カステヘルミ様とロニア様は私の天使様 47
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ③ が令和8年4月1日に発売となります!!
御礼企画としてカステヘルミとロニアの帝国での物語を毎日掲載します。お話はどんどんと展開していくので、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!!
大陸を唯一、統一を果たしたと言われるグアラテム王には特別な力があったと言われており、その力は十二人の子供たちへ、子どもたちの力はその後、子孫に受け継がれることになったというのは知る人ぞ知る話だ。前の皇帝は『攻』の力を持っていたため、周辺諸国を武力によって平定し、国土を広げることになったのだが・・
「前の皇帝は戦うことに特化していたけど内政は無茶苦茶、帝国は崩壊の危機を迎えることになったんだけど、ちょうどこの時に皇位を継承することになったのが今の皇帝陛下で、陛下は『聞』の力を持っていた。どの話が帝国に益することになるか、聞いているだけで分かるような方だったからあっという間に『賢帝』と呼ばれるようになり、多くの民の支持を受けることになったのよ」
カステヘルミの説明を聞いていたロニアが不敬なことを言い出した。
「『聞』って一番最弱の能力のように思えるんですけど」
「ちなみにウィサーム殿下は『話』の力よ」
「ああ〜、何となく分かるかも〜」
「陛下はファティマ妃、ザーフィラ妃の他に三人の妃を娶っているけど、どういった方々かロニアは知っているかしら?」
「私が噂で聞いたところによると、古から続く有力な家系、有力な部族にいるけど母親の身分が低くて、虐げられていたような娘ばかりだって。陛下はファティマ妃を溺愛しているので、側妃として迎え入れても、自分の生活環境に文句も言わずに満足するような方々で取り揃えていたって」
「文句を言わない、それは確かにあるかもしれないけれど」
カステヘルミはロニアの方を見ると、意味ありげな笑みを浮かべながら言い出した。
「この三人、元を辿れば確実にグアラテム王の子孫の力を持っていたという人の孫か曾孫にあたる人たちなのよ」
自分が持っているからこそ、その特異な力の重要性を理解していた皇帝は、いずれは複数の妻を持たなければならないというのなら、その妻は特殊な力を持った血筋の者にしようと考えた。グアラテム王の子孫の力とは一切関係ないという妻は第一妃のファティマと第二妃のザーフィラだけだ。
「ハヌラン族の巫女は夫を一人しか持たないことは有名な話だったので、複数の妻を娶らなければ皇帝が娶るわけにはいかなかった。だからこそ、アクトゥム家の主人であるバッサム様がワヒーダ様をたった一人の妻として娶ると言い出したため皇帝は承諾することになったのよ」
「女神は嫉妬をしやすいから?」
「多くの妻と夫を共有する気がないの」
女神マナは二つ頭のジャガーと人魚との間に生まれた子で、出生からしておかしなことになっているのだが、神話なのだから仕方がない。
「二人の結婚をお許しになった陛下はそのワヒーダ様が産んだ子とアブデル皇子を結婚させようと考えた。そもそもアブデル皇子は、決して皇帝にはならないという約定のもと生まれた皇子だったみたいなの」
カステヘルミはロニアに顔を寄せるようにしながら言い出した。
「ファティマ妃が産んだ第一皇子は陛下と同じように『聞』力を持ってお生まれになっているの。だからこそ、次の皇帝は第一皇子で決定。陛下はザーフィラ妃の後ろにいるハシーフ家を慮って、アブデル皇子をアクトゥム家に婿入りさせる道を用意されることになった。ダラール様との間に子供が生まれて、その子がグアラテム王の子孫の力を継承することになったなら、皇帝となった第一王子も囲い込みをするだろう。こうして皇宮を離れた後も皇家と密接な関係を保てる道を用意されたのに、皇子と妃は何もかもぶち壊しにしてしまったのね」
「ザーフィラ!お前の茶会で招かれた夫人が毒殺されたということだが、お前が用意させた毒によって死なせたことはすでに分かっておる!どうせお前のことだから、その毒でファティマを殺そうと企んでいたんだろう!」
皇帝はザーフィラ妃の頭を掴みながら引き摺り回しているので、アクトゥム家の一堂は完全に顔色を失っている。ただし、アハリ族から嫁いだライラだけが我関せずといった様子で、つまらなそうにあくびを噛み殺していると、
「アハリの族長の末娘よ、自分は関係ないという顔をしているようだが、なんでお前は自分が無関係だと考えているのだ?」
皇帝はザーフィラ妃の頭を掴んだまま問いかけてきたので、
「ええ?だって私は関係ないじゃありませんか!」
ライラはにこりと笑って言い出した。
「ダラール嬢を虐め続けた挙句、排除しようと考えたのは、アクトゥム家の主になりたいと考えたカーズィムとその妻ヌールハーン。それと、自分が生んだ皇子に複数の妻を娶らせることで勢力を拡大し、次の皇帝にしてやろうと考えた、そこで皇帝に頭を掴まれているザーフィラ妃ではありませんか?」
小首を傾げた皇帝は不遜な態度を平気でとるライラを見つめて微笑を浮かべると、
「おい! 今すぐに連れて来い!」
皇帝の言葉を受けた大扉を守る衛兵が、大扉に手をかけた。
下々の者はこの大扉から皇帝の間に入って来ることになるのだが、開かれた大扉から引き立てられるようにして、ハシーフ家の主人家族とアハリ族の族長一家、そして彼らを支える長老たちがぞろぞろと揃って入って来ることになったので、
「ええ? カステヘルミ様? どうなっちゃっているんですか?」
階下を見下ろしていたロニアが驚きの声をあげると、カステヘルミがニヤリと笑う。
「みんな、今の皇帝が『聞』力を持っているからって、何でも話を聞いてくれる気さくな皇帝程度に考えてしまっているんだけど、若かりし頃には周辺諸国を征服しまくる父親について戦い続けた。どんどん戦死していく皇子の中で、唯一生き残ることに成功をした皇子なのよ?」
カステヘルミは緊張状態の大物たちを見下ろしながら、
「『攻』の力は引き継いでいないけど、『攻』の血は引いているのよ。お偉いさんたちっていつでも自分たちの都合が悪いことは、すっかりと忘れてしまう傾向にあるのよね」
と、言い出したのだ。
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ③ が令和8年4月1日に発売となります!!現在掲載中のロニアとカステヘルミの五年後の物語が3巻のお話となりますので、合わせて読んでも面白い!!掲載中のお話もどんどんと展開していくので、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!!
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