表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンタジーな世界に転生したのに魔法が使えません  作者: 花が咲く
第5章<恋敵オリヴィア様>
43/87

11、庭園

 離宮から帰る時、セイフィード様は、私の腕輪に魔力付与をしてくれ、そのおかげで私は、学校にも行けるようになり、ようやく穏やかな日常生活を取り戻した。


私と第二王子が浮気したとう噂は、知らない間に下火になっていた。

その代わり、オリヴィア様の噂で、もちきりだった。

その噂というのは、オリヴィア様は、旅芸人と恋仲になったが、その恋に反対したお父様をオリヴィア様が殺してしまった、というものだった。


事実は、オリヴィア様は、シャーロットを殺そうとした主犯格として捕まっている。

オリヴィア様のお父様は、第二王子と騎士がお屋敷に乗り込んだ時には、もう無残にも殺されていた。

オリヴィア様のお父様を殺したのは、恐らく⋯⋯⋯魔法陣学助手のジークさん(本名は、ウォーレン・ヘルトさん)だろうと、第二王子は推測している。

オリヴィア様のお父様は、やはり奴隷売買に関わっていたらしく、その証拠もお屋敷から出てきたとのことだった。


その件で、セイフィード様は、第二王子に何度も呼び出されて忙しそうにしていたが、数週間経ち、だいぶ落ち着いてきた頃、私達の婚約を祝した晩餐会が催されることになった。

その晩餐会は、私がお世話になっているコルベーナ家のお屋敷で開催される。


 晩餐会当日、私はその準備で大忙しだった。

本当は、ケーキを作りたかったけど、そんな時間はなく⋯⋯、自分自身の身支度をするので精一杯。

今日は、セイフィード様から頂いた藤の刺繍が豪華に施されたイブニングドレスを着て、自分で化粧をしてみた。

私がそのドレス姿を鏡で見たとき、自分自身に惚れ込んでしまった。


くぅーーーー、私、可愛すぎっ。

このドレス、揺らすとなんか、夜空の星々の瞬きのように光るし、はわわ~、うっとりしちゃう。


「うんちゃっちゃ~、うんちゃっちゃ~、ぱらりら~」


機嫌良く私が歌っていると、シャーロットが私の部屋に現れた。


「うふふ。アンナご機嫌ね。セイフィード様達がもう、お見えになる頃だから大広間に行きましょう」


私は、以前、セイフィード様に頂いたネックレスを身につけ、大急ぎで大広間に足を運んだ。


「今日のアンナは、まるで美の女神、ラー神のようだね。とても素敵だよ」


ゾフィー兄様が、オーバーリアクションをしながら私を()(たた)えてくれた。

少し、いやかなり恥ずかしいけど、やっぱり嬉しい。

エレナ様も、侯爵夫人も、私を褒めてくれたけど、コルベーナ侯爵だけは、そわそわし、落ち着きがない。

どうやら、今日の晩餐会に第二王子も招待していて、そのせいで、コルベーナ侯爵は落ち着きがないようだ。


私達のお出迎えの準備が整うと、すぐに、セイフィード様とセイフィード様のお父様が大広間に姿を現し、お互い挨拶をした。


しばらく談笑した後、私はセイフィード様、セイフィード様のお父様、コルベーナ侯爵とともに玄関まで行き、来賓のお出迎えの準備をした。

来賓と言っても、第二王子1人しかいないけれど、仮にも王子様なので(うやうや)しく振る舞う必要がある。


「お出迎え、ご苦労。早速、晩餐会を始めようじゃないか」


 第二王子は現れると同時に、その場を仕切り始めた。

私達は第二王子の指示通り、大広間の晩餐会会場に集まり、着席した。

すると第二王子は、グラスを手に立ち上がった。


「婚約おめでとう、セイフィード、アンナ。幸せになれ。では、婚約を祝して乾杯!」


第二王子の掛け声とともに、みんなグラスを掲げ、一口飲んだ。

晩餐会の料理は、前菜、スープ、メインのお肉、デザートと合計4品で、お腹いっぱいになった。

料理が終わると、第二王子は、コルベーナ侯爵とシャーロットと談笑し、ゾフィー兄様はセイフィード様のお父様、魔法長官と談笑した。


私とセイフィード様は大広間をこっそり抜け出し、月明かりの中、私とセイフィード様は手を繋ぎ、庭園をゆっくり散歩した。


「このドレス、キラキラ光ってとても素敵です。ありがとうございます」


私はドレスを揺らして、その輝きをセイフィード様に見てもらった。

セイフィード様は目を細め、私をじっと見つめた。


「あの、それで1つ教えて欲しいことがあるんですけど⋯⋯⋯」


「なんだ?」


「離宮での舞踏会の前日、私に魔法を掛けて頂いたと思うんですが、これはどんな魔法なんですか?」


セイフィード様が私に掛けた魔法は、オリヴィア様の件が片付けば勝手に消えると私は思っていた。

けれど、私の太ももについた赤い斑点は消えず、私は気になってしょうがなかった。


「⋯⋯⋯⋯⋯大した魔法じゃない。気にするな」


「私の体のことなんですから、教えといてくれてもいいと思います」


私はセイフィード様に向き合い、両手を腰に当て、私の主張を認めてもらうように、セイフィード様に詰め寄った。

すると、セイフィード様も、私との距離を詰め、私の腰に手を回し、私を抱き寄せた。

そしてセイフィード様は射るような視線を私に向け、言葉を発した。


「⋯⋯⋯⋯アンナの体は、アンナのものじゃない、俺のものだ」


「っえ⋯⋯⋯⋯」


「アンナのこの手も、この髪も⋯⋯⋯、そして、ここも⋯⋯⋯」


セイフィード様は突然、私の手を取り、私の指をさすり⋯⋯、次に私の髪を一房(ひとふさ)(すく)い、その一房に口づけをし⋯⋯⋯、そして最後に私の唇をセイフィード様の親指が撫でた。


「セっ、セイフィード様⋯⋯⋯、あの、その⋯⋯⋯」


私は急に恥ずかしくなり、(うつ)いた。

しかし、セイフィード様は、俯いた私の(あご)をクイっと持ちあげた。

そして、ゆっくりと、セイフィード様の顔が近づいてきた⋯⋯⋯⋯。


「んっ⋯⋯⋯⋯」


セイフィード様の柔らかい唇が、私の唇に微かに触れた。

⋯⋯⋯⋯⋯!

⋯⋯⋯⋯⋯!!

⋯⋯⋯⋯⋯!!!

セ、セ、セイフィード⋯⋯⋯⋯、今、私にキキキキキキス⋯⋯⋯しましたよね。

私の頭が、体の神経が、唇に集中しすぎて全く身動き出来ないっ。


私がカチンコチンに固まっていることをいいことに、セイフィード様は私のおでこ、ほっぺ、首筋、至る所にキスをいっぱいし出した。


ちょっ、ちょっと待って⋯⋯⋯⋯。

セイフィード様。

いくらなんでも、それは⋯⋯⋯、キス多すぎ!


「セっ、セイフィード様、だっ、だめです。もう、ストップですっ」


「なぜ?」


「えっ⋯⋯⋯、だって、その、あの、まだ晩餐会終わってませんし⋯⋯⋯」


「終わったら、いいのか⋯⋯」


「ええっ、あの、それは⋯⋯⋯わっ、わかりませんっ」


私はあまりにテンパりしすぎて自分でも何を言ってるのか分からなくなっていた。

だから、私は自分自身を落ち着かせようと、セイフィード様に背を向け、歩き出した。

しかし、セイフィード様に後ろから抱きしめられてしまった。


「アンナ、俺を(こば)むな」


「こ、拒んでいません」


「だったら、なんで俺に背を向けた」


「それは、恥ずかしくて⋯⋯、気が動転しちゃって⋯⋯」


セイフィード様が私を振り向かせ、もう一度キスしようとした時、第二王子とシャーロットが現れてしまった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ