表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼっち勇者『ああああ』は、今日も誤爆で彼女が増える ~イチャイチャ必須の異世界で、俺の財布だけが死んでいく~  作者: あいうえお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/29

【第5話③】ハーレム枠(仮)

 そう、安堵しかけて――急に、自分が言ったことの全貌が、改めて見えてきた。


 夜。噴水前。付き合ってくれ。大の男が。遠ざかる背中に向かって。声を、張り上げて。


「わ、忘れてくれ。今のなし。なしで」


 俺は顔を覆って、ベンチに座り直そうとした。


 ――その襟首を、いつの間にか引き返してきていた誰かの手が、ガッ、と掴んだ。


「――あ?」


 振り向くと、メロンの顔が、すぐそこにあった。


「言い逃げは、許さねぇぞ」


「え」


「今、『付き合ってくれ』って、たしかに言ったよな? 夜の、噴水の前で。言ったよな??」


「シチュエーションを復唱するな! お前、ついさっき自分で流しただろ!?」


「うるせぇ! じ、人生最大級の不意打ちだったから、処理が遅れただけだ! 取り消しは認めねぇ! 言ったな!? 言質取ったからな!?」


「お前さっき『変な気起こすな』って言ったばかりだろ!」


「記憶にねぇな!」


 メロンは怒鳴りながら、俺の胸ぐらを掴み直した。


 細い指のはずなのに、勇者級ステータスの俺が振りほどけない。相変わらず、この握力の理屈が分からない。


 耳は真っ赤なまま。なのに口元には、見たことのないくらい凶悪な笑みが、浮かんでいく。


「ひひっ……ひーひっひっひ! ヘタレのぼっち男が、一生アタシに貢ぐって言ったんだ! 後悔しても遅いぜ? これからは毎日、朝昼晩と高級メシからのデザート食べ放題だ!」


「待て! 朝昼晩は言ってない! 俺が言ったのは汚染値の管理で――貢ぐとも言ってない!」


「さぁ、明日からはデート資金稼ぎのクエスト三昧だ! アタシが彼女として応援してやるから、あの山のワイバーンでも狩ってきな!」


「話が大きい方向にしか転がってないぞ!?」


 ……あと、その単語は今いちばん聞きたくなかった。鱗をギルドに預ける羽目になったのが、つい先日である。


 ピロリロリン――♪


【システムメッセージ】

 メロンが『ハーレム枠(仮)』に登録されました!

 汚染値の調整相手が、ひとまず確保されました。

 ただし、【財布の危機】が永続付与されます。

 ……お幸せに。


「最後の一文、明らかに感情入ってなかったか!? あと永続付与!? それデバフだろ! 解除方法は!?」


 ウィンドウは、無慈悲に閉じた。都合が悪くなると、本当にすぐ逃げる。


 ……というか、今の効果音。


 どこかで聞いた覚えがある。


 百円で買った、あのタイトル画面と、同じ音だ。



「仕方ねぇな。ほら、行くぞ」


 メロンが、手を差し出した。


「ど、どこへ」


「記念パーティーだ。彼女になった記念。テラス席が空いてる」


「待て。今夜はもう財布が――」


 抗議は、夜風と一緒に流された。


 夜のテラス席。ランタンの下、メロンは頬杖をついて、心底幸せそうに笑っていた。日雇いで取り戻した金は、一時間でほぼすべて蒸発した。


「ぶはー、食った食った。彼女になって初めての飯が、一番うめぇな!」


「俺の数日分の労働が……荷運びが……薪割りが……」


 うなだれた俺の視界の端で、ふと、世界が暗転した。


 夜空に、金縁の装飾枠が浮かぶ。


【GAME OVER?】


 メロンEND


 ――終わらない奢りループ――


「えっ、END!? 俺の物語、ここで終わり!? しかも『終わらない奢りループ』ってなんだ!」


 慌てて表示を見直し、俺は末尾の一文字に気づいた。


 ……待て。


 『GAME OVER?』。


 『?』が、付いている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ