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-虚蝉-  作者: 微睡みの白
Via vitae ~過去の影を踏みしめながら 未来の光を探す旅路 真理はその途中でふと現れる 風のように~
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斯くしもがも 4

皆さんの家庭の味とはなんであろうか?

カレーや肉じゃが、ハンバーグやパスタ、焼きそばやチャーハンなどだろうか?

私は幼い頃の家庭の味といえば以前も書いたように男が時々作ってくれた『韮の入った卵焼き』だった。

しかし同時に古茶の苦い思い出でもあり、決して良い家庭の味ではなかった。

しかし今の私の家庭の味で思い浮かぶものといえば、婆ちゃんの作ってくれた『納豆』だ。

それは婆ちゃんがこれから育つ私のためと思い作ってくれたもので、

私が煮豆が苦手な事を知り、あえて豆感の少ないひき割り納豆で、

そこにネギと鰹節とごまとオクラと生卵を混ぜて甘めの濃口醤油で味を整えたもので、栄養価も高く、とても美味しく、優しい味がした。

それに『卵焼き』。

男の作る卵焼きと同じ材料のはずのニラの入った卵焼き。

婆ちゃんが作るニラの卵焼きはニラを先に炒めて、ボウルに上げて少し冷まし、そこに卵を溶いて、薄口醤油とだし、酒を混ぜて、巻いてくもので少し手間のかかる作り方をしていた。

その分、香りがよく、ふわふわで男が作る()()はもはや贋作だった。

どちらも今でもよく作るし、たまに人に食べさせても高評価をもらえる私の家庭の味。

やはり婆ちゃんは偉大だ。

そして今でも不思議なのが、婆ちゃんが作る『カレー』。

材料は特に代わり映えしないにんじん、じゃがいも、たまねぎ、あとは豚肉。

そして極々一般的なカレールー。

ほんとに基本はこれだけなのだ。しかし私はこのカレー以上に美味しいカレーに未だ出会ったことはない。企業でも個人でもあの味を超えられない。

初めは、肉が良い肉だからとか思っていたが、普通のスーパーで売っている安い豚小間切れとかでも、牛でも鶏でも羊でも、食材関係なくとにかく美味しいのだ。

ある日不思議に思い婆ちゃんに聞くと、

「道具と同じ様に高級なのと美味しさは比例しないのよ。その食材をどう使うのかを知って正しく使うこと。

ちょっとした手間を惜しまないこと。

あと大事なのは、人の味覚は上限があって、感じれる美味しさには限界があるの。

それ以上の美味しさとか辛さとか甘さとかは全部雑味になってしまうのよ。

だからそれを考えてしっかりと味の足し算と引き算をするの。」

そう言っていた。

確かに婆ちゃんがカレーを作り出すと簡単にできあがることはなく、大体出来上がるのに半日以上かかる。

食材を一つ一つ炒めていったり、綺麗に灰汁を取り除いたり、少しづつルーを割り入れては火を入れ、止めて、しばらく寝かすを繰り返したり。

確かに何かと手間を掛けてた記憶がある。

この時は婆ちゃんの教えはまったく理解出来てなかったが、後々この助言が大いに役立った。



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