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勢子(せこ)

森を出る鹿を後ろから見送り、首に下げていた小さな笛を吹く。


ニッダさんの射線に入らないように廻り込みながら、俺は森を抜けた。


※※


森の外で弓を携えて、森をジッと見ていた。

小さな笛の音が短く2回、アオからの『獲物が出るゾ』の合図だ。


俺(ニッダ)はゆっくりとカラダを起こし、弓を構える。

森の中から藪を掻き分ける音がして立派なオス鹿が現れたのを見て、

俺は弦を引いていた右手を離し、矢を放った。


※※


森から出ると、ニッダさんはちゃんと鹿を仕留めてくれていた。

俺を見てニッダさんが弓を掲げるのを見て、俺も手を振り返す。


「凄いね、一発だ」

オス鹿の首の付け根には見事に矢が刺さり、貫通していた。


「『痺』があるからな、本来ならもう少し走る」

成る程、そういうものか。

矢尻に付与した『痺』は、ちゃんと役に立ったようだ。



「そっちは?新しい靴はどうだ?」

「良いね、全速力で森を抜けれるようになった」


ニッダさんから狩りを学ぶにあたり、これまでの狩りのスタイルや困っている事を話し合った際に、

俺の靴がボロ過ぎて、森を長時間走り回るのは怖いと話したのだ。


ニッダさんは俺の靴を見て、困ったように笑い、新しい靴(?)をくれた。



ニッダさんは膝上まであるグリーブと靴が繋がっているモノを、俺のカラダのサイズに合わせて木と鹿の革を使って、作ってくれた。


足裏が痛く無いし、接近戦で蹴りが使えるのは悪く無い。

しばらくはニッダさんと組んで、勢子(せこ)役だが、いずれ何か付与魔術を付けてやろう。


名前、何にしようかなぁ。

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