カステヘルミ様とロニア様は私の天使様 42
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ③ が令和8年4月1日に発売となります!!
御礼企画としてカステヘルミとロニアの帝国での物語を毎日掲載します。お話はどんどんと展開していくので、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!!
アハリ族の族長の娘であるライラは放蕩者で有名だ。
同腹の姉から結婚相手を奪い取り、愛する人を失った姉が失意から自殺をしても一切気に掛ける素振りも見せず。その後、従姉の結婚相手が欲しくなり、奪い取ったところで従姉は失踪。絶望のあまり入水自殺をしてしまったのだが、
「それの何が問題だっていうのかしら?」
罪悪感というものがライラに芽生えることはない。
ライラは男を奪い取るのが好きなだけで、奪い取った後は興味を失ってしまうのが常なのだ。
「貴女がライラを甘やかし過ぎるから、ライラの結婚相手は居なくなってしまったではないですか!」
ライラの母が言う通り、ライラの周りには遊び目的の男しか集まらない。
甘やかされて育ったライラは男を愛し尽くすということは考えない。姉と従姉を自殺に追い込んだというだけでも瑕疵がついているというのに、性格に難があり過ぎて誰も妻に娶りたいとは思わなくなってしまったのだ。
そんなライラの元に結婚話が持ち込まれることになったのだが、
「アクトゥム家の第四夫人だなんて最高じゃない!」
まずは顔合わせということでアクトゥムの屋敷を訪れたライラは、帰りの馬車の中で父親に向かって言い出した。
「あの第一夫人の顔を見た?ありえないほど嫉妬を丸出しにしていたでしょう?夫人はまだまだ夫の愛を信じているようだけどそういうところが最高なのよね!」
ライラは男のことを愛してやまない女から奪い取るのが何よりも好きなのだ。
「物凄くプライドが高そうなあの顔がたまらないわね!しかもあれは私と同族でしょ?」
「同族とはどういう意味で言っているのだね?」
「絶対に、あいつは人を殺したことがあるわ」
ライラは実の姉と従姉を死に追い込んでいるのだが、
「ああいう奴が私は何よりも好きなのよねえ〜」
ライラが舌なめずりをしながら言うと、父は咳払いをしながら言い出した。
「まあ、女同士がどんな争いをしても構わないのだが、アクトゥム家はいずれ妃殿下が吸収するおつもりだから」
「お父様ったら分かっているわよ〜!」
その後、結婚の儀式も満足にあげないままライラはアクトゥムの屋敷に上がり込み、カーズィムと閨を共にするようになったのだが、
「うふふふふっ・・嫉妬している・・嫉妬している」
毎朝、ヌールハーンの顔を見るのがライラの楽しみの一つになったのだ。
ヌールハーンよりも遥に大きな後ろ盾を持つライラが夫の愛を独り占めにすれば、使用人や一族の者たちはライラに重きを置くようになる。
この頃からヌールハーンは八つ当たりをする対象として、アタファを探すようになるのだが、
「あぁら、貴女が本当にアタファなの?バッサム様がまだ生前だった頃には美少女として有名だったと思うのだけれど〜」
皇宮に出発するために準備を整えたアタファがかぶっていたベールを指先で押し上げながら、
「女の子なのに可哀想〜!暴力を振るうにしても加減ってものを知らないと駄目なんだってことを親に教わらなかったのかしら〜?」
ライラはクスクス笑いながらヌールハーンの方を振り返る。
ヌールハーンは怒りを押し殺すようにして俯いているのだが、その姿が滑稽過ぎてライラは吹き出すようにして笑ってしまうのだ。
大家を取り仕切る夫人はドンと構えて感情を見せないのが常なのだが、ヌールハーンは感情がすぐに顔に出てしまうし、頭が悪すぎて小細工が出来ずに、すぐに暴力にうって出るような短絡的なところがあるのだが、
「お父様・・」
殴られて腫れ上がった顔を露わにされても泣きもせず、アタファはカーズィムの前で項垂れて見せたのだ。
哀れを誘うその姿は間違いなく計算して行っていることであり、バカなカーズィムは早速アタファにほだされそうになっているのだが、
「ハハハッ」
ライラにはその姿が面白くて仕方ない。
第二夫人と第三夫人は明らかにヌールハーンのことを嫌っているのだが、だからといって新参者のライラに擦り寄ろうとはしない。
ライラの悪い噂を聞いているのだろう、子供たちは皆、軽蔑した眼差しでライラを見ているのだが、
「・・・」
カーズィムに寄り添うように立ちながら、アタファはライラに向かって微笑を浮かべた。ヌールハーンの暴力によって額は傷つき、腫れ上がった目は僅かにしか開いていないような状態だったのに、アタファから覇気のようなものをライラは感じたのだ。
「うわ〜、すっごい楽しみなんだけど〜」
皇帝陛下から勅命での呼び出しを受けたということで、籍を入れたばかりのライラも皇宮に向かうことになったのだが、四人の夫人たちの中で飛び抜けて素晴らしい衣装を身に纏っているライラは、
「ライラ、手を」
中央国家式にエスコートを申し出るカーズィムの手を取りながら、悔しそうに顔を歪めるヌールハーンに視線を送るのを忘れはしなかった。
「アタファ、貴女は私たちと同じ馬車に乗りなさい」
ライラに声をかけられるとは思いもしなかった様子で、
「かような栄誉に浴し、恐悦至極にございます」
アタファは一歩引いて臣下の礼をした。そういうところもライラの気に入るところだったのだが、
「アタファは別の馬車に乗る予定ですのよ!」
ヌールハーンが甲高い声で言い出した。
「子供たちは揃えておかなければ、馬車寄せで降りる際にみっともないことになるではありませんか!」
「そう言ってこの娘だけ荷馬車にでも乗せるつもりなんじゃないの?」
カーズィムの手を離してアタファの肩を掴んだライラは、アタファの顔を隠すベールを外してしまう。
「ねえ?知っていたかしら?最近の貴婦人たちはマウザ様が産んだアタファがどうなったのか気になって仕方がないみたいなのよ。ほら、貴女って思った以上に暴力的だったりするでしょう?」
ライラに顎を掴まれたアタファは俯くことも出来ずに顔を上げ続けることになったのだが、
「その噂を耳にした皇帝陛下がこの娘のことを気にされて、わざわざ皇宮に呼び寄せるようなことをしたのだと私は思うのよ。今のところダラール様も行方不明のままだし、バッサム様が残された唯一の娘はアタファだけということになるでしょう?」
皇帝陛下は氏族社会を尊重されるお方なので、家の中で起こることや女同士の争いに対して介入することなどしないのだが、
「血筋を何よりも大事にする陛下がどんな判断をするのか、私、と〜っても楽しみなのよ!」
今回の謁見でアタファへの虐待は明らかになるだろう。
それを見て皇帝陛下がどう判断するかは分からないが、家の障りとなるようであれば、カーズィムというバカな男は簡単に自分の妻を切り捨てる道を選ぶだろう。
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ③ が令和8年4月1日に発売となります!!現在掲載中のロニアとカステヘルミの五年後の物語が3巻のお話となりますので、合わせて読んでも面白い!!掲載中のお話もどんどんと展開していくので、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!!
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