表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼっち勇者『ああああ』は、今日も誤爆で彼女が増える ~イチャイチャ必須の異世界で、俺の財布だけが死んでいく~  作者: あいうえお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/27

【第3話②】神様のクソ仕様

「そんなこと、で済む話か。被害者はひどく衰弱して、中には呼びかけにもまともに反応しなくなったやつもいるんだぞ」


「倒れた場所だけ追ってても、たぶん共通点は見つからねえぞ」


「……知ってるのか」


 慎重に聞き返す。


 情報通が「知っている」と言うなら、たぶん本当に知っている。


 問題は、その情報がいくらに化けるか、だ。


「あのな。この世界じゃ、普通の魔物や流行り病だけ追っても、答えに辿り着けねえことがある」


 メロンが、一瞬だけ宙を見た。


 パンを持つ手が、止まっている。


「じゃあ、何を追えっていうんだ」


「さあな。神サマのクソ仕様が絡むと、医者に診せても分からねえことがある――ま、こっちの話だ」


「……いや、気にするだろ。今、依頼の核心っぽい単語をサラッと流したよな」


 メロンは答えず、パンをひと口かじった。


 こいつの口は、いったん閉じると鍵がかかる。深追いすれば、割増料金の予感しかしない。


 ……あとで、ちゃんと聞く。


 聞くからな。


「それより、だ。――おやおや?」


 案の定、メロンは強引に話をぶった切ると、ぐいと身を乗り出して、俺の顔を覗き込んできた。


 ふざけた気配が、ふっと消える。


 値踏みするような、妙に静かな目。


 こいつは時々、こういう目をする。


「お前、隣町の護衛依頼で一週間、出っぱなしだったよな」


「ああ。今朝帰ってきた。……よく知ってるな」


「で? 向こうで女の子と、よろしくやってきたのかよ」


「は? してない」


 即答だった。


 我ながら悲しくなるくらいの即答だった。


 一週間でやったことといえば、夜営の見張りと、壊れた車輪の修理と、依頼主の長い自慢話への相槌。


 以上だ。


 メロンが顔をしかめた。


 信じられないものを見る目になる。


「……じゃあその間、自分で『処理』もしてねえのか」


「――っ」


 俺は反射的に周囲を見回した。


 串焼きの屋台。


 吟遊詩人。


 親子連れ。


 真っ昼間の、広場のど真ん中である。


 声を落とす。


 落とすしかない。


「……おい。何の話をしてるんだ、こんなところで」


「バカ、自分から変な顔すんな、ヘタレ。こっちが恥ずかしいだろ」


「お前が変なことを聞くからだろ。俺は事件の情報を聞きに来たんだぞ」


 抗議の声まで小声になっているのが、我ながら情けない。


 ここで張り合って大声を出したら、確実に俺のほうが変質者枠だ。


 撤退戦である。


 声量は、下げたまま守り抜く。


「……おいおい、マジかよ」


 メロンは大真面目な顔で、俺の額のあたりに視線をやった。


「お前のソレ、大丈夫か? このままだと――爆発すっぞ」


「……は?」


「だから、爆発するっつってんだよ。お前の、股間が。ドカーン、とな」


 噴水の水音だけが、やけに大きく聞こえた。


 爆発。


 股間が。


 ドカーンと。


 ……いや、落ち着け。


 比喩だろ。


 比喩であってくれ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ