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今後の予定は無しにして下さい(連載版)  作者: 徒然草


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15/31

15.父親への報告と秘密

 リンカが父親に報告する回です。


「ラリー・ホワイト男爵令嬢にウィラード令息と別れろ、と言われただと?」

 

 リンカは帰宅後、父親であるサーマン・シアンにウィラードとの食事中にラリーにウィラードと別れろと言われた事を報告した。


「…はい、自分の方が彼に相応しい。私のような冷たい女は相応しくない、との事です。」


 個室での会話は誰も聞いていない。ラリーの発言を記録した証拠も無い。しかしラリーが事前の約束もなく勝手に個室に入って来た事はウィラードが知っている。それに店の従業員も少なからず目撃している筈だ。それだけでラリーの方に問題があると判断されるだろう。


「何故今になってそんな事を言い出してきたのかは分かりません。ですがラリー・ホワイト男爵令嬢は子爵令嬢である私を侮辱し、ノアール子爵家とシアン子爵家で決めた婚約に口を出してきたのです。」


 男爵令嬢の言葉で両家の婚約を解消する力なんてない。だが侮辱されたにも関わらず、何もしないでいれば相手をつけ上がらせてしまうかもしれない。ましてや格下の男爵家に舐められるなどあってはならない。


「…ウィラード令息と店にも詳しい状況を確認でき次第、今後の事を検討する。」


「ウィラードはシアン子爵に今回の事を伝えていると思います。」


「そうか。」


 此方から話を聞きに行かなくても、シアン子爵家から話が来るかもしれない。そうなれば店に確認をするだけで調査は済む。


「…では、部屋に戻りますね。」


 リンカはサーマンの部屋を退出する。部屋に戻るとベッドに腰を下ろした。


「…さて、どうしようかしら。」


 リンカはラリーがリンカを侮辱した事。ラリーがウィラードを愛していた事はサーマンに伝えた。しかしラリーの病弱が嘘だったと言う事は伏せておいた。何となく、という勘でしかないが言わない方が良いような気がしたからだ。


 そしてこの事は、ウィラードにも言わなかったのであった…。



◆◇◆



「えっ、ラリーが僕の事を好きだった…?」

 

 ウィラードはラリーの姿が見えなくなった後、ラリーに何を言われたのか聞いてきたのでリンカはラリーのウィラードへの想いを最初に話した。


「貴方と結婚したいと言ってましたよ。」


「まさかラリーが…そう、だったのか…。」


「…今まで気が付かなかったのですか?」


 口に手を当てて驚いた様子を見せるウィラードにリンカが言うとウィラードは目を逸らした。


「い、いや全く気が付かなかったよ。気が付いていたらラリーとの距離をもっと考えたよ。」


「…彼女が苦しんでいても、ですか?」


 ラリーがウィラードの事を好きだと分かっていたとしても、幼馴染としてラリーの体調を心配する限り何も変わらなかったのではないか。リンカがそう思って口にした後、そもそも体調不良はラリーの嘘だったなと思い出した。


「相手に期待させる方が申し訳ないよ。」


 ウィラードはきっぱりと言い切った。相手の想いに応えられないなら、優しくして思わせぶりな言動は控えるべきだという考えは確かにある。リンカもその考えには賛同する側だったりもする。


「…。」


 けれど今まで何があってもラリーとの約束を優先し、ラリーの体調不良について口に出せば憤ってくるほどにラリーの心配をしてきたウィラードがそう答える事に、リンカはとても不自然さを感じた。


「…ウィラード。すみませんが早速今日の事をお父様に報告したいです。このまま帰らせて貰っても宜しいですか?」


 ラリーと他に何の話をしたのか。それを聞かれる前にこの場から離れようと思ったリンカは帰る事にした。


「…残念だけど、仕方無いね。」


 ウィラードは苦笑いをしながら頷いた。


「また改めて食事をしよう。」


「はい。」


 ウィラードとリンカは店員に帰る事を告げて店を出た。そしてそのまま各々別れる事になった。


「全部ラリーのせいだ。必ず責任を取らせないとね。」


「…それでは。」


 リンカはウィラードの言葉に同意せずに別れの挨拶をした。ウィラードの言葉には、ラリーへの怒りがしっかりと込められているように感じた。



◇◆◇



「…何かあるわ、きっと。」


 本来なら、ラリーに言われた事を全てサーマンには報告した方が何も問題はない。全てを聞いた上でどうするかを判断するのはサーマンだ。サーマンがリンカおよび、ノアール子爵家が不利になるような判断をするとは思わない。それに今回の事は状況的にも家柄としても此方が断然有利だ。


 それなのにサーマンにラリーの嘘の事を言わなかったのは、ウィラードが本当にラリーの嘘を知らないのか、とリンカが疑っているからだ。


「確かめられるとすれば、ホワイト男爵家と話をする時だけね。」


 どういう意図があってラリーがリンカに話してきたのかはまだ想像出来ない。けれど話し合いの場にラリーは出席する筈だ。体調不良で無理だと言われる可能性もあるが、ラリーの行いのせいで話し合う必要があるのだからホワイト男爵も流石に拒否しないで頂きたいものだ。


「ウィラードも来るでしょうね…。」


 ウィラードだけでなく、シアン子爵も同席する事だろう。信用出来ないウィラードの前で疑問を解決するのは中々に大変そうだ。


「…。」


 何にせよ、サーマンに報告しなかった時点でリンカがする事は決まっている。話し合いに備えてリンカは思考を巡らせ続けるのであった。


 短めに終わってしまいました。今までの行動のせいで信用されていないウィラードでした 笑 次回はシアン一家の様子を書きたいと思っております。

 最後まで読んで頂き有難うございました!

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― 新着の感想 ―
思い付きで嘘をつくと後で困るんだよねぇ。 ウィラードお前ほんとにディティールにまで凝って嘘ついてるか? そして(どうせ破談になるけど)一生を共にする相手に嘘をつくって事は死ぬまで嘘をつき続ける覚悟もい…
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