菊の花束を持った黄昏の熾天使~A seraph at twilight holding a bouquet of chrysanthemums
ラキオ・レヴィオン、バウアー・ボウダンロウ、リズ・アルベール、ザナク郎、ダイヤモンドブリザードの五名は無事水上第九院シャコガイルの第一次試験、第二次試験を突破した。晴れてこの五人はこの学園への入学が許可された。
そんな五名に教師であるカイバ真悠から言い渡された最初の授業は勇者となり異世界を救うという事。それを成すべく、依頼主である蒼響から受け取った転生石で異世界へと飛ぶ一向。
たどり着いた異世界はまるで大人になれない子供みたいな黄昏と人気のない寂しい建物だけで構成された終点みたいな場所だった。それを人々は魔天降臨都市八王子と呼ぶらしい。
「確かそこの血まみれ馬鹿教職が転生したときには、この魔天降臨の世界地球から僕たちの世界オールフォーワンまで一瞬でついたはずですよね、なんで今回はこの世界に着くまでに20分ほどかかったのですか?」ラキオは今の一連の会話を聞いていて覚えた違和感を何とか言語化する。
「それは、、、」まるで困った幼子のような年相応の顔をする。蒼響。
「もしかして先ほど蒼響さんがぼやいていたある儀式とやらに関係がある事なんですか?」ラキオは問いかける。なんだかこの質問ラキオにはこの異世界というものを理解するうえでとても重要な気がした。
「ええと」すごく困ったような顔をする蒼響。一同も蒼響の表情を見るに話したくないことなのだろうという事情を察しつつも、気になる内容ではあったのでラキオ以外はその儀式について誰も聞けず千日手のような状況になっていた。
そこに「キーン」という鉄のこすれるような甲高い音が響く。それはこの屋上に入れる唯一の入り口である、一同から見て左側の防火扉が開いたことの証明だった。話に夢中になるあまり、階段を上ってくる足音に気が付かなかった一同は息をのむ。そこから現れたのは、、、
「久しぶりだね、、蒼響」蒼く染められた髪の毛とは対照的に服装は喪服のような真っ黒のスーツ、彼は左手に喪服に合わせたような菊の花束を持っている。その菊の花が日の入りの太陽と重なりオレンジ色の宝石のように少し煌めく。
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一目見た感じの年頃はリズやラキオより少し若い15歳前後の少年のように見える。彼には魔族のように頭に角があるわけでもない、どこからどう見ても普通の人間だった。ある一点を除いて。角はないが、蒼響きと同じような天使の輪が頭の上に載っている。しかし蒼響とは一つだけ違う。その天使の輪はまるで乱暴に床にたたきつけられたガラス細工のようにひび割れている。
「ユンケル、、、お前は熾天使になったのか?」どうやら彼の名前がユンケルというらしいという事を一同は知った。逆にそれ以外は彼について何もわからない。




