自分が持っている怖い話をひとつ、ふたつ披露して、川島に尋ねた。


ある。誰でもひとつは怖い話を持っている、という持論は、自分も持っているからそう思っているのだ。川島の怪談にタイトルをつけると『新盆』『カーテン』『コンビニ』『深夜の県道』『夢の中の彼女』の5本。結構、持っている。川島は、おそらく一般の人々よりも、比較的体験をしている方だった。本人は、完全に見たたわけではないし、そもそも現実的に考えると辻褄が合わない、()()()()()()()()から、と体験そのものは起こったことだから認めているが、それが心霊体験であるとは認めていない。信じる信じないで言えば信じていない。起こったことすら、自分で疑っているくらいだ。しかし、怪談が好きなこともあって、不思議な話として、()()()()()()()()()()


怖い話を持っていないか、と聞くと、こうして聞き返されるパターンもある。そっちは持っていないのか、と。だから用意している。持っている5本中4本は短い。その短い話のどれかを披露する。どれにするかは、気分で決めている。今回は、『深夜の県道』を選んだ。


こういう仕事をしていると、たまに夜勤や休日出勤がある。休日出勤に関しては、たまにではないが、その愚痴を語るとあまりにも逸脱するから、割愛する。


夜勤や休日出勤がある理由のひとつとして、夜中や休日でないとできない工事があるから、というのは、すぐ想像がつくだろう。例えば店舗改修。規模の大小により、店舗の休日に合わせたり、閉店から開店の間に合わせて、工事をおこなう。その店舗の休日が平日に設定されていればいいが、土曜や、日曜日。土曜はもう慣れたものだが、日曜日を犠牲にしなくてはならないのは辛い。


その工事は、閉店20時から開店9時までの小規模な改修だった。確か、喫茶店のヤニで真っ黄色になった天井ボードを、ヤニ止めシーラーを1発入れて、真っ白に塗装する工事だったと記憶するが、それが壁の貼り換えだったとして、本編に何の影響もない。


その日は、作業員の手も多めに取れて、立会の店員さん含めて、全員が次の日の昼間にも仕事があることがわかり、じゃあ手早く終わらせようと、みんなで一致団結して、フライング気味にスタートした。深夜1時には掃除片付けして、早々に解散することができた。そこで解散できたということは、塗装ではなく、壁紙貼替だったのかも知れない。塗装なら、立会の店員と2人、シンナーの臭いが気にならなくなるまで、換気して見張っていなければならないからだ。前述の通り、そんなことはどうでもいいのだが。


現場からの帰り道。県道を眠気覚ましのガムを噛みながら、愛車を走らせていた。トンネルに入ったくらいで、ラジオの受信が悪くなり、トンネルを抜けて海沿いの道になっても電波は悪いままだったので、ラジオを切った。


有名な、こういう話だから誤解されそうなので付け足すと、霊験あらたかなことで有名な、パワースポットとして有名な、神社の横を過ぎて、信号が黄色く点滅している交差点を徐行で抜け、再びアクセルを踏み込んでスピードに乗った時だ。


コンコン。


車の窓を2回ノックされた。


「うぉっ!」


思わず声を上げた。全身の毛穴が開いた。少しの沈黙の後、追い打ちがこないように、人気のない真っ暗な県道をひたすら大声を上げて突っ切った。やがて、人家がポツリポツリと見え出して、街灯も増えて、一息ついた。


あー、あそこの交差点か。川島の話で、絵島は、交差点を特定したようだった。


「それ、何年前の話?」


「えーと、高速バス乗り場を手伝ってた頃だから、3年前くらいかな。」


「じゃあ、若い奴らが車でぐちゃぐちゃになった事故があったのと同じくらいの時期か。」


絵島が嫌なことを言った。


その連中はな、と休憩時間が残り5分もないというのに、絵島の3本目の怪談が始まってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。