4.悪文のタイプ
○うなぎ文
ぬるぬるして、とりとめなく、区切りがない文章です。計画を立てず、思いつくままに物語を綴って文章を書き足している為に、纏まりのない構成になってしまった悪文です。はい、以前の私の文章です。
○抽象文
意見、感想、判断を述べる時に、抽象的に述べるだけで具体的な事実や出来事を描かないタイプの文章です。文章は意見と説明をセットにしますが、意見だけを続けて説明をしないままだと読者は納得する暇が与えられませんから、置いてけぼりになった気がするんです。同様に、意見に対する説明が抽象的だと読者は煙に巻かれたようになり、やっぱり納得のいかないモヤモヤを味わいます。
○託し文
主題を比喩や暗喩、寓話などを使って「何かに託して語ろうとする時には誤差が生じる」という事を、読者はもちろんプロの作家でも関知している人は少ないのです。寓話を使えば、読者はまずその寓話の中に語られる、「作者が比較対象と意図した部分」を探すわけです。この意図は、しかし作者が主題としている事柄と完全には一致しないのです。そこには必ずズレがあります。そのズレに作者が気付かず、読者もまた気付かず、読者は比喩の奥にある主題をその答えから導き出そうとするわけです。すると、そのズレの部分だけ、作者が主題とする部分とは離れた見解を読者が持ってしまうという事になります。比喩や寓話が多すぎる、あるいは元々的外れな比喩を使ったなど、ズレが広がる要因があります。その上に明確に示唆する解説や「説明文」が無ければ、ズレは修正される事がありません。
結果、何が主題なのか解からない、読者に正しく伝わらない、見解が分かれる、という現象を引き起こしてしまうのです。
これらはまだマシな部類と呼べるかも知れません。次は、もっとも初心者に多く、もっとも批評の場で困るタイプの悪文を、例題文章を挙げて解説していきます。




