後日談7 異世界で再現、お祝い赤飯!
ミラをメンバーに加えていざ厨房。
昨日から吸水させていたから、豆はいい感じになっている。
「赤飯はとある国ではお祝い事のときに炊くご飯なの。出産祝いだったり、進学祝いだったり」
「食神様からの信託で、お祝いの料理を……!? ありがとうございます。お姉様!」
「やったーー! 赤飯赤飯!」
涙を拭うミラの横で、ほぼ食う専門ミゲルがガッツポーズを決めている。
「豆を煮るから、お米といでおいてね」
「ういっす!」
「ミゲルだけだと心配だから、あたしも米とぎに加わるわ」
コリンが米とぎ部隊に移動した。
コリンがいるなら大丈夫なので、私は安心して豆の用意をしよう。
小鍋に豆と水を入れてごく弱火で煮立てる。
ふつふつふつふつと豆の表面が踊っている。だんだん煮汁が豆の色と同じ薄い赤になっていく。ミラがメモを片手にワクワクした顔で、食い入るように鍋を見ている。
「お姉様、面白いですわね。煮汁がとてもきれいな色です」
「そうでしょそうでしょ。ミゲル、コリン。米を持ってきてー」
「はーい。ちょっとミゲル! あんまり力を入れてといだらだめって言ってるでしょ!」
何やら米をとぐだけなのに、二人はまたケンカしていたらしい。互いにローキックをくりかえしている。
二人とも中身は二十歳過ぎたいい大人だよね? それとも転生すると、転生体と同じ精神年齢になるのか。
「けんかしないの。ちょっとこっちの鍋に入れてくれる?」
「はい。これでいいかな」
「よしよし」
鍋に米、そこに豆の煮汁だけを先にそそぐ。手で混ぜて全体に煮汁をなじませたら、米の上に豆を乗せる。中に豆を混ぜてしまうと、炊きあがりの柔らかさにムラが出てしまうのだ。
「あとは炊くだけよ!」
フタを閉めて弱火にかけたところで、ヨイが昨日買った野菜を持ってきた。
つやつや質のいいキュウリとカブだ。
「皆さん。ごはんだけではなんですし、付け合わせを作りませんか。クリティア様のレシピ本に載っていたアサヅケなんて合うと思うのです」
「いいですわね。わたくしも作ります! じいやたちもアサヅケをつくると泣いて喜んでくれるのです」
ミラはおにぎり作りにハマったとき、浅漬けも作っていた。
野菜を塩で揉むだけだから、どんなに料理下手な人間でも失敗しにくい品である。
まる焦げクッキーや変な味のプリンに比べたら、まともな料理だ。そりゃ泣いて喜ぶ。
作り笑いを失敗したミゲルの顔がすべてを物語っている。
そんなこんなで厨房に米の香りが漂いはじめる。赤飯が炊き上がった。
火を止めたらしゃもじで軽く混ぜて、蒸らす。おにぎりにして黒ゴマをふって、異世界版赤飯の完成だ。
「じゃーーん! 赤飯完成よ!」
「わーーーーー!! やったーーー! せきはーーん!! いただきまーーっす!!」
両手に赤飯おにぎりを持って大泣きするミゲル。みんなも赤飯をほおばって笑顔になる。
「まぁ! 豆の香りが移っていて美味しいですわ! 白いおにぎりも好きですが、これもすごく好きになりました!」
「赤飯ちょーおいしー! クリティア、あたしおかわりする!! もっとちょうだい!」
「黒ゴマと豆の栄養も取れていいですね。香りが良くてきれいな色のごはん、すごくいいと思います!」
ミゲルに負けず劣らずオーバーリアクションなミラ。日本人の魂に火がついたコリン。
目を輝かせてぱくぱくするヨイ。
「お姉様。レシピをもっと詳しく教えてください。わたくし、パーティーの日にこの赤飯をつくります! クロム様に召し上がっていただきたいです!」
「いいわねそれ! ミラ様が作ってくださるならクロムはすごく嬉しいと思うわ!」
クロムが喜ぶ姿が目に浮かぶようだ。
誰がどのメニューを作るか分担を決めて、パーティー当日に備えた。





