「ちょっと待って無理しんどい尊死するじゃんねぇぇぇッ!!!!!(限界突破)」
登場人物についての詳細は↓のとおりです。
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萩子の恨み節から始まり、菊鞠の提案で、海に行けなかった者たちが川へと誘われて数日後――。
は、ようやく全員の予定を完璧にハメ合わせて、お昼前の爽やかな時間帯に菊鞠の実家である『菊堂神社』へとズラリと集結していた。
「皆さま、よくお越しくださいました。まずは冷たいものでもお腹に入れて、それから川へ向かいましょうね」
おっとりと微笑む菊鞠に案内された広々とした和室のちゃぶ台の上には、氷水でキンキンに冷やされた神社の極上の素麺と、大ぶりに切り分けられた真っ近──真っ赤な西瓜が、これでもかと贅沢に並べられていた。
――ちりん。
ちりん――。
「うっわ、最高じゃんね!!! ウチ、あのコミケの戦場(聖戦)からこっち、ずっと魂が干からびてたから、この清涼感ガチで体に染み渡るんよ……っ!」
「ビービーキューの肉じゃねぇけど、こーゆーのも日本の夏!って感じでいいよな!」
萩子が置いていかれた肉のトラウマを笑顔で吹き飛ばし、縁側に向かって西瓜の種をプップップッと勢いよく吹き飛ばしながら大はしゃぎすれば、
「自分、大阪じゃ粉モンばっかだったし、帰りは620(ろくにーまる)の豚まんやったから、こないにさっぱりしてるほうが今はありがたいわ」
藤乃が親戚の集まりから解放された安堵の関西弁を響かせ、手のひらの上のティッシュへと器用に種を吐き出しながら、新幹線でのご当地名物の620を美味そうに振り返る。
その横で、あらかじめ箸で丁寧に種を取り除いてから西瓜を口に運んでいた小梅は、萩子の騒々しい大はしゃぎっぷりに少しだけ肩をすくめ、大好きな藤乃の隣で、ただ黙って健気に西瓜をハムハムと頬張っていた。
美味しい素麺と西瓜の冷たさに、アホ毛を小さくぴこぴこと嬉しそうに揺らしている。
だが、その言葉を聞いた瞬間、隣で素麺を啜っていたカスミの動きがピタッと止まり、咥えた箸をガタガタと震わせながら桜の袖を激しく引っ張った。
「サ、サクラちゃん聞いた!? 藤乃ちゃんいま、新幹線の中で『620』食ったってサラッと言わんかった!? 車内全体にあの凶暴な匂いを充満させる賛否両論のテロ行為を平然とやってのけるとか、あいつマジでピッチの外でも心臓が強すぎる強者じゃんね……ウチ震えが止まらんのよ……!」
「……うん、あの匂いの破壊力は、コミュフェス雲より凄まじい、かも……」
桜も普段の地味な擬態を崩さぬまま、長い前髪の隙間からコミュフェスの過酷な天変地異の情景を思い出し、コクコクと深く頷いた。
そんなオタク組の密やかな戦慄を他所に、あやめや背筋をピンと伸ばした満月は、神社の奥ゆかしい夏の味覚を、お行儀よく黙々と、しかし最高に美味しそうに堪能していく。
「ふふ、皆さまに喜んでいただけて何よりです」と菊鞠がおっとりと微笑む中、お腹も心も最高に満たされた一同は、川へと向かうべく、冷房の効いた神社の和室で一斉にお着替えタイムへと突入した。
菊堂神社の禊場でもある件の清流は、境内の裏手から歩いてすぐの目と鼻の先にある。
わざわざ着替えの荷物を持っていく必要もないため、少女たちはここでめいめいの個性が詰まった水着姿へと変身し、そのまま川へと繰り出す算段だ。
――ババッ!
そんな中、和室の襖を勢いよく開けて、堂々の先陣を切って廊下へと飛び出してきたのは、カスミ。
その姿は、いか今──いかにも彼女好みなサブカルポップでお洒落な、フェリシモ製のパステル調タンキニ水着。
お洋服感覚のミントグリーンとシャーベットピンクの淡い組み合わせが、カスミの元気なキャラクターにこれ以上ないほどカチッとハマっている。
「ふははははッ!!! 見たかウチのパステルポップな勝負水着姿をォォォッ!!! さあ襖の向こうの美少女たちよ、ウチの目の前に最高の供給(水着姿)を早くドカンとお披露目するじゃんねぇぇぇッ!!!」
水着回というオタクならではのイベントに興奮冷めやらぬカスミが、スマホの脳内裏垢を起動せんばかりの勢いで畳の上に仁王立ちし、目を血走らせて襖の向こうを凝視する。
――ダァン!!
そこに、勢いよく襖が開いてまず飛び出してきたのは、今日こそは寝坊せずに最初から参加できた萩子であった。
「ぎゃあああーーーッ!!! トップバッターから健康美の特大ダイレクトシュートがウチの脳直にクリーンヒットしたんよォォォッ!!!」
萩子の水着は、アスリート特有の引き締まった腹筋と躍動感がこれでもかと映える、最高に男前でスポーティーな競泳ビキニ。
「へへ、どうよカスミ! 川遊びなら動きやすさ一番だろ!」と、遅刻の汚名を完璧に返上して快活に笑う萩子を前に、カスミはハァハァと激しい呼吸を漏らしながら解説を書き殴る。
「萩子ちゃんのあの無駄な贅肉を1ピクセルも許さない健康美全振りのストイックビキニ、ガチで少年スポーツ漫画のヒロインそのものじゃんね……ッ!!! 素晴らしい、次っ! 」
続いて、少し照れくさそうに襖が開き、2人の少女が並んで姿を現した。
スタイリッシュなビキニをクールに着こなす藤乃と、そのすぐ後ろにぴったりと隠れるようにモジモジと付いてくる小梅である。
藤乃の姿は、すらっとした長い手足を活かした、洗練されたお洒落なセパレートビキニ。
そしてその隣に並ぶ小梅が身に纏っていたのは――この前藤乃と一緒に買い物に行って一生懸命選んだという、フリルがたくさんついた愛くるしいパステルワンピースであった。
――ピキィン!
嬉しさと恥ずかしさが限界突破した瞬間の合図のように、小梅の頭の上のアホ毛が鋭くピコピコと跳ね踊る。
「ちょっと待って無理しんどい尊死するじゃんねぇぇぇッ!!!!!(限界突破)」
実物の『てぇてぇの暴力』をゼロ距離で浴びたカスミが、鼻血を噴き出さんばかりの勢いで頭を抱えて大絶叫した。
「藤乃ちゃんのあのピッチの上と変わらぬ健康ビキニの栄養素ッ!!! ――からの、その後ろに隠れる小梅ちゃんのフリルワンピースのウブすぎる殺傷能力の高さッ!!! このBチーム守備陣の『絶対的な依存てぇてぇ主従関係』の対比、ガチで神絵師の百合合同誌の表紙じゃんねぇぇぇッ!!!」
そこに、さらにしとやかに襖が開き、お留守番のリズムをキュッと引き締める美しい少女が歩み出てきた。
「ひ、ひえぇぇぇーーーっ!!! お育ちが良すぎて画面の輝度がカンストしとるんよォォォッ!!!」
あやめの姿は、露出を極限まで抑えつつも、完璧なプロポーションの美しさを大人の気品で際立たせる、落ち着いたシックな色の超高級ブランドワンピース。
「あやめちゃんのお育ちの良さが天元突破してるシックワンピース、ガチで避暑地の高級別荘地のおもてなしお嬢様じゃんね……ッ!!! 露出が少ないからこそ、逆に育ちの良さとラインの美しさが極上の暴力となってウチの邪念を綺麗に浄化してくるんよぉぉぉッ!!!」
お嬢様の圧倒的な品格の前にカスミが畳の上で身悶えしていると、続いて、少しだけ気まずそうなタイムラグを置いて襖が開いた。
そこに並んで立つのは、桜と満月の2人。
なんと、2人が身に纏っていたのは、揃いも揃って純度百パーセントの『スクール水着』。
だが――その性質は、180度完全に真逆を向いていた。
「ぎゃあああああーーーッ!!!!! わ、分かってらっしゃるじゃんねぇぇぇッ!!!!! 公式の最大手供給の『解釈違い大戦争』が今ここに爆誕したんよォォォッ!!!!!(脳汁大洪水)」
襖の向こうの2人のシルエット(格差)を網膜に焼き付けた瞬間、カスミはもはや心臓を押さえて床に転がり、痙攣せんばかりの勢いで大絶叫した。
桜の姿は、長い前髪の目隠れスタイルにこれ以上ないほどマッチした、腰回りに切り返しのついた昭和レトロな薫り漂う伝統芸能的【旧世代スクール水着(旧スク)】。
――そこには、確かに本物のスナイパーがいた。
コミュフェスの戦場を知る彼女ならではのニッチな殺傷能力を備え、オタクの業のツボをピンポイントで射殺しようとそこに佇む桜は、まさに【死神】。
一方の満月は、現代の機能性を極限まで追求した、太ももまでピシッと覆うスパッツ型の近代【レーシングスクール水着(新スク)】。
生来の生真面目ガールらしく、毅然とした態度で言葉を放つ。
「学校指定の体育用水着こそがあるべき姿です。これ以外の選択肢など存在しません。何か問題でも?」
いかにも規律を重んじる彼女らしい、キリッとした格調高さで仁王立ちする満月。
最高の供給を前に、カスミの脳内ハードディスクの録画容量は、すでに限界を迎えようとしていた。
「ふふ、皆さまお着替えは終わりましたか? それでは、いよいよ川へと向かいましょうね」
最後に、菊鞠が優しく声をかけつつ、襖の奥から姿を見せた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
次回予告――
各々が持ってきた水着に着替え、いよいよ川へ泳ぎに行こう!とテンションの上がるメンバー。
そこへ菊鞠が現れる!
次回、
【『風そよぐ 楢の小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける』】
どうぞお楽しみに!
――
「桜の恰好、作者の趣味だろ!(趣味です)」
「いや、次回タイトル、急に格調高くなったなw」
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