カステヘルミ様とロニア様は私の天使様 46
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ③ が令和8年4月1日に発売となります!!
御礼企画としてカステヘルミとロニアの帝国での物語を毎日掲載します。お話はどんどんと展開していくので、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!!
アタファには何が起きているのかが良く分からなかった。
何故、皇帝陛下は怒っているのか?
何故、カーズィムが叱りつけられているのか?
第四夫人になったライラの方を見ると、ライラは素知らぬ顔で欠伸を噛み殺しているが、ヌールハーンも、第二、第三夫人も顔を真っ青にしている。
「あなたはちっとも理解出来ていないようですね?」
いつの間にかアタファの前に来ていたウィサーム第二皇子が言い出した。
「ダラールの母であるワヒーダはハヌラン族の族長の娘だった。ハヌラン族は代々女族長が一族を率いることになりますが、ワヒーダの父となった男が妻の腹違いの妹に懸想をすることになり、妻を裏切る形で毒殺。腹違いの妹こそが真なる巫女であると主張し、女族長となるべきだったと宣言をしたところで、一族もろとも滅ぼされることになったんですよ」
それはダラールの母の話になると思うのだが、怖くなったアタファは黙って第二皇子の話に耳を傾けることにした。
「ハヌラン族は昔から女神マナの子孫と言われており、特別な力を持っているとされていました。彼らもまたグアラテム王の子孫であり、彼らが持つ力というのは『恵』という、非常に貴重なものだと言わざるを得ません」
ウィサーム皇子はアタファの周りをぐるぐると歩きながら言い出した。
「『恵』これには色々な意味が含まれていると思うのです。植物を育む恵もあれば、水の恵もあるでしょう。かのグアラテム王の子孫には特別な力が残されたというのは有名な話ですが、そのうちの一つに『恵』があるのは有名な話ですよ」
「ウィサーム殿下ったら相変わらず話が長いのよね」
「ロニア」
カステヘルミが自分の口先に指を当てて黙るように言うので、ロニアは下唇を噛みながら黙り込む。
「あなたたち親子がアクトゥム家に入り込んだのが八年前のことになりますが、帝国全土の降水量が明らかに減ってしまったのが八年前からのこと。ハヌラン族が治めていたバヌー・ハヌランの地の状況は特に深刻なもので、オアシスが幾つも枯渇することにもなったのです。あなたたちがダラールを虐めるようになってからというもの、帝国はじわじわと取り返しがつかないほどのダメージを受けることになったのです。それはここ八年の統計を確認するだけですぐに分かることです」
居心地悪そうにしているアブデル皇子の前で、
「ダラールの母方の一族であるハヌラン族は、女神マナの子孫と言われています。二つ頭のジャガーの父と人魚の母を持つマナははじめ、異形の姿で生まれることになりますが、人間に恋をして姿が変わり、後に恵の神として崇められるようになりました。この女神が嫉妬深いのは有名な話になりますし、代々、ハヌランの直系女子はたった一人の夫しか持つことはなかったそうです。複数の妻で一人の夫を共有するようなことを嫌ったんでしょうね」
ウィサーム皇子は言い出した。
「陛下は第三皇子である貴方がダラールと結婚することで、名門として確固たる地位を確立しているアクトゥムの家と、ダラールの中に流れる『恵』の力を与えようとしたのです。貴方は皇帝になることはないけれど、富と権力、そしてグアラテム王の子孫の血という特別な力を手に入れることが出来たのです。ですが貴方の母は強欲過ぎたがために、それだけでは納得がいかなくなってしまったのでしょう」
奥の扉が開くと、両腕を衛兵に掴まれた状態のザーフィラ妃が現れる。
妃の髪は乱れ、怒りで顔が真っ赤になっていたのだが、
「ザーフィラ、其方はハシーフ家が妃を出したという事実と、皇帝の子を産むことで一族に存在感を示すことが出来ればそれで良いと言っていたよな?」
皇帝は第二妃に軽蔑と憎悪の眼差しを向けながら言い出した。
「皇帝の地位を継ぐのは第一妃の子で構わない。自分は子供を一人産めば、一族に対しての役割は終えたことになる。其方がハシーフ家の娘だからこそ、アブデルには最高の婿入り先を用意した」
皇帝は妃の前まで足を運ぶと、乱れた髪の毛を鷲掴みにしながら言ったのだ。
「お前、グアラテム王の力を舐めているのか?」
皇帝が大陸統一を果たしたグアラテム王が大好きだという話は有名なのだが、
「ハヌランの巫女と結婚させてやると言っているのに、それ以上の欲を何故持つのだ?お前は私の前で言ったよな?自分は欲を持たないと。だというのに何だ?今、お前は何をやっている?ダラールを排除したらアブデルに複数の妻を持たせることが出来るから、可能な限り有力部族の娘を集めて妃を選ばせる?」
皇帝はザーフィラを蹴り付けながら言い出した。
「私はイブリナ帝国の皇帝であり、氏族社会を尊重する心を持っている。だがな、お前たちがダラールの排除を企んだおかげで帝国が大きな損害を被ることになったのだ。恵の力は減り、お前はどれだけの水源が枯渇したかを知っているのか?」
「私はダラールを排除しようなんて思っていません!」
殴りつけられたザーフィラ妃は床にその身を投げ出すことになったのだが、
「これは神話が絡む話になるんだよ」
皇帝はザーフィラの胸ぐらを掴みながら言い出した。
「神様系の話なの、分かる?」
カステヘルミはロニアの方を見ながら言い出した。
「国のトップとか帝国のトップとか。大きな権力を持つ人に限って神様頼み、特別な力を信奉する人が多いんだけど、帝国を統べる皇帝陛下は自分がグアラテム王の子孫ということもあって、王が残された特別な力に執着しているところがあるのよ」
「え?皇帝陛下もグアラテム王の子孫なんですか?」
「そうなのよ」
カステヘルミは階下を覗きこみながら、
「だからこそ、子孫に残された力に異様なまでに執着するところがあるのよね」
と、言い出した。
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ③ が令和8年4月1日に発売となります!!現在掲載中のロニアとカステヘルミの五年後の物語が3巻のお話となりますので、合わせて読んでも面白い!!掲載中のお話もどんどんと展開していくので、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!!
もし宜しければ
☆☆☆☆☆ いいね 感想 ブックマーク登録
よろしくお願いします!





