ep.11「共鳴」
ーー数日が経った。
蓮也は夕方から夜中まで酒場……この世界ではBARと言うらしい。そのBAR《月影》に仕事に行っていて、嶺二も時折顔を出しに来る。
俺はというと、昼間の間は街を調査して周っている。
昨日は、はんばーがーしょっぷ。
そして今日は、ふぁみれすと呼ばれる店に行った。
どこも珍妙で、美味い。
効率も悪くない。
短時間で食事を終えられる。
合理的だ。
たぶれっと、という物での注文という方法も面白い。クリスタリア王国でも新しい魔道具を開発すれば似たような方法を取り入れられるかもしれない。
だがーー
(収穫はない)
肝心の“異質”にはまだ触れていない。
違和感はある。
この街には確かに“何か”がある。
だが、それは常に薄く、掴めない。
「……面倒だな」
小さく呟く。
今頃、アイリーンはどうしてるだろうか。
空はすでに暗い。
夜の時間帯だ。
この時間になると、街の“質”が変わる。
光は変わらない。
だが、気配が変わる。
濃くなる。
深くなる。
(……来るなら、この時間か)
そう考えながら歩く。
その時だった。
「……っ」
違和感に足が止まる。
(来たな)
今までとは明確に違う。
薄くない。
曖昧でもない。
はっきりと“触れた”。
内側に。
感覚に直接。
「……」
視線を上げる。
方向は分かる。
説明はできない。
だが、確信がある。
(あそこだ)
足が自然と動く。
人通りの少ない方へ。
光の少ない方へ。
あの“裏”へ。
路地に入る。
空気が変わる。
濃い。
だが、今回はそれだけではない。
(引かれている)
明確に。
何かに。
足を止める。
その先。
一人の人影。
「……」
近づく。
距離が縮まる。
そしてーー
振り返った。
「……何だお前か」
嶺二だった。
その瞬間。
ーー嶺二の周りで何かが弾けた。
「……っ!」
胸の奥が震える。
感覚が重なり、ぶつかる。
「……何だ、これ」
嶺二が低く呟く。
同じだ。
感じている。
間違いない。
「……お前か」
嶺二の視線が向く。
「原因は」
「元を辿れば……恐らくな」
短く答える。
それだけではない。
「……まだある」
そう呟いた瞬間。
「……っ、ちょっと待って」
別の声。
振り返る。
蓮也がいた。
息を切らしている。
「今の……何……?」
顔が歪んでいる。
だが、その目は確かに“感じている”。
(遅れて来たか)
だがーー
(同じだ)
間違いない。
「……二人とも、か」
小さく呟く。
「何よそれ」
蓮也が睨む。
「説明しなさい」
「簡単だ」
視線を二人へ向ける。
「お前たちは“異質”だ」
沈黙。
だが、否定はない。
「この世界に存在しないはずの力を持っている」
「……は?」
「そして、それは今」
間を置く。
「共鳴している」
空気が張り詰める。
「……何と」
嶺二が呟く。
「つまりだ」
小さく息を吐いた。
「見つけた、ということだ」
視線を向ける。
「勇者候補をな」




