油の回し掛け、、アロゼ?
夕方前までに兎の解体を終えられたので、
家に寄って「食ったら殺す」と馬鹿兄貴らにひと声掛けて、教会に行く。
板に兎の足を一本乗せて。
村の中央にある教会までは大分と距離があるが、殆ど誰とも会わない。
農村の昼間は、皆仕事で忙しいのだ。
教会の裏から入り、炊事場に板を置く。
教会の礼拝所を覗くと、神父様がひとり跪き、祈りを捧げていた。
俺は炊事場に静かに戻り、兎の処理に掛かる。
「ふむ、ふむ、、」
炊事場のあちこちを開けて、使えるものを探す。
村の皆が教会に持ち寄った野菜と、塩と、、
水を沸かし、野菜を弱火で煮込み、
塩漬け野菜を皿に盛り付ける。
フライパンに油を敷き、臭み消しの香草を油に落とし、匂いを移す。
(『消臭』だと、香草の匂いが飛ぶんだよな、、)
油の温度を細かく監理しながら、軽く塩をした兎足をフライパンに入れる。
「ジュワっ、、」
と少し大きな音がして、神父様の祈りを邪魔してないか気に掛かる。
ひとつ息を吐き、フライパンを傾けながら兎足に油を回しかける。
ゆっくりゆっくりと肉の表面に火を入れ、
音を頼りに兎足をひっくり返す。
(完璧だ、、)
理想通りの火入れに満足し、兎足を綺麗な板に移す。
適当な鍋を兎足に被せ、『温』を施す。
中心に時間を掛けて余熱で火入れし、油を閉じ込めるのだ。
(3分焼いたから、3分取り置きか?)
5分という手もあるなあ、とぼんやりと時間潰しをしていると、炊事場に神父様が入って来た。




