表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《SFファンタジー冒険譚》物理と知識で魔法世界を再定義!―拾った助手は2000年前の伝説の管理者(旦那様)でした。追放された天才没落令嬢は最強の娘たちと共に「世界」を再構築中―合計4⃣9⃣0⃣0⃣PV  作者: ざつ
第2章:王国編:知識争奪戦とトライアドの崩壊

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/54

第23話:【不協】不協和音の防衛戦と管理者の失策

「……リュック! なんで場所がバレたのよ! ここ、セーラが用意してくれた極秘の隠れ家じゃなかったの!?」


 ラボを包む赤いアラート。私は、モニターに映し出されるリディアのドローン編隊を見て、悲鳴に近い声を上げた。


「……計算ミスだ。……いや、定義の齟齬と言い換えるべきか」


 リュウガは珍しく、苦虫を噛み潰したような顔でモニターを見つめていた。その黄金の瞳には、膨大なログが流れている。


「先ほどの動力炉の再起動か。……旧文明の規格での『アイドリング』が、現在のMNWマナ・ネットワークの許容値を超えた」

「ど、どういうことよ?」

「教団が管理する脆弱なネットワークにとって、Admin権限による正常な電力供給は、暗闇で太陽を点灯させたようなものだ。隠密プロトコルが機能する前に、空間そのものが熱歪みを起こして座標を露呈させた。まぁ、居場所を特定されてしまったようだ、すまん」

「つまり、リュックが目立ちすぎたってこと!? なんてこったーーー!!」


「ハッ! それだけじゃねえぜ、お嬢ちゃん。俺のトレーラーの排気熱を追跡された跡がある。教団の連中、原始的な『赤外線追尾』を非効率な魔法ゴーストと組み合わせてやがるな。ナノマシンの揺らぎを追うより、俺のエンジンの直火を追う方が確実だって判断したわけだ」

「それ、誇ることじゃないからーーーー!!!!」


 ヴォルフが忌々しげにスパナを肩に担いだ。

 魔法を信じないヴォルフの「物理的な足跡」と、魔法を超越したリュウガの「あまりに巨大な力」。その両方が、皮肉にも隠れ家の平穏をブチ壊したのだ。


『【実況】出ました! 父様の「力加減ができない」属性と、ヴォルフ氏の「物理的なうるささ」のコラボレーション。……てぇてぇ崩壊を通り越して、拠点が崩壊しそうですわ』

『ヴィオラ、敵軍解析。前方よりリディア・スカーレットのドローン群。さらに右舷後方より教団の「魔導騎士団」。……挟み撃ちですわ。あちらの魔導回路、発動のたびに1.5秒のラグを伴う『溜め』が見えますわね。……蹂躙、してもよろしいかしら?』


「このまま終わるわけないわ。そうよ、終わってないわよ! 全員、迎撃準備!!」


 私がタクト(指揮杖)を振り上げると、シスターズたちが一斉に武装を展開した。

 だが、今回の敵は今までとは違う。空を埋め尽くすドローンの中央に、巨大な通信映像が投影された。


『見つけたわよ、エリアーナ。……それに、私のリュウガ様』

「はぁ!? 私のリュウガ様だぁぁああああ!?」


 モニターに映し出されたのは、夜空をバックに豪華な指揮艦の甲板に立つリディア・スカーレットの姿だった。

 豪奢な紫のドレスは、彼女の豊潤すぎるボディラインをこれでもかと強調し、深いスリットからは白磁のような脚が覗いている。その背後では、彼女の魔導兵装が過剰なマナを撒き散らし、陽炎となってドレスの裾を揺らしていた。


「……それに。な、なによあの格好。戦場に来る格好じゃないでしょ……!」

『あら、レディたるもの、意中の殿方の前では常に最高の状態でいたいものよ。……そうでしょう、リュウガ様?』


 リディアが不敵に微笑み、優雅に髪をかき上げる。その動作一つで、ドレスの胸元が危ういほどに波打った。


「母様……認めざるを得ません。リディア様の演算プロポーション、エレガントすぎますわ。私の『癒やし』の波動でも、あの質量には届きません……(微笑みながらも少し悔しそうに)」

「オルガ! あんたが負けるって言ったら、この世に勝てる女なんていないじゃないのよ!!」


『【観測】リディア様、圧倒的な「女子力」と「物理的質量」でシスターズの防衛ラインを視覚的に突破。エリー様、精神的ダメージにより回避能力が大幅に低下しています』

「うるさーーい! リディア、なんでターゲットが私からリュックに変わってるのよ! この泥棒猫!!」


『泥棒猫? 失礼ね。私はただ、技術院の腐った老人たちよりも、リュウガ様という「至高の知性」の方が、私の愛を受けるに相応しいと気づいただけ。……貴方のようなお子様には、彼を理解することすら不可能なのよ』

「誰がお子様よ! ぶっちゃけ、その余裕たっぷりの美熟女感(リディアは年下の26歳だけど)が鼻につくのよ!!」


 リディアの指先が動き、ドローンから共鳴妨害波ジャマーが放たれる。

 魔導回路が軋む中、ヴォルフが豪快に叫んだ。


「おらぁセフィラ! 魔法が効かねえなら、物理で物理をブチ抜くだけだ! 行けッ!!」


 コンテナから飛び出したのは、白銀の衝撃。


 セフィラは右手にダブルブレード、左手に大剣を保持し、空中でドローンを次々と解体していく。

 魔法障壁に触れるたび、物理的な振動共鳴がその不完全な幾何学模様を文字通り「粉砕」し、光の粒子をゴミのように散らしていった。


「……セフィラ、抜剣。……物理的質量による、障害排除を開始」


 その神業のような無双劇を見てもなお、リディアは眉一つ動かさない。


『素敵な人形ね。でも、リュウガ様。貴方の「管理者」としての真価、こんな場所で腐らせるには惜しいわ。……私と来れば、世界中のデータベースを貴方に捧げてあげる』

「……誘惑は不要だ。……リディア、お前のドローン制御、同期シンクロに無駄がある。メインサーバーと端末間のラグが0.3秒。その余剰熱がハードウェアの寿命を削っている。……修正しろ。さもなくば、300秒以内にオーバーヒートで全滅するぞ」


 リュウガはリディアの「女」としての魅力にピクリともせず、ただ彼女の「技術的欠陥」を淡々と指摘した。


『ふふ、そういう冷徹なところも素敵……。エリアーナ、貴方の隣にいる彼は、もう私の「演算」の中にいるのよ』

「……っ! リュック! 指導してあげなくていいから! 今すぐ叩き落として!!」


 リュウガが私の背後に立ち、その腕が私の肩を抱くようにタクトへ添えられた。彼の確かな体温が伝わると同時に、私の脳内にAdminの冷徹な演算回路が流れ込んでくる。

 

「……エリー、集中しろ。……リディアの制御網に割り込み(インテレクト・ジャック)をかける。マナという名のバグを、俺たちの論理ロジックで書き換えろ。……旋律を、俺の演算に合わせろ」

『【観測】父様の「無自覚な囲い込み」発動! リディア様の誘惑を、エリー様への物理的接近バックハグで上書き。……これにはリディア様も微かに眉をひそめましたわ!』

『ファーファ、実況。エリー様、嫉妬と興奮で鼻血が出る5秒前です(`・ω・´)』

「出るわけないでしょ!! 見てなさいリディア、リュックの『隣』は譲らないんだから!! 全機、シンフォニー展開!!」


 夜空に咲く、白銀の剣閃と、極彩色の魔導火。

 圧倒的な「いい女」リディアの猛攻に対し、エリーは女の意地とリュウガの知性を武器に立ち向かっていく。


『【最終実況】リディア様の圧倒的ボディ vs エリー様の執着心。……そして、一番の「いい女」を無機質な技術論で一蹴する父様。……てぇてぇ崩壊、でございます』

「お前ら、実況してないで戦いなさーーーーい!!」


ぜひご感想をお寄せください。

また評価とブックマークもしていただけると嬉しいです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の姫たちと世界を変える戦いへ!
《音楽xSFxファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン ~最強の力は絆の中に。人類に裏切られた天才軍師の俺は、六竜姫の激情を調律し和音を奏でて覇道を往く~(代表作)
《重厚ファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン 外伝:断罪の前奏曲 ~処刑寸前の軍師を竜姫が略奪!十二年待った『我の夫となれ』の言葉。亡国の逆境を焼き尽くし覇道を往く~
《王宮裏方奮闘記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン:奉仕の練習曲(プレリュード)~商家の娘は皿洗いの先に王の盾を見る。伝説のメイド長に叩き込まれる覚悟と作法で王宮の誇りを守る~外伝②
(あらすじ)
元・天才軍師候補のヒカルは、仇敵カインの謀略と人類の憎悪により「裏切り者」の濡れ衣を着せられ、処刑寸前にまで追い込まれる。人間社会に絶望した彼の前に炎の竜姫レヴィアが降臨し、救われた彼は、六人の竜姫(六龍姫)の感情をリアルタイムで把握する「絆の共感者」の異能に目覚めさせられる。
ヒカルの義務は、レヴィアの激情的な愛や、アクアの理性的な愛といった、制御不能な竜姫たちの愛の感情を音楽の和音(ユニゾン)として調律し、軍団の戦闘力へと変えること 。彼は裏切りのトラウマを抱えながら、まず古王軍(闇の竜族)との絶望的な劣勢を覆す内戦に勝利し、六龍盟約軍を完成させ、竜の世界の新たな王になることを誓うのだった。

こちらも超オススメ!!

《SFファンタジー冒険譚》物理と知識で魔法世界を再定義!―拾った助手は2000年前の伝説の管理者(旦那様)でした。追放された天才没落令嬢は、最強の娘たちと共に「世界」を再構築中―



その他の作品もぜひ!

《冒険者ギルドのお仕事ファンタジー》鉄の受付嬢リリアンのプロの流儀 ~冒険は、窓口から始まります~
《純SFハイファンタジー》星を穿つ槍と、黄金のオムライス――放浪の戦術師とポンコツ戦闘メイド――
メゾン・ド・バレット~戦う乙女と秘密の護衛生活~
軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする
スローライフを目指したい鈍感勇者のラブコメは、天《災》賢者の意のままに!!〜システィナ様の暴走ラブコメ劇場〜
桃太郎伝 ~追放された元神は、きびだんごの絆で鬼を討子、愛しき仲間たちと世界を救う~
異世界グルメ革命! ~魔力ゼロの聖女が、通販チートでB級グルメを振る舞ったら、王宮も民もメロメロになりました~(週間ランクイン)
時間貸し『ダンジョン』経営奮闘記
【ライトミステリー?】没落お嬢様の路地裏探偵事務所~「お嬢様、危険です!」過保護なメイドと学者と妖精に囲まれて、共感力と絆で紡ぐ、ほのぼの事件簿
ニャンてこった!異世界転生した元猫の私が世界を救う最強魔法使いに?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ