カステヘルミ様とロニア様は私の天使様 35
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ③ が令和8年4月1日に発売となります!!
御礼企画としてカステヘルミとロニアの帝国での物語を毎日掲載します。お話はどんどんと展開していくので、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!!
私の夢はラハティ王国に行くことです。
里帰りをするカステヘルミ様とロニア様と共に船を乗り継いで大陸の北に位置する王国に移住をして、帝国語の通訳になるのが私の夢になったのです。
カステヘルミ様とロニア様が居なければ実現しようもない夢なのですが、
「一体、どうやって二人を救出するというのですか?」
と、ウィサーム殿下に問いかけられれば、
「・・・」
思わず言葉に詰まってしまいます。
お父様が亡くなったのは・・まあ、仕方がないです。
母が生きていた時には母しか見ていない人でしたし、母の死後はマウザ様とアタファしか見ていないような方だったので、薄情と言われるかもしれませんが、正直に言って「ああ、そうなの?」で、終わる話です。
だけど考えてみたら、カステヘルミ様とロニア様を助けるにはお父様の力が必要だったんですよね。名門アクトゥムの当主だったお父様がお亡くなりになってしまったというのなら、皇家の二番目の皇子であるウィサーム殿下を頼らなければならないことになるのでしょうが、
「ウィサーム殿下、大切なカステヘルミ様とロニア様を助けるために殿下が助力をしてくれるのは大変有り難いのですが、私の後ろ盾になるために、わざわざ私の夫になる必要なんてあるのでしょうか?」
私は殿下の涼しげな瞳を見上げながら問いかけましたとも。
「それにですねえ、アブデル皇子の婚約者だった私と殿下が結婚したとして、殿下にどんな利点があるのでしょう?」
良いことなんて何もないんじゃないでしょうか?
「どうやら私は、母方の一族の関係で複数の妻を持つような方の元へ輿入れすることが出来ない。帝国では複数の妻を持つことで自分の後ろ盾を厚くするという考えがあるわけですが、殿下は私を妻に迎えてしまえばご自分の勢力を拡大することが叶いません」
私の母方のハヌラン族はすでに滅びておりますし、父方の方も叔父が当主となったので、私の命を狙うことはあれども私に協力してくれることは絶対にないでしょう。
「母方の後ろ盾のない殿下と私が結婚したとして、殿下に利点は何もないと思えるのですが?」
「何を言いますか、私にとっては利点だらけですよ」
殿下は胸を張って言いました。
「私は元々、複数の妻を持つことに否定的だったのです。複数の妻を持って後ろ盾を厚くする?いらん、いらん。利益や利権を貪ろうと群がる親戚筋を増やすことに何の意味があるというのか!」
「ですが、複数の妻が居た方が楽しいと思いますよ?」
「確かに世の中には複数の妻を持つことこそが一種のステータスと考える人間もいるでしょう。ですがね、私はとにかく、面倒臭いことが嫌いなのです」
殿下は鼻の上に皺を寄せながら言いました。
「複数の妻を持ったら何事も平等に愛を与えなければ騒動の元になると良く聞きますが、はあ?そんな面倒臭いことを誰が好んでやろうと思いますか?かの皇帝陛下だって溺愛しているのは第一妃となったファティマ妃だけで、それ以外の妃はその他大勢の括りになっているではありませんか!その結果、どうなったと思いますか?」
「えーっと」
「第二妃となったザーフィラ妃は極太の実家を頼って謀反を企んでいるのです!」
「え?謀反を企んでいるんですか?」
「そりゃあそうでしょう。陛下が望む第一皇子を押し退けて自分が産んだ第三皇子を皇帝の地位に据えようと考えているのですから、謀反以外の何ものでもありません!」
まあ、確かに、第二妃様は常々自分の生んだ皇子を皇帝にしたいと考えているような人でしたものね。
「謀反は分かりましたけれど、殿下、また話がずれておりますのよ?」
「私は一体、何の話をしていたのだったか」
「私と結婚する意味を問いかけているのです」
「貴女と結婚する意味ですか?」
殿下は思案するように目を瞑ると、再び涼しげな瞳を私に向けながら、
「それは、貴女を愛しているからです」
と、完全なる口から出まかせを吐き出したのでした。
「はあー〜」
「何故、ため息を吐くのですか?」
「いや、別に」
もう、この不毛な話し合いはやめることにしましょう。
私はロニア様とカステヘルミ様を助け出したいし、二人を助け出すには殿下の協力は必須。帝国に戻った時に身動き出来るようにするためにも、殿下の結婚相手という立場は必要なのかもしれないです。
「とにかく、私は生涯、貴女だけを愛します」
「はい、はい」
「複数の妻はいりません、貴女だけがいれば良いのです」
「ああ、そうですか」
「ダラール嬢、貴女は私の言葉を信用していませんよね?」
「いいえ、信じていますよ」
「ほら!その顔!全く信用していない顔ですよ!」
「いや、信じています、信じています」
こうして信じています、信じていません、を互いに言い合いながら馬車と機関車と馬車と車を乗り継いで帰ることになったのですが、帝都の外郭に位置する中規模の都市にようやっとの思いで到着した時に、ウィサーム殿下が言い出したのです。
「書面で請求はしているのですが皇帝陛下が本当に貴女との結婚を認めるかが分からないので、ひと足さきに帝都まで行って皇帝陛下の承諾を取って来ることにします」
「それでは私はどうしたら良いのですか?」
「この街に護衛の者たちと一緒に待っていてください」
他の皇子と違って周辺諸国を移動することが多い殿下には手練の兵士が護衛となって守っているのですが・・
「私と離れるのがそんなに寂しいですか?ですがそれも一瞬のことですよ、すぐに貴女を迎えに来ますから」
「皇帝陛下の承諾も良いですけれど、いち早く!カステヘルミ様とロニア様の身の安全の確保をお願いします!」
私は殿下の胸ぐらを掴みながら言いました。
「きっと牢屋に入れられて泣いていると思うんです!殿下が行って、早急に二人を解放してきてください!」
私の殿下への対応はかなり酷いものになっているのですが、
「貴女は幼い二人の少女の心配ばかりで、私の心配はちっともしてくれないのですね」
殿下が拗ね出したので本当に面倒くさいです!
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ③ が令和8年4月1日に発売となります!!現在掲載中のロニアとカステヘルミの五年後の物語が3巻のお話となりますので、合わせて読んでも面白い!!掲載中のお話もどんどんと展開していくので、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです!!
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