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今後の予定は無しにして下さい(連載版)  作者: 徒然草


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32/36

32.とある令嬢達のお茶会(幕間)

 今回は名前のない令嬢達の話です。短めです。


「リンカ・ノアール子爵令嬢とウィラード・シアン子爵令息の事、聞きましたか?」


「ええ、婚約破棄の事ですわよね?」


「勿論ですわ。」


 とあるお茶会に集まった令嬢達は参加者の1人に婚約破棄の話題を振られ、全員が興味津々とばかりに頷いた。


「私は大して驚きませんでしたわ。婚約解消されるのは何時なのかと思っておりましたもの。」


「え? 私は驚きましたよ。ずっと婚約を続けておりましたから、てっきりこのまま結婚されるのかと…。」


 両者の話を聞いた令嬢達はどちらの感想にも共感出来る様子で誰も意見を言わない。


「ラリー・ホワイト男爵令嬢の療養に、シアン子爵令息が着いて行く事になったのが婚約破棄の理由だとか。」


「ええ、私もそうだと聞きました。」


「やっぱり、シアン子爵令息はホワイト男爵令嬢の事を幼馴染以上に想っておられたのかしら?」


「「「……。」」」


 婚約破棄し、貴族位を捨ててまで優先する存在がただの幼馴染である筈が無い。この場にいる全員が無言のまま同意する。


「ノアール子爵令嬢もお気の毒にね。婚約者を奪われてしまったのだもの。」


 そう言った令嬢は小首を傾げる。その様子がリンカに同情してなのか、それとも内心でリンカを小馬鹿にしているのか、実はどうでも良いと思っているのかは誰にも分からない。


「でも、この前の夜会ではノアール令嬢はシアン令息の事をあまり構っている様子はありませんでしたわ。」


「そういえばそうね…婚約者よりもご友人達に囲まれて楽しそうにしておりましたね。」


 夜会に参加していた令嬢達は、その時の光景を思い出しながら話す。

 

「これまでシアン子爵令息は、ノアール子爵令嬢の事を放っておいてホワイト男爵令嬢に会ってばかりでしたもの。案外、ノアール子爵令嬢も婚約破棄については喜んで居られるかも知れませんよ?」


「そうかもしれませんね…。」


 もし自分達がリンカの立場だったなら、婚約者が他の人を優先し続けるような性格だったなら…考えるまでもなくそんな相手は願い下げだ。


「でも、そこまで優先して貰えないなんて…ノアール子爵令嬢自身に何も問題はなかったのかしら?」


 ウィラードではなくリンカに問題があったのでは、という意見が出る。


「…さぁ、私はノアール子爵令嬢と親しくありませんので彼女の人柄は分かりませんわ。」


「でも理由は何であれ、デートをすっぽかして社交場にも婚約者として参加しないなんてあり得ませんわ。」


「…それは、そうね。」


 リンカに問題があったのかはこの場にいる令嬢達には分からないが、ウィラードの婚約者としての今までの行動の方があり得ない。全員がそれに同意して頷いた。


「ところで…、ホワイト男爵令嬢のお身体の弱さは本当なのかしら?」


 今度はラリーについての話題が上がった。


「…療養の為に、男爵家の領地に行かれるのですから本当なのでは?」


 嘘だというなら領地に行き、社交場を離れる必要は無いではないかと指摘する声が上がる。

 

「ホワイト男爵令嬢は常に身体が弱かった訳ではなく、体調不良になる日が時々あった事は知ってますよね? しかもシアン子爵令息とノアール子爵令嬢が約束をしている日には必ず体調不良になっていた…こんな偶然がありますかしら?」


「「「…。」」」


 全員がずっと思い続けていた事を口にする令嬢に、誰も何も言わずに沈黙した。


「で、でも、私の知人から聞いたのですがノアール子爵令嬢がホワイト男爵令嬢が体調を崩して倒れられる瞬間を目撃されたそうですよ。」


「…あら、そうなの?」


「はい、ノアール子爵令嬢自身がそう言っていたみたいですよ。」


「…。」


 傍から見て、婚約者としてお世辞にも良好な関係だったとは言えないリンカとウィラード。そして幼馴染とはいえ、距離が近すぎたウィラードとラリー。


 体調が悪化して療養する事になったラリーを心配したウィラードが、シアン子爵家を除籍してでも着いて行く事にした。リンカもそれに納得し、婚約破棄する事に決めた。不自然なところは何もないと言える。


 だが人は体裁の為、何らかの目的の為に嘘を使う生き物でもある。この場にいる令嬢の中には今回の噂を信じる者と疑う者が入り混じっている筈だ。


「…ノアール子爵令嬢自身がそう話しているのであれば、そうなのでしょうね。」


「そうですね…。」


 しかし真相は何であれ、今回の件の被害者とも言えるリンカが認めている以上、外野の自分達には何も言う事はない。真相を追求したところで得られる利益なんて無いだろう。


「話は変わりますが、この前庶民の間で流行っているケーキ屋に行ってみたんですけれど…。」   


「まぁ、態々ご自身で行かれたのですか?」


 リンカ達の話は終わった。今度はケーキのお店の話題に移り、各々が様々な反応を見せながら話をした。その後も様々な話題で盛り上がり、お茶会が終わるまで令嬢達の楽しそうな話し声が響いた。


 短くてすみません。リンカ達と直接関わる事がない令嬢達、周囲がどんな反応をしているのかという幕間の話でした。こんな感じで紳士淑女の皆さんはちょっとした話題感覚で話をしますが、誰も嘘かどうかを深追いせずに終わると思います。 次回はさらばウィラード、ラリーの回を書きたいなと思っております。 ここまで読んで下さり有難うございました!

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― 新着の感想 ―
まぁ、彼女たちからしたら極論でもないけど、どうでもいい話だよねぇ。
嫌な感じの奴が何人かいるな、何も知らないでしゃべって人もいる、貴族の会話って感じ。
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