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-虚蝉-  作者: 微睡みの白
Via vitae ~過去の影を踏みしめながら 未来の光を探す旅路 真理はその途中でふと現れる 風のように~
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斯くしもがも 15

それからはテストの答案が返されると時々ソイツは私の所に来るようになった。

ほんの十数分の勉強会。

なんの他愛もない答案用紙の答え合わせ。

ソイツが間違い、私が合っているものは私が教え、逆に私が間違えた箇所はソイツが教え合う。どちらかだけではないWIN-WINな関係。

しかしそこには期待していた学校生活の鱗片があった。

そういう事を続けているとソイツの他にも時々、

「この授業がわからない」

「この問題がわからない」

と私に聞いてくる人がぽつぽつ出てきた。

最初は、休み時間の合間、申し訳無さそうにに数人来て私に聞いていく。少し噛み砕いて説明すると「なるほど!」と言って自分の所に帰る。私は頼られたと嬉しさもあってくるもの拒まずで簡単に説明はしていた。そういう繰り返しだった。

しかし段々と私の休み時間の度に来ることが多くなり、一人二人だったのが人数が増え、そのうち昼休み問わず来るようになり、わからないから聞いてきてるならまだしも、そういう理由に託つけてずっと雑談していたり、ふざけ合っていたり、マトモに私の話を聞こうとする奴は居なくなっていた。

私が他の作業していても、読書をしていてもソイツらはお構いなしに私の時間を踏み荒らしていった。

あまりにもうんざりした私は、教えることを辞め、休み時間はあまり教室に居ることはなくなった。

何度か声を掛けられ、最初のうちは「用事があるから」と断っていたが段々と面倒になりそのまま無視して図書室に逃げていた。

クラスメイトと壁があるならあるで問題だったが、無いのも無いで問題だった。今思い返せばもっとなにかとやりようがあっただろうとも思うがその頃は目まぐるしく変わる距離感に疲れてしまっていた。向こうが私を理解できないのと同じ様に、私もクラスメイトが理解できなかった。

結局、私の立ち位置が転校生からよく内出血を作ってくる気味の悪いクラスメイト、よくわからんけど勉強の出来る奴、なんかしらんけどキレてどっか行った勝手な奴と変わっていき、最終的に『意味わからん自分勝手な奴』という認識に落ち着いたようだ。

最初はあれだけ私のところに聞きに来ていた奴らも手のひらを返して寄り付かなくなった。

利用価値があれば集まって、価値がなくなれば消えていく、遺産争いのときのように人間の本質は歳、性別関係なく変らなかった。

『人は利害関係で生きている』

そうしてまた私の世界に平穏が訪れた。


…ただ少しだけ例外もあった。

最初に声を掛けたソイツだけはたまに思い出したように私のタイミングを見計らって私のところに来ていた。


誰かに教えるってのは私自身の気付かない気付きを与えてくれることも有り、ソイツに解説することは私自身の勉強にもなった。

お陰でソイツの成績も以前と比べて上がったらしく、塾でも結構上位に行けたと喜んでいたが、私自身の成績アップにも繋がっていた。




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