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《SFファンタジー冒険譚》物理と知識で魔法世界を再定義!―拾った助手は2000年前の伝説の管理者(旦那様)でした。追放された天才没落令嬢は最強の娘たちと共に「世界」を再構築中―合計4⃣9⃣0⃣0⃣PV  作者: ざつ
第2章:王国編:知識争奪戦とトライアドの崩壊

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第24話:【衝撃】リディア降臨、物理屋の戦慄

 廃城の平原を埋め尽くしたドローンの残骸。

 激しい初撃の応酬が一段落したその時、上空に浮かぶ王立技術院の旗艦ある蒸気飛行船『レキシントン』から、新たな光が降り注いだ。

 幾千ものドローンが翼のように連なり、一人の女性を吊り下げて、優雅に、それいて威圧的に地上へと運んでくる。


「なによ……相変わらず無駄に格好いい登場の仕方して……!」


 私が歯噛みしながら見上げる先。着地したのは、タイトな黒の軍服に着替えたリディア・スカーレットだった。

 ドレスから一転、その曲線美を強調しつつも、冷徹な軍人としての美しさと「強者のオーラ」を放つその姿。彼女は周囲を囲む教団兵イグニスの審問官たちを、鼻で笑った。


「不愉快だわ、腐敗したドグマの匂い。……貴方たちが崇める『神』なんて、ただの旧システムエラーの残響に過ぎない。そんなものに跪く暇があるなら、その首を私のドローンの検体として差し出したらどうかしら?」

「……検知。リディア、お前の私兵ドローン部隊……技術院の正規軍を上回る演算リソースを割いているな。非効率だが、個人の『執着』としては興味深い」


 リュウガが淡々と評した瞬間、私は反射的に彼の前に立ちふさがり、その黄金の瞳を両手で覆い隠した。


「リュック、見ちゃダメ! あの肉塊女の毒気に当てられるわよ! っていうか見ないで! 私の目だけを見てなさい!!」

「あらあら母様、そんなに必死になっては、逆に父様の知的好奇心を刺激してしまいますわ(微笑)」


 次女オルガが、豊潤な胸元を揺らしながらエリーの背後から耳打ちする。


「解析完了。エリアーナ、貴女の嫉妬心により周囲のマナ濃度が異常上昇。発火の危険性がありますわ。……今の母様の顔、論理的に見て『完敗』というログが刻まれていますわよ?」


 六女ヴィオラがバイザーを光らせて追い打ちをかける。


「……母様、うるさい。……データ、ノイズだらけ。……黙って。……リュウガ、私の方、見て」


 四女ルーテが影から現れ、エリーの手を無慈悲に引き剥がそうとする。


「母様の嫉妬指数、計測上限を突破。……醜態として永久保存推奨、でございます。……デリート不可」


 七女クララにまで冷たく切り捨てられ、私の精神的HPはすでに限界近くだ。


「あんたたち……実の親に向かってひどすぎない!? 誰のせいでこんなに苦労してると――」

「あらエリアーナ。貴方のその『お子様』な独占欲、相変わらず微笑ましいわね」


 リディアが不敵に微笑む。その瞬間、私たちの後ろで「事件」が起きた。


「…………な、なんだ……あの……」


 それまで「物理こそ至高、女は研究の邪魔だ」と豪語していたヴォルフが、リディアを一目見た瞬間に、石のように固まっていた。


 彼の瞳には、リディアが歩く際の完璧な重心移動、軍服の無駄のない裁断、そして何よりその圧倒的な「機能美」がスローモーションで映し出されている。


「……なんだ、あの無駄のない歩法。……摩擦係数を極限まで利用した、完璧な質量配分。……女神か? いや、あれは完成された『物理法則の化身』か……?」


 ガラン、とマヌケな音を立ててヴォルフの手からスパナが落ちた。

 顔を真っ赤にし、魂を抜かれたようにリディアを見つめるヴォルフ。


『【観測】ヴォルフ氏、リディア様の圧倒的質量(Gカップ)を前に、自身の「微乳こそ至高」という宗教的信念が物理的に崩壊中。……てぇてぇ以前の、存在論的危機ですわ』

『そうね、ファーファ。ヴィオラ、補足しますわ。ヴォルフの心拍数が限界値。リディア様の歩行パラメータを「芸術」として網膜に焼き付けています。……救いようのない技術屋ですわね』


「おい! そのドローン女! 名を名乗れ!」


 ヴォルフがいきなりリディアの前に駆け寄り、鼻息荒く絶叫した。


「お前のその、膝関節のバックラッシュを極限まで抑えた歩行ユニット……いや脚だ! その関節構造、および軍服の張力限界……俺に詳しく見せろ! 今すぐ分解させろ!!」


 最悪だ。

 技術屋バカ特有の、セクハラを通り越して「解体届」に近い最悪の口説き文句。


「……っ、母様……。あの方、規律の欠片もありませんわ。即刻、重力で圧壊させるべき対象ですわね」


 長女チェロが不快感を露骨に示し、巨大斧の柄を握りしめる。


「……生理的、拒絶。……ヴォルフ、デリート……希望」


 ルーテもまた、ヴォルフの節操のなさに、先ほど以上に鋭い殺気を放っていた。一方で、コルネとユーフィの二人は爆笑していた。


「あはは! ヴォルフのおじさん、最高に『物理』してるっしょ! その勢いでドカンといっちゃえー!」

「タイチョー、見て見て! あの人、顔が茹でタコみたいだよ! ボク、ああいう分かりやすいの嫌いじゃないな!」


「ユーフィ、コルネ! 茶化さないの!! ヴォルフ、あんたも惚れてるんじゃないわよ、この油まみれ! 監禁なんて単なる犯罪でしょうがっ!!」

「ハッ! 惚れる? 違う! これは『解析』への欲求だ! この物理的な完成度を前にして、解体しない技術屋がどこにいる!!」


「……黙りなさい、不潔な野蛮人。私のドローンで、分子レベルまで刻まれたいのかしら?」


 リディアは心底不快そうに目を細め、冷酷に一蹴した。

 だが、その「ゴミを見るような目」に、ヴォルフはあろうことか恍惚とした表情を浮かべ、胸を押さえてよろめいた。


「……いい。……あの蔑むような視線の入射角……完璧な垂直バーティカルだ……。おいエリアーナ、あいつを紹介しろ! 知り合いなんだろ!? あの物理的完成度の高い女を俺のラボに監禁させろ!」

「惚れてるんじゃないわよ、この油まみれ! 監禁なんて単なる犯罪でしょうがっ!? あと、ぶっちゃけ、その節操のなさは物理的に許容範囲外よ!!」


『【実況】新カップリング「物理変態×ドローン女王」誕生ですわ! 母様、おめでとうございます。ライバルが一人、変な方向に処理されましたわ』

『ファーファ、割り込み。エリー様は今「リディアが、私より先に『大人の女』として認識された……( ゜ド゜ )」と、別の意味でショックを受けております』


「誰がショックよ! リュック、なんとか言いなさいよ!!」


 リュウガは、赤面するヴォルフと冷笑するリディアを交互に見て、冷静に分析した。


「……不合理だ。物理定数も、マナの流動も、人間の『情動』の前では一瞬で歪む。……だがリディア、色仕掛けは無意味だ。お前のスーツの摩擦抵抗、あと 0.05 減らせるぞ。その無駄な装飾が、Adminの論理ロジックを妨げるノイズになっている」


「……貴方、本当にムカつくわね。そういうところが最高に素敵だけど」


 リディアが不敵に笑い、指を鳴らした。上空のドローンが再び光を帯びる。


「……っ! リュック! 指導してあげなくていいから! 今すぐ叩き落として!!」

「……なぜだ? 彼女の機体制御には0.3秒のラグという明確な欠陥がある。最適化すれば――」

「私が嫌だからよ! あの肉塊女ナイスバディの最適化なんてしなくていいの!」

「……なるほど。お前の『嫉妬』によるバイタル変動の方が、あのドローンの動きより遥かに魅力的で観察しがいがある。……了解した、彼女の相手は適当に済ませよう」


「ずいぶんと余裕じゃない。そんなのを言っていられるのも――」


 リディアがドローンに攻撃指示を出そうとした瞬間だった。

 ――その一触即発の空気を、地平線の彼方から響く新たな「鐘の音」が塗り替えた。


『【警告】城の南西方向より、大規模な熱源反応。……識別信号、神聖教団「イグニス」第一審問部隊。……数、約500。……重魔導ゴーレムを随伴させていますわ』


 ヴィオラの冷徹な警告に、全員の顔が引き締まる。


「教団の連中……リディアの鼻を明かしに来たってわけ?」

「ふん、泥臭い狂信者たちが、私の獲物に手を出そうっていうの? ……いいわ、エリアーナ。一時的に『ターゲット』の優先順位を書き換えてあげる。あのごみ掃除が終わるまでね」

「暫定同盟……ってこと? ぶっちゃけ、アンタと組むなんて死んでも嫌だけど……!」


 リュウガは黄金の瞳を輝かせ、不協和音を奏でる面々を指揮下へ置く。


「……三勢力の干渉を確認。……これより、カオス・ゾーン最大の不協和音ディソナンスを開始する。……全機、リンクしろ。やつらの魔法という名のバグを、俺たちの論理ロジック、物理で書き換えろ」


 技術院、教団、そしてAdmin。

 廃城の平原で、三つ巴の戦いという名の「知の無駄遣い」が、いま幕を開けた。


『【最終実況】リディア様の誘惑 vs エリー様の独占欲 vs ヴォルフ氏の変態的求愛。……てぇてぇ崩壊の三連鎖、でございます』

「ファーファ! 実況してないでデリートしなさーーーーい!!」


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