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聖夜のイルミネーションと、赤ドレスの甘い籠城

あの雨の踊り場での激しい和解から数週間、季節は完全に冬の装いへと移り変わっていた。

街の街路樹には色とりどりのイルミネーションが灯り、冷たい夜風が吹き抜けるたびに、恋人たちが身を寄せ合う季節――クリスマスがやってくる。


クリスマス・イブの夜。

俺――真名依真まな いつまの部屋は、いつもより少しだけ特別で、どこか浮足立った空気に包まれていた。両親が急な出張で数日間留守にしているため、今夜は正真正銘、俺と藍庭鷗賀あいにわ おうかの二人きりだった。


「――お待たせ、いつま! ちょっと着替えるのに時間かかっちゃって……」


奥の部屋から出てきた鷗賀の姿を見た瞬間、俺の視線は完全に釘付けになった。


今日の彼女は、いつもの陸上部のジャージや制服姿とは全く違う、クリスマスを意識した少しタイトな深紅のミニワンピースドレスを身にまとっていた。

オフショルダーのデザインからは、驚くほど白く滑らかな鎖骨と、華奢な肩のラインが大胆に露出している。そして、ドレスの短い裾からは、ストッキングに包まれた健康的ながらも引き締まった美脚が、部屋の小さなクリスマス樹のライトに照らされて、妖艶に輝いていた。


「……おうか。お前、その格好はなんだ」

「え、えへへ……。どう、かな? 班の女子たちに『せっかく付き合って初めてのクリスマスなんだから、これくらい攻めなきゃダメ!』って押し切られちゃって……。……変、かな?」


鷗賀は露出した肩を寒そうに少しすくめながら、上目遣いで俺の顔を覗き込んできた。

あの喧嘩を経て、俺の独占欲を全て受け入れると誓った彼女の瞳には、羞恥の奥に、俺を喜ばせたいという純粋な色気がはっきりと宿っている。


「変なわけないだろ。……可愛いすぎて、今すぐお前をベッドに押し倒して、明日の朝まで一歩も外に出したくなくなるレベルだ」

「なっ――! もー、いつまはすぐそうやって極端なこと言うんだから!」


彼女は顔を真っ赤に染めながらも、嬉しそうにクスクスと笑い、俺の隣へと滑り込んできた。

テーブルの上には、二人で買った小さなホールケーキとシャンメリー。部屋の明かりを少し落とすと、緑と赤のLEDライトが、二人の身体を優しく交互に照らし出す。


「乾杯、いつま。……一緒にいてくれて、ありがとう」

「あぁ、乾杯」


グラスを合わせ、チキンやケーキを口に運ぶ。

お互いに他愛のない冬休みの予定や部活の話をしている間も、彼女の太ももや肩の温もりが、すぐ隣からダイレクトに伝わってきた。外界の冷たい寒気とは無縁の、二人だけのあたたかい聖域。


やがて、お互いへのクリスマスプレゼントを交換し終えた頃、鷗賀はシャンメリーのせいで少し火照った顔を俺の肩に預けてきた。


「ねえ、いつま。私、今夜は……お家に帰りたくないな」

マフラーに顔を埋めていた時のように、彼女は俺のシャツの袖をぎゅっと握りしめ、消え入りそうな声でおねだりをしてきた。


「最初から帰す気なんてないよ。親にも『鷗賀の家に泊まる』って嘘の連絡を入れさせたのは誰だ?」

「うぐ……っ、それはそうだけど……っ。でも、男の子の部屋に泊まるの、本当に初めてだから……すごく、ドキドキして……」


彼女の大きな瞳が、部屋のイルミネーションの光を反射して、潤んだようにきらめいた。

俺は立ち上がると、彼女の細い手首を掴み、そのままソファーの上へとゆっくりと押し倒した。


「ひゃうっ……、いつま……」


赤いドレスがソファーのクッションに広がり、白い肌とのコントラストが息を呑むほどに美しい。俺は彼女の上に覆い被さり、その華奢な両肩を優しく、だけど拒絶を許さない力強さで押さえた。


「おうか。お前が俺の部屋に泊まるってことが、どういう意味か分かってるんだろ?」

「うん……分かってるよ。……私の全部、いつまにめちゃくちゃにされてもいいって……そう思って、今夜はここに来たんだもん……っ」


覚悟を決めたような、だけど熱く濡れた彼女の告白。

俺の胸の奥の支配欲が、今夜の冷たい夜空を焦がすほどの熱量で爆発した。


「……じゃあ、遠慮なくいただくよ。俺の、最高のクリスマスプレゼント」


俺は彼女の顎を指先で掬い上げると、イルミネーションの光が点滅する静かな密室の中で、その甘く熟した唇へと、深く、深く唇を重ねた。


「んむ……っ!? ――ん、はぁ……んぅ、いつ、ま……っ……!」


初めての『お泊まり』という響きが、二人のキスをこれまでにないほど生々しく、熱く変えていく。

鷗賀はドレスの肩紐がさらに滑り落ちるのも構わずに、俺の首に両腕をきつく絡め、俺のすべてをその身体で受け入れようと必死にしがみついてきた。

外は冷たい雪が降り始めようとしていたが、この部屋の、このソファーの上だけは、世界のどこよりも熱い愛の巣へと変わっていた。


俺は、理性を完全に溶かされて俺の名前を何度も喘ぐ愛おしい恋人を抱きしめ直すと、夜が明けるまで、二人の初めての夜をどこまでも深く、濃厚に満たし続けるのだった。

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