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ファンタジーな世界に転生したのに魔法が使えません  作者: 花が咲く
第4章<アンナ特製魔方陣ノート>
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12、縁談

 私は家に帰り、セイフィード様が改良した腕輪を外してみようとした。

以前は腕輪に留め具があったのに、全く見当たらない。

腕輪を引っこ抜こうとしたけど、どうあがいても抜けなかった⋯⋯。

本当に、セイフィード様にしか私の腕輪は外せないようだ。


 なんとなく、セイフィード様にずっと手首を握られているような⋯⋯、不思議な感覚がして、私の心が落ち着かない。


 それにしても⋯⋯、セイフィード様、私の一世一代の告白に対して、“わかった” ってどういうことなんだろう。

私には、“わかった” が、全くわからない。


 もしかして⋯⋯、私って振られたの?

“わかった、ふーん、そうなんだ、あっそ、だから何”

こんな解釈でセイフィード様は言ったのだろうか⋯⋯。

いやいや、私を抱きしめといて、髪をこねくり回しといて⋯⋯、それはないよね⋯⋯。


 それとも、“わかった。アンナの気持ちはわかった。これからも、主人と奴隷の関係でいような。よろしく” こんな解釈だろうか。

きっとそうだ⋯⋯。


 そんな⋯⋯、酷い。

セイフィード様、バカ、アホ、マヌケ、トンマ⋯⋯。

セイフィード様に振られるよりましかもしれないけど、こんな宙ぶらりんな関係ヤダ。

私は、セイフィード様と彼氏彼女の関係になりたい。


 あぁ⋯⋯、もっとちゃんと、明確に告白すればよかったんだろうか⋯⋯。

“セイフィード様のこと大好きだから、私と付き合って下さい”

とか、

“セイフィード様のこと大好きです。私を彼女にしてください”

とか、言えばセイフィード様の返事は違ったのだろうか⋯⋯。


 私が、どよーんとした気分のまま、数日を過ごした時、シャーロットのご両親とゾフィー兄様から話があるから、応接間に来るように言われた。


 いったい、なんだろう⋯⋯。

もしかして、やっぱり私、捕まるんだろうか。

舞踏会の爆発で、私が考えた魔法陣が一部使われていたから。

それとも、拉致の件だろうか。

何を言われるんだろう。

怖い⋯⋯、けど、優しいゾフィー兄様も一緒だし、大丈夫だよね。

きっと。

あ、もしかして私に縁談がきたとか!

いやいや⋯⋯、1番ない話しだよね⋯⋯、はぁ⋯⋯。


 私は、ビクビクしながら応接間に出向いた。


「ご機嫌よう。皆さま」


 私は、精一杯の笑顔を作って、挨拶する。


「やぁ、アンナ。ご機嫌よう。今日も凄く可愛いね」


ゾフィー兄様は相変わらず甘いセリフを私に言う。


「コホンっ、アンナ、元気そうでなにより」


と私に言うコルベーナ侯爵は相変わらず目が笑っていない。

ただ、コルベーナ侯爵夫人は、ニコニコしながら私を見ている。


 随分、和やかな雰囲気⋯⋯。

とりあえず、私が捕まるとか、そういう話しではなさそう。

良かった、一安心だ。


「話しというのは、アンナの縁談のことだ」


 コルベーナ侯爵がいきなり話を切り出した。

まさか、1番ないと、絶対ないと思っていた縁談の話がきた。

私に縁談を申し込んだ稀有(けう)な人は、どんな人だろう⋯⋯。

って、私はセイフィード様が好きだから縁談なんて絶対に受けたくない。

縁談って、そもそも断れるものなんだろうか。

侯爵夫人に、ちゃんと、セイフィード様が好きだって、お慕いしてる人がいるって言っとけば良かった。

どうしよう⋯⋯。


「ネヴィリス伯爵家が正式に、アンナに縁談を申し込んできた」


 コルベーナ侯爵は、話を続ける。

うん!?

ネヴィリス……どこかで聞いたことがある。

⋯⋯。

⋯⋯⋯⋯。

⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

確か、セイフィード様のフルネームって、セイフィード・フォン・ネヴィリスだよね。

まさか、まさか、私の縁談の相手って、セイフィード様、なの!?


「こちらも正式に縁談の申し出を受け入れ、手続きを進める予定だ。アンナ、特に問題はないかな」


 コルベーナ侯爵は有無を言わせない雰囲気で、話を進める。


「あ、あの……私の縁談の相手って、セイフィード様ですよね? 私は、セイフィード様の婚約者になるんでしょうか?」


 物凄く大事なことだ。

ちゃんと確認しなければ……。


「そうだよ、アンナ。あぁ、私の可愛いアンナが、セイフィードのものになるなんて⋯⋯、はぁ⋯⋯、とても複雑な気分だよ」


ゾフィー兄様は、ものすごく落ち込んでいる。


「もっ、問題、全くありません!」


私はキッパリ、ハッキリ、コルベーナ侯爵に返事をした。


「それは、結構。いい日を選んでネヴィリス伯爵家と晩餐会を開く予定だ。アンナ、心しておくように」


 コルベーナ侯爵は、口元をニンマリさせた。


「はい。わかりました」


 私はこの時に、セイフィードの言った“わかった”が、ようやくわかった。

“わかった。俺もアンナのこと大好きだから、正式に縁談の申し込みする“

ってことだよね。

この解釈であっているんだよね!

う、うれしい。


 私とセイフィード様は、彼氏彼女の関係を飛び越えて、一挙に婚約者同士になってしまった。

もしかして、この世界の貴族には、彼氏彼女の関係というものがないのかもしれない。

それにしても、セイフィード様の婚約者だなんて⋯⋯、私がセイフィード様の婚約者だなんて、嬉しい。

天にも昇る気分ってこういう気分なんだ。


 どうしよう……、嬉し過ぎて、頬が緩みっぱなしで、顔の筋肉が痛ーい。

早く、早く、一刻も早く、セイフィード様に会いたい!

明日、早速会いに行っちゃおうかな。

もちろん、ケーキを作って。


 明日セイフィード様と会うと思うと、胸がドキドキする。

ドキドキ、ドキドキ、高鳴りすぎて、興奮し過ぎて、私の心臓、爆発しちゃうよー。


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