カステヘルミ様とロニア様は私の天使様 43
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ③ が令和8年4月1日に発売となります!!
御礼企画としてカステヘルミとロニアの帝国での物語を毎日掲載します。お話はどんどんと展開していくので、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!!
イブリナ帝国の皇宮内には八本の尖塔が建っているのだが、尖塔のてっぺんにある貴人用の牢屋まで迎えに来たビルギッタは、
「迎えに来るのが遅くなって悪かったわ」
飛びついて来たロニアを抱き止めながら、
「私がもっと動ければ良かったんだけど、同朋を助けるために道理を捻じ曲げるつもりなのかといちゃもんをつけられることになってしまってね」
ビルギッタがカステヘルミに向かって言うと、十三歳のカステヘルミは小さく肩をすくめながら言い出した。
「それもまた、予想通りだったと言えるでしょう?」
カステヘルミはロニアと共にザーフィラ妃の茶会へと向かう時に、しばらくの間は小離宮に帰ることは出来ないだろうと覚悟を決めていた。
絵画の鑑定をさせるということだから、偽物だろうが本物だろうが、忖度なく真実を口にするロニアを利用して、不敬を理由に身柄を拘束するだろうと考えていたのだが、
「それにしたって子飼いの夫人を一人、わざわざ殺してまでカステヘルミに罪を着せるとは思いもしなかったわ!」
ビルギッタがロニアを抱きしめながらため息混じりで言うので、
「本当にそうですわね。今回のことで世界は自分を中心に回っていると第二妃が考えているのが良く分かりましたし、ワアド様が居なかったら本当に危ないところでした」
カステヘルミも同意するように言い出した。
ザーフィラ妃を陰ながら支えて来たハイファ族の女族長ワアド・ハイファは皇帝陛下が送り込んだ監視人だ。
皇帝陛下もコレクション出来なかった有名絵画を引っ提げて茶会に現れ、意地悪そうな笑みを浮かべながらカステヘルミを尖塔に送るべきたと主張した老婦人は、カステヘルミとロニアを妃の魔の手からあっという間に逃してしまったのだ。
「貴女たちはその女族長の所為で尖塔に一ヶ月、監禁状態になってしまったけれど」
「命あっての物種ですもの!」
ザーフィラ妃としてはカステヘルミを毒殺犯に仕立て上げたうえで自分が有利になるように物事を動かしていこうと考えたのだろうが、想像以上にカステヘルミが手を回していた結果、第二妃は歯痒い思いをすることになっただろう。
「皇帝陛下は三日後に勅命によって招集をかけると言っているのだけれど」
「まあ! 随分と早いこと!」
「私の家で貴女たちの面倒をみる了承を得ていますからね」
「それじゃあ、ビルギッタ様の家に行くの?」
「ロニアのお祖父様は船に乗ってしまってしばらくの間は帰ることは出来ないからね。小離宮も今は危なくて使えたものではないから、カステヘルミもロニアと一緒にアブデルガデルの家へ行きましょう」
「それじゃあ、ザーフィラ妃は小離宮に入ったということかしら?」
「そりゃあそうよ」
ビルギッタは皮肉な笑みを浮かべながら言い出した。
「毒殺犯の家を捜査するんだと息巻きながら、奴らはどさくさ紛れにイザベルの研究資料を没収しようと考えたみたいだけど、肝心の小離宮がもぬけの空も同然だったものだから随分とお怒りのようだったんだ。だけど、カステヘルミが毒を用意したという証拠を捏造することは出来たから、こっちが呆れ返るほどのドヤ顔をしていたよ」
第二妃によって毒殺をした証拠が皇宮に提出されることになったのだが、カステヘルミが帝国人ではないので帝国法に則って裁くのには時間が掛かるとか、処刑をするにしてもラハティ王国との交渉は不可欠だとか言って、裁判までの時間を先延ばしにしていたところでウィサーム殿下が帰って来た。
何をどうしたのかはカステヘルミには分からないけれど、ウィサーム殿下の話術は飛び抜けたものがあるので、あっという間にカステヘルミとロニアは仮釈放となり、ビルギッタが責任を持って保護観察をすることになったようだ。
こうして十三歳の異国の少女二人が一ヶ月ぶりに尖塔から出ることになったのだが、
「三日後に勅命で招集をかけると言うけれど、一体、誰を皇宮に呼びつけると言うのかしら?」
カステヘルミの問いに、
「ここだけの話だけど」
ビルギッタはカステヘルミの耳元に顔を寄せながら、囁くように言い出した。
「名門アクトゥム家の一同を、皇帝陛下は当日の朝に呼び付けるということをやるつもりみたいね」
ウィサーム殿下はまだ帰って来たばかりだというのに、随分と動きが早いなとカステヘルミが考えていると、
「陛下は三日後に行われるアクトゥム家への断罪にカステヘルミを立ち会わせようと考えているんだよ」
と、ビルギッタは言い出した。
「なんとか交渉をして二階の側廊から眺める形にしても良いと言われたんだけど」
「カステヘルミ様が行くなら私も行きますから!」
ロニアはカステヘルミの手をぎゅっと握りながら言い出したので、
「ロニアったら、貴女、本当にバカね」
と、答えてカステヘルミは大きなため息を吐き出した。
イブリナ帝国の皇帝陛下は『賢王』と言われるほど誉高く、民に親しまれ、『話』を聞く皇帝として有名なのだ。今回、カステヘルミの言う通りに行動を起こそうと考える皇帝陛下は、ことの成り行きをカステヘルミにも見せた上で、場合によっては罪を着せることも考えているのだろう。
そのことを察したロニアはカステヘルミの手を握ったまま離そうとはしない。
幼い時から親元を離れて帝国へとやって来た二人は、それだけ堅い絆で結ばれているのだろう。
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ③ が令和8年4月1日に発売となります!!現在掲載中のロニアとカステヘルミの五年後の物語が3巻のお話となりますので、合わせて読んでも面白い!!掲載中のお話もどんどんと展開していくので、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!!
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