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-虚蝉-  作者: 微睡みの白
Via vitae ~過去の影を踏みしめながら 未来の光を探す旅路 真理はその途中でふと現れる 風のように~
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斯くしもがも 11

私が小学2年生の冬、男とシオリさんは結婚した。

男は再婚、シオリさんは初婚だったようだ。

ドラマで見るような

「お母さんになってもいいかな?」

的なイベントは無かった。いや、姉には有ったかもしれない。とにかく私の知ってる範囲ではなかった。

いつのまにか現れて、いつの間にか居着いて、いつの間にか継母になっていた。

私の中ではそんな感じである。

二人の結婚式と披露宴は盛大なもので、クルーザーというか船を貸し切って内海でパーティーを行った。

お互い招待客も多く、船内はいっぱいだった。

男はタキシード、継母はもちろん純白のウェディングドレス、姉も何かしらのドレスを着て、私もタキシードのようなスーツに蝶ネクタイを着せられた気がする。

そして結婚式では姉が継母のウェディングベールの裾を持って歩くトレーンベアラーを、私はあとから結婚指輪を渡しに行くリングベアラーをした。

本来ならばきっととても光栄な役回りだと思うが、私は

『さも、私達は仲が良いです、これからもうまくやっていけます』

というような対外的なアピールにしか見えず苦虫を噛み潰したような思いを飲み込んでいた。

『男のこれまでやってきたことは消えないからな!』と恨む思いは消えない。

これだけ多くの参列者がいる中、爺ちゃんと婆ちゃんは居なかった。

その事実に私は男にがっかりした。元から私の男に対する期待度は底辺から転落してもはやマイナスなのだが更にそれを掘り下げてきた。

がっかりしたというよりも見損なったが近いのかもしれない。よほど男は爺ちゃんたちが嫌いだったのかもしれない。


それからは男と継母と姉と私。新たに4人の生活になった。

これまでと変わったことは主に5つ。

ひとつ、

より人間らしい食事が()()出るようになった。

これまでは食べれたり食べれなかったりから良い時で普通のご飯一食とあとはパンとか学校の給食と家では塩おにぎりとか比較的給食頼りで私は生きていた。

それが朝夕ちゃんとご飯と、汁物と、なにかしらのおかず、のようなちゃんとしたご飯がでるようになった。

どうやら継母が男に

「子供にはちゃんと食べさせないとダメ!」

と説教したようだ。それ以来ちゃんと出るご飯に感動した。

男の料理は大雑把だが不味くはなかった。しかし『男が作ったものを食べる自分』という事実が心の底から嫌だった。しかし食欲には勝てず何時も自分に恥じながら食べていた。

しかし継母も料理をする方で継母が作る料理もよく並ぶようになりその屈辱も幾分か薄まった。

ただ、継母はどうやら『料理は素材の味を!』というタイプだったらしく、とても薄味、たまに味付けなしのものも平気で出してくるような人で非情に困った。婆ちゃんのご飯が恋しかった。

ふたつ、

男の暴力が減った。

やはり人の目、とくに継母の目があると気にするのか、理不尽な理由で虐待される回数が減った。一旦、週3回程あった暴力が2週に1回くらいに減った時は

『こいつ、やればできるんだ。』

と逆に関心してしまった。

みっつ、

男から暴力を受けると継母が庇ってくれるようになった。

男の暴力は染み付いてるようで減ったとはいえ、何かと理由をつけて私をボコボコにするが継母の目に留まるとすぐに継母が身体を張って止めに入った。

そういう理由もあったからか男の暴力は竹刀や棒きれなどの道具を使う暴力から直接殴る、蹴るなど手加減しやすいモノに変わった。

身を挺しても私を庇う継母の姿に、なんとなく母親観を重ね、『これが愛情なのかな?』と思いつつ胸に微かな希望の灯りを抱いた。

よっつ、

引っ越しが決まった。

継母の仕事は小学校の教員で、小学校の教員は数年に一回、務める学校が替わる制度があるらしい。

その転換時期がたまたま今年で引っ越ししないと通勤できないような距離のところに配属になったようだ。

相変わらず私や姉の気持ちとかそういう決定権の無い者の意見なんて無く勝手に決まっていく。

必然的に私も姉も転校がきまった。私は特にあの学校に思い入れも友達も居ないのでなにも関係なく、どうでも良かった。

いつつ、

継母が妊娠した。

なんだかんだで男と継母は仲良くやってたらしい。


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