瓦
元々村の皆は開拓村初期に家々を建築した事もあって、
図面と共に理由とポイントを説明すればサクサクと工事は進んで行った。
梁を渡して棟木を通して、
垂木を掛けて、野地板を敷く、、。
「マズいな」
「なんだ、アオ?」
めっちゃ和風に作ってしまった。
これでは瓦が無いと、格好がつかない。
急遽、村のオトナ達と話し合う事にする。
「いや、瓦は街では普通に使ってるけどな」
「そうなんですか?」
「伯爵領は山に近いから、焼き物やガラス製品に強いんだ。
ガラス窓もあるゾ」
へー。
ほならええかと、森から山に入り良い感じの粘土を探す。
んー、分からん。
と言うか、そこらの土を練って俺が『硬化』させたらええんじゃね?
折角だからそれっぽい土をひとかたまりだけ手に持って、村に帰るとイーサンくん一家が村の真ん中で跪いていた。
コソコソと皆が輪になっている背後に忍び寄る。
下の兄貴を見つけたので、コッソりと近づく。
(ねぇ、何してんの?)
(あっ、お前何処行ってたんだよ)
(森だよ、粘土取ってきた)
俺が持つ片手分の土塊を見て、兄貴が眉を上げる。
(相変わらず意味が分かんねぇな、お前)
(そんな事より、なんで彼跪いてんの?)
兄貴が言うには、イーサンくんはブレンタさんの増築工事に参加しないばかりか、置いていた材木を一本失敬したらしい。
盗んで薪にしようとでもしたのかな。
材料はブレンタさんの持ち物で、工事は賦役、つまり領主が命じた立派な労使税で。
彼は『窃盗・脱税』の嫌疑が掛かってしまったのだ。
俺はそこまで聞いて、既にお腹が一杯で、
胸がきゅーんとしたもんだ。




