文化祭の準備、放課後の旧校舎と試着室の秘密
十月下旬。校内は来週に迫った文化祭の準備に追われ、放課後になるとどの教室からも賑やかな歓声とペイントの匂いが漂っていた。
クラスの出し物でコンセプトカフェを担当することになった藍庭鷗賀は、女子生徒たちが手作りした衣装の試着を担当させられていた。陸上部で鍛え上げられたスタイルの良さと可憐な容姿は、クラス内でも圧倒的な存在感を放っている。
だが、男子生徒たちが「藍庭さん、すごく似合ってる!」「本番の衣装、絶対撮影させてよ!」と群がっている光景を、俺――真名依真は廊下の影から冷徹に見つめていた。
……まただ。他人の視線が、俺の所有物に無邪気に触れようとしている。
試着が終わった放課後六時過ぎ。使われていない旧校舎の一角にある衣装保管用物置部屋へ、試着後の衣装を返却しに来た鷗賀の背後で、俺は静かにドアを閉め、内鍵をカチャリと施錠した。
「ひゃ……っ!? いつま……っ!?」
驚いて振り返る鷗賀。物置の中に置かれた簡易的な姿見と仮設カーテンの狭い密室の中で、彼女はまだフリルとリボンが施されたクラシカルなメイド風衣装を着たままだった。
「随分と嬉しそうだったな、おうか。クラスの男どもに囲まれて、見せ物のようにちやほやされる気分はどうだ?」
「違っ……違うよ、いつま……っ! これはクラスの役割で、断れなくて……っ! 私、いつま以外の前にこんな格好で立ちたくないよ……っ!」
俺は何も言わず、彼女の手首を強引に掴むと、全身鏡の目の前へと彼女を立たせ、背後から抱きすくめるようにして彼女の華奢な身体を固定した。
「鏡を見ろ。全校生徒に見せる予定のその姿……今、誰の手によって汚されているか、よく目に焼き付けろ」
俺の手がフリルの裾を大きく捲り上げ、スカートの中に滑り込む。冷たい秋の空気に晒された彼女の白い太ももに、俺の温かい指先が容赦なく食い込んだ。
「はぁんっ……!? ――や、いつま……っ、鏡の前はダメ……っ! 自分のおかしな顔が見えちゃう……っ!」
「見ろと言っているんだ。お前のその恥ずかしさに歪んだ顔も、熱を帯びた瞳も……全部俺だけのものだ。本番当日、お前にこんな衣装を着せるわけがないだろ」
俺は彼女の細い首筋に顔を埋め、衣装の襟ぐりを押し広げて、白く透き通るような肌へと深く歯を立てた。鏡越しに、自分の首に刻まれていく真っ赤な「所有印」を見つめさせながら。
「んぁぁっ……っ!? ――痛いっ……いつま……っ! 跡がついたら、本番で隠せなくなっちゃう……っ!」
「隠せなければ、辞退すればいい。お前が他人の前に立つ理由など、最初からどこにもないんだ」
鏡の中の鷗賀は、涙を浮かべながらも、俺に支配される快感に呼吸を荒らげていた。背後から俺に強く抱きしめられ、全身を俺の熱で満たされることで、彼女の心は恐怖ではなく狂気的な安らぎを感じていたのだ。
「あぁ……っ、いつま……大好き……っ。私……本番なんてどうでもいい……っ。いつまだけの私でいさせて……っ!」
自ら降伏の言葉を紡ぐ我が小鳥の顎をすくい上げ、俺は鏡の前で、彼女の甘く熟した唇を狂暴なまでの愛を込めて深く貪り尽くした。
「んむ……っ!? ――ん、はぁ……んぅ……っ!」
夕暮れの旧校舎、姿見の鏡に映し出される背徳の抱擁。文化祭の熱気に沸く校舎の片隅で、二人だけの暗い密室の支配は、より強固に、より深く完結するのだった。




