舐めんな
『沙汰は追って知らせる』として、イーサンは自宅謹慎となり、解散となった。
俺は輪の外で青い顔をして、ぶっ倒れそうになっているのを村長に見つかり、
困った顔の村長さんと神父様が目で会話をした結果、教会で休む事になった。
怖かった。
舐めてたのだ、異世界を。
何処かで『未開の※※※』と甘く、下に見ていた。
そうじゃない、そうじゃない。
ここでは、ここでも人が生きていて、歴史があり、法があるのだ。
そして人間関係があり、社会を維持する仕組みがあり、
罪があり、罰がある。
それは元の世界と何ら代わりの無いモノであり、現代よりも厳しい階級社会なのだ。
「アオ」
枕に突っ伏してぐすぐすと泣く俺の名を、神父様が呼び掛ける。
「急がず、ゆっくりと考えなさい。
それはアナタにとって大切な糧になるのだから」
「ぶぁい、じんぷざま」
俺はそのまま次の日まで教会に居た。
※※
コトリっ
村長は空のコップをテーブルに置く。 副村長は自分のコップと、村長のコップにワインを注いだ。
『トントン』と扉をノックする音がして、妻が呼び掛ける。
「アナタ、ニッダさんとソフィアさんが来られました」
村長は副村長へ顔を向け、片眉を上げる。
副村長は笑いを堪えながら扉に向かった。
「何だ、お前ら。
ワインでもせしめに来たのか?」
「良い匂いが外までプンプンしてましたぜっ」
ニッダの軽口に皆が笑う。
「アオは?」
「教会だ、今晩は泊まるだろう」
ソフィアの問いかけに村長が答える。
「神父様なら上手くやりますよ、アオも慕っていますしねっ」
「、、そうだな」
副村長の言葉に、村長は天井を見ながら同意した。
学の無い村人は貴族である村長の雰囲気に気圧された。
しかしアオは事の重大さを理解し、想像をしてしまった。
結果、ぶっ倒れた。
村長はやり過ぎたとは思っていない。
むしろ甘あまだ。
あの場で鞭打ち刑、小指を潰す、髪を剃る、、村から追放なんて事もあり得たのだ。
全て統治者である村長の胸先三寸。
『法の統治』など嘘っぱちだ。




