表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《SFファンタジー冒険譚》物理と知識で魔法世界を再定義!―拾った助手は2000年前の伝説の管理者(旦那様)でした。追放された天才没落令嬢は最強の娘たちと共に「世界」を再構築中―合計4⃣9⃣0⃣0⃣PV  作者: ざつ
第1章:覚醒編:工房の密室と7つの音色

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/55

第16話:【共闘】再会、運命の交叉

「揺れるわよ! 舌を噛まないでね、リュック!」


 私はバギーの助手席で、引きちぎれんばかりにタクトを振った。

 先ほどまでの監禁生活が嘘のように、視界には燃え盛る王都アステリアの目抜き通りが広がっている。横を向けば、私を救い出し、今は無機質な表情でハンドルを握るリュウガ・アスカがいる。


 そう、これが私たちの日常。不合理で、熱すぎる逃亡劇の再開だ。


「問題ない。路面の摩擦係数は0.02の誤差。想定内だ」


 リュウガの声は氷のように冷たいが、その左手はしっかりと私の右手を握りしめている。その手からは、教団の魔導師が詠唱時に撒き散らす不快な熱歪みやオゾンの匂いなど一切しない。

 あるのはただ、生命活動として最も効率化された、純粋で確かな体温だけだ。その熱が、マナ・リンクを介して私の魔導回路に直接流れ込み、恐怖で凍りついていた私の思考を強引に「再起動」させていく。


「ち、ちょっとリュック! 片手運転なんて危ないわよ! それに、なんでさっきからずっと手を離さないのよ!」


『【実況】母様、口では文句を言いつつ、リュウガ様の腕の中で『もう一生ここにいたい。ていうか離れたら死ぬ』と魂レベルで念じています。……出ました!

【母様の本音】リュック……もっと強く握って。このまま私を、地平線の彼方まで連れ去って……! (´Д`)ハァハァ』

「ファーファ! そんなこと思ってない! ……多分! 30パーセントくらいは思ってるかもしれないけど、今はそれどころじゃないでしょ!!」


 私の絶叫を遮るように、上空から巨大な影が降りてきた。深紅の蒸気飛行船『レキシントン』。リディアの艦隊が、低空を完全に包囲している。


「逃がさないと言ったはずよ、エリアーナ! その男と共に、ここで歴史から消去してあげる!」


 リディアの叫びと共に、数百機のドローンからナノマシンの弾幕が降り注ぐ。


 教団の旧式スクリプトに基づいた弾幕は、発動までにコンマ数秒のラグがあり、空間を無駄に加熱しながら飛来する。もはや私の目には、それがひどく鈍重で非効率な、書き換えられるべき「過去の遺物」にしか見えなかった。


 

 事態はリディアの予想さえ超えていた。

 突如、王都全域に凄まじい警告音が鳴り響いた。


「……何、この音? 技術院のアラート?」

「検知。王都地下、および全インフラに潜伏していた『Admin抹殺プログラム』が起動した」


 リュウガの瞳が、かつてないほど激しい黄金の閃光を放つ。


「リディアをも裏切った技術院上層部の独断だ。俺というAdminを消すために、王都のナノマシンを暴走させ、一点に収束させて自爆させるつもりだな」


 街のあちこちで、魔導灯や建物が青白い光の粒子となって崩壊し始めた。巨大な爆発の連鎖が街を消し去っていく。リディアの飛行船でさえ、制御を失ったナノマシンの嵐に翻弄され、全砲門をデタラメに乱射しながら揺れている。


「っ、街が消えていく……!? リディア、あんたの組織、正気なの!?」

「くっ……! バカな、そんなプログラム、トップの私さえ聞いていないわ! 止めなさい、今すぐに! 総員、この命令を最優先に――」


 リディアの通信がノイズに掻き消される。彼女が掌握していたはずのシステムが、彼女の権限を無視して「殺戮」へと暴走を始めていた。リディアもまた、組織の駒に過ぎなかったのだ。


 狂気に飲み込まれる王都。

 絶望的な光景の中、MNWマナ・ネットワークでは娘たちの咆哮が響き渡った。


『母様を守れ! 恋路を邪魔する奴は、王都ごと鉄屑にするっしょ!!』


 コルネの大剣が熱波を放ち、飛来するナノ弾幕を焼き払う。魔法陣を経由しない、分子運動への直接干渉。一切の予兆ラグなしに発生する熱励起が、王都の古いOSを物理的に咀嚼していく。


『質量の盾、最大出力! 父様と母様の「てぇてぇ」邪魔は、万死に値しますわ!』


 チェロがバギーの前に展開し、局所重力障壁を限界まで引き上げる。真面目な顔で「恋路の邪魔」を排除する長女の姿に、私は突っ込む余裕もなかった。


「……空間の剥離マナ・ストリッピングが始まるぞ、エリー」


 リュウガが私の手をさらに強く握りしめた。

 王都全体が、疑似的な「次元震」に飲み込まれようとしている。建物が、空が、物理的な限界を超えてガラスのように割れ、異次元の虚無が顔を覗かせる。


「リュック、怖い……! 街が、全部消えちゃう……!」

「俺を信じろ。……存在保護領域(Adminシールド)、全開」


 リュウガから放たれた黄金の光が、バギーとアークを包み込む。

 崩壊していく都。光の粒子となって消えていく恐怖の只中で、ファーファの声が響いた。


『【警告】リュウガ様の「愛」のエネルギーが閾値を突破。物理定数が書き換わります。……Admin権限、神をも欺く「家族の絆」という名のバグを検知しました(`・ω・´)』


 リュウガと私は、強く目を見合わせた。

 彼は無言で頷き、アクセルをさらに踏み込んだ。

 

「行くぞ、エリー。この絶望の裂け目を、俺たちの論理でブチ抜く」


 アークの古びた魔道エンジンが咆哮を上げた。バギーが瞬時にマッハを超え、周囲の景色が音もなく後方へと消失する。加速の予兆も空気抵抗もすべて「デリート」された、慣性を無視した暴力的な機動力。

 一発の巨大な砲弾となった私たちは、崩壊し始めた王都の巨大な城門を、物理的にデリートしながら突破しようと突き進む。


 だが、その瞬間だった。

 天を裂くような不吉な「音」が、荒野まで響き渡るほどの衝撃を伴って降り注いだ。


「検知。王都上空、超高出力のマナ収束反応――」


 ハンドルを握るリュウガの顔が、初めて驚愕に歪む。

 教団の全リソースを一点に投下したかのような、あまりにも巨大で、あまりにも非効率なエネルギーの奔流。だが、その「物量」だけは、今の私たちの論理さえも押し潰しかねない圧倒的な暴力だった。


「……来るぞ、エリー。舌を噛むな。本当の『抹殺』が始まる」


 空から放たれたのは、光をも呑み込む極光の壁。

 次元崩壊弾の着弾。目の前の光景は、さらなる絶望の深淵へと加速している。


『【解析】エリー様、今、リュウガ様と「死ぬ時は一緒」というフラグを立ててしまいました。……てぇてぇ、が死線を越えました(・∀・)』

「ファーファ! 縁起でもないこと言わないの!! 死亡フラグよ、それ! デリート! デリートしなさーい!!」


ぜひご感想をお寄せください。

また評価とブックマークもしていただけると嬉しいです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の姫たちと世界を変える戦いへ!
《音楽xSFxファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン ~最強の力は絆の中に。人類に裏切られた天才軍師の俺は、六竜姫の激情を調律し和音を奏でて覇道を往く~(代表作)
《重厚ファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン 外伝:断罪の前奏曲 ~処刑寸前の軍師を竜姫が略奪!十二年待った『我の夫となれ』の言葉。亡国の逆境を焼き尽くし覇道を往く~
《王宮裏方奮闘記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン:奉仕の練習曲(プレリュード)~商家の娘は皿洗いの先に王の盾を見る。伝説のメイド長に叩き込まれる覚悟と作法で王宮の誇りを守る~外伝②
(あらすじ)
元・天才軍師候補のヒカルは、仇敵カインの謀略と人類の憎悪により「裏切り者」の濡れ衣を着せられ、処刑寸前にまで追い込まれる。人間社会に絶望した彼の前に炎の竜姫レヴィアが降臨し、救われた彼は、六人の竜姫(六龍姫)の感情をリアルタイムで把握する「絆の共感者」の異能に目覚めさせられる。
ヒカルの義務は、レヴィアの激情的な愛や、アクアの理性的な愛といった、制御不能な竜姫たちの愛の感情を音楽の和音(ユニゾン)として調律し、軍団の戦闘力へと変えること 。彼は裏切りのトラウマを抱えながら、まず古王軍(闇の竜族)との絶望的な劣勢を覆す内戦に勝利し、六龍盟約軍を完成させ、竜の世界の新たな王になることを誓うのだった。

こちらも超オススメ!!

《SFファンタジー冒険譚》物理と知識で魔法世界を再定義!―拾った助手は2000年前の伝説の管理者(旦那様)でした。追放された天才没落令嬢は、最強の娘たちと共に「世界」を再構築中―



その他の作品もぜひ!

《冒険者ギルドのお仕事ファンタジー》鉄の受付嬢リリアンのプロの流儀 ~冒険は、窓口から始まります~
《純SFハイファンタジー》星を穿つ槍と、黄金のオムライス――放浪の戦術師とポンコツ戦闘メイド――
メゾン・ド・バレット~戦う乙女と秘密の護衛生活~
軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする
スローライフを目指したい鈍感勇者のラブコメは、天《災》賢者の意のままに!!〜システィナ様の暴走ラブコメ劇場〜
桃太郎伝 ~追放された元神は、きびだんごの絆で鬼を討子、愛しき仲間たちと世界を救う~
異世界グルメ革命! ~魔力ゼロの聖女が、通販チートでB級グルメを振る舞ったら、王宮も民もメロメロになりました~(週間ランクイン)
時間貸し『ダンジョン』経営奮闘記
【ライトミステリー?】没落お嬢様の路地裏探偵事務所~「お嬢様、危険です!」過保護なメイドと学者と妖精に囲まれて、共感力と絆で紡ぐ、ほのぼの事件簿
ニャンてこった!異世界転生した元猫の私が世界を救う最強魔法使いに?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ