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-虚蝉-  作者: 微睡みの白
Via vitae ~過去の影を踏みしめながら 未来の光を探す旅路 真理はその途中でふと現れる 風のように~
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斯くしもがも 16

男が画策したかどうかは知らないが引っ越ししたせいで爺ちゃん達の家とかなりの距離が出来てしまい、私は毎週の様に通うことができなくなってしまった。

行けるのは精々まとまった学校休みのある夏休みや冬休みくらい。

こうして私の安寧の場所は減っていった。

それでも冬休みを利用して1週間ほど爺ちゃんたちへ会いに行く。


爺ちゃんたちは変らず私を快く迎え入れてくれた。

私が爺ちゃんのところに行くとまず必ずすること。

それはabueloを含めた代々と親族、身内の墓に行くこと。

うちは身内も多く、全部で7,8基ほど毎回廻る必要があり、すべてにおいて墓の清掃と線香を焚いてまわるのでそれだけで一日終わる。

元々私達代々の墓の管理をする墓守さんは居るのだが、爺ちゃんは

「確かに墓守がいていつも墓は綺麗に保たれてはいるが、私らが自ら手を使って綺麗にしていくことに意味がある。

死者を弔い、死と向き合い、生に感謝する儀式でもある。

この墓の中には善人も居れば、悪人もおろう。しかし一度ひとたび躯になればみな仏よ。死んでまで責めることはなかろう。

代々、みな血を繋げてきたから、今の私らはおる。私らが繋げたから端白、お前がおる。

善も業も生きてる者が背負って行かねばならん。

人はいつか死ぬ。それが望もうがのぞまなかろうが平等に人は死ぬ。

私だって明日を迎えられないかもしれない。

自分で死なぬ限り、人はみないつ死ぬかわからんのだ。

だから、後悔少なく生きねばならぬ。

Memento(メメント) Mori(モリ)、いつか自分が死ぬことを忘れてはならぬ。

そしてMemento(メメント) Vivere(ウィーウェレ)、人生を楽しむことを忘れてはいけない。

どれだけ長く生きたかではなく、自分が納得してどう生きたかが大事なんだ。」

そう言い聞かせる爺ちゃんと、abueloの

「人はどれだけ生きたかじゃない、どう生きたか、だ。」

という遺言と顔が重なる。

血脈は受け継がれる。


墓は一基づつ丁寧に洗っていく。

区画内の草も抜き、砂利も整え、湯呑みも洗い、溜まった灰も綺麗に均す。

掃除が終わったら線香を供える。後々知ることになるのだがうちの墓への線香の焚く量が尋常じゃなかったらしい。

うちでは墓一基につき大体一掴み。

それに火を灯して墓参りする人数の頭数で割っていく、という感じに線香を供えていた。

なので墓にある蓮根のような線香立ては毎回いっぱいになっていた。

それを全部の墓にするので一回の墓参りで大体線香の箱を3箱くらい使っていた。

一度その線香の量について爺ちゃんにきいたことがあるが

「線香は弔われている人のご飯だから沢山あって良いんだよ。」

とのことだった。そんなもんか、と当時は思ったがやはり異常な量だったようだ。


一日がかりで墓参りを終えた帰り道。

私は疲れを感じながらもずっと、「生きる」とはどういうことだろうと考え込んでいた。

爺ちゃんや婆ちゃんに聞いても、

「聞いたら何でも答えてくれると思うんじゃない。そういうのは自分で答えを見つけるもんだ。」

と言われ、ますます頭を悩ませていた。

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