高校生潜行者ランキング
真那華は高校生潜行者のランキングがあるサイトにアクセスする。
「そりゃ、タンクの枠はそうなるよね」
タンクのランキングは二位との票をダブルスコア以上引き離し、潤が一位になっており、真那華は当然の結果だと思っている。
「サポーター・ヒーラーの枠は・・・・・・源奏?」
「それ、カナカナチャンネルの配信主よ。そもそも、サポーターとヒーラーは人数自体少ないから、ある意味出来レースみたいなものね。ファンが票を入れてるんでしょ」
真那華は奏の本名を知らないため、聖蘭が教える。
しかし、事実はそうだとしても承の特訓と円環、新たにスキルを修得した事によりサポーターとしてもヒーラーとしても魔改造された奏を聖蘭は知らないのである。
「それじゃあ、気を取り直してアタッカー枠も見てみよー」
真那華がそのページに移るとそこの一位には真那華ではなく、配信者としての名前である魔法剣士マナという名前が記載されていた。
「まぁ、当然な結果だよねー♪」
「それでも、二位の寅松仙迦っていう人と接戦といったところね」
聖蘭が言うほど、そこまで接戦とはなっておらず百ぐらいの票の差がある程度である。
「寅松って、『ゴールドタイガー』のギルドマスターと同じ苗字じゃなかった?勧誘がしつこ過ぎてお姉ちゃんが愚痴ってたね」
潤は燐が『ゴールドタイガー』のギルドマスターとは何度もしつこく勧誘された時に愚痴を散々聞いていたので名前だけは、知っていたのである。
「その割には『バルムンク』でサブマスターやってるよね」
「そのしつこい勧誘を防ぐ為に特にノルマもない『バルムンク』に入ったんだよね」
燐はあまりにも『ゴールドタイガー』の勧誘がしつこく、何度もダンジョンの出待ちをくらいその対処が面倒臭くなり、特にノルマや縛りのない『バルムンク』に加入したのである。
「でも、その本人は『バルムンク』の方針転換したんだよね」
「したはしたけど、基本的にはノルマや縛りはない自由なギルドだね。そこがお姉ちゃんにとって良いところだから、そこは残したみたいだよ。でも、ノルマが無い代わりにB級以上に昇級したり、ギルドへの貢献が高い者に毎年二回特別報酬を出すようにしたんだってさ」
燐と昴はノルマや縛りは、無い代わりにギルドメンバーのやる気と積極性に任せる事にしたくらいであとは基本的に自由だという事は変わってない。
「へー、ウチも卒業したらそこに入ろうかなー」
真那華はノルマや縛られる事が嫌いである為、『バルムンク』とは相性が良さそうだと判断した。
「私も変な勧誘防ぐ為にも入っておいた方が良さそうね」
聖蘭はすでに鍛治職人としての勧誘がいくつか来ており、その全てを断っている。
その中でも、あまりにしつこい勧誘は管理局の局員に対応してもらっていた。
「その中には、わざわざ飛行機まで使って来た連中もいたわね。確かそいつらが『ゴールドタイガー』ってギルドだったわ。噂通りの柄の悪さと素行の悪さね。でも、あの時の承さんが追っ払ってくれたから良かったわ。それにしても、承さんかっこよかったなー」
聖蘭は承に助けられた事を思い出しトリップしている。
「兄ぃは仕事でやってるだけなのに聖蘭ちゃんはすぐ、ウチの兄ぃでときめくんだから・・・・・・」
その聖蘭の反応に真那華は呆れていた。
「さて、私は・・・・・・三位・・・・・・三位!?」
聖蘭はまさかの順位の高さに思わず二度見してしまった。
「十位圏内にいれば上々と思ったけど、まさかの三位・・・・・・」
「やっぱり、龍との戦いの影響が大きいのかな。確かにアレの相手はなかなか出来るもんじゃないからね」
聖蘭は想定外といった感じであったが、龍討伐の影響を考えれば真那華は妥当だと思っている。
「まぁ、龍と戦った僕と真那華が上位にいるんだ。聖蘭が入ってないわけないんだよね」
潤も聖蘭が上位にいる事に何の違和感も感じていない。
「でも、やっぱりアタッカーやってる人って多いんだね。高校生だけでもこんなにいるんだもん」
真那華は想像以上のアタッカーの多さに驚く。
「その中でも魔法使いと剣士の型が多いのかは分からないけど、剣と杖の注文が特に多い気がするわ」
聖蘭は武器の製造で剣と杖が特に多いので魔法使いと剣士はアタッカーの中で多い認識がある。
「それに、真那華の影響で魔法剣士をやろうとしてる人までいるくらいだからね」
潤は真那華の魔法剣士の型を頑張って再現しようとしてる猛者達がいる事を知っている。
「たまに私のところに真那華に弟子入りしたいからと紹介を頼まれる事がたまにあるのよね」
「それは初めて知ったけど、ウチは弟子取る気ないよ。ミツルギは勝手に言ってるだけだから勘違いして欲しくないんだよね。次もし同じこと言うような奴が現れたら断っていいからね」
まさか、聖蘭の所にそんなことを頼む者がいるとは真那華は考えもしてなかった。
「でも、実際のところ真那華って学校と配信以外だと休日とか何処に行ってるのか想像もつかないんだよね」
潤にとっても真那華の行動範囲を予測するのは難しかった。
「真那華はほとんど何処かのダンジョンにいるか、管理局の雑務課のどちらかよ」
聖蘭は真那華の行動範囲をある程度把握している。
「そうだね。あとは服とか化粧品、食料品、生活必需品を買いに行くくらいかなー」
真那華はダンジョンに潜るのが趣味みたいなものではあるが、流石に外行きの服は欲しいため買っている。
「でも、そういう潤ちゃんはジムとか筋トレの道具を見に行ったりしてるんでしょ」
「凄いね。なんで、分かったの?」
「貴女は一番分かりやすいのよ」
潤は基準が筋肉の為、二人にとっては一番分かりやすかった。
「一応、コメントもあるみたいだけど見てみる?」
ランキングの票を入れた人の中にはコメントを書き込んでいる人もいた。
「ウチのは最後でいいから、先ずは潤ちゃんからだね」
「僕の奴は大したことないと思うけど、二人が気になるなら見てもいいかな」
潤はコメントには特に興味がなかったが、真那華と聖蘭が興味津々の様子だったのでみる事にした。
『やっぱり、デカいよな色々と・・・・・・』
『タッパがある女子はやっぱり迫力があるよな』
『姉の方も身長はあるからな』
『あの体格でタンクって中々いないぞ』
『誰も龍の話題には触れないのな』
『触れる必要も無いほどのインパクトがあるからな』
『そもそも、黒鉄妹に票を入れてる時点で龍のブレスを二回も防いでるの分かって入れてるから、敢えて触れないんだよ』
『御嶋ちゃんもいいんだけどね』
『腕は立つと思うよ。でも、彼女をタンクだという事を疑問視する声もあるのもまた事実だからな』
『御嶋と違って黒鉄妹は王道のタンクだから、その票もここに来てるってこと』
『でも、改めて見るとやっぱり凄いな色々と・・・・・・』
このサイトで潤に票を入れた男達は、潤の一点しか見ていなかったりする。
「やっぱり、僕の筋肉って誰から見ても凄いんだね!」
(どう考えても見てる所が違う気がするのよね)
あまりにも潤がポジティブだったため、聖蘭が思うその邪な考えは言い出せなかった。
「次は聖蘭ちゃんだね」
真那華が聖蘭のコメントを見る。
『この子って、鍛治もしてたけどどっちが本職なんだ?』
『どっちもやってるけど、鍛治やってる時とダンジョン潜ってる時とで人が変わるな。あの子は怪物への殺意が強烈過ぎるんだ』
『あながち、狂犬というのも間違って無いくらいの戦闘狂なんだよ』
『マナって子がいるから猟犬で済んでるとこあるからな』
『あの面子で一番まともだと思ってたけど、実際はあの面子で一番ヤバい人』
『怪物を見るだけでレアかそうでないかが分かるらしい』
『レアが出ない相手だと冷たい目をしてる』
『しかも、それをスキルでやってるわけじゃないのが意味分からん』
「・・・・・・」
そのコメントを見て聖蘭は絶句している。
「私へのコメント散々じゃない!?」
「いや、実際そうだからね」
聖蘭はここまで書かれてるとは思ってもいなかったが、潤には分かりきったことだった。
「それじゃあ、ウチのコメント見てみよっか」
真那華は自分についてのコメントを見る。
『配信者かなんぞ知れへんがいちびってんとちゃうで』
『ワイらの仙迦ちゃんが、ぽっと出の小娘に負けるなんてあり得へん』
『どうせずるしたに決まっとる』
『絶対に許さへん』
『ワイらがおとなしゅうしとると思いなや。絶対に分からせたる』
どういう訳か、真那華のコメントにはたくさんの関西弁での罵詈雑言で溢れ返っている。
「何これ、なんでこんなに荒れてんの?コメント入れるためにわざわざ投票したの?頭悪過ぎでしょ」
「たぶんこれ捨てアカでやってるわね」
真那華に対する罵詈雑言のコメントは捨てアカウントで行われてると聖蘭は考えてる。
「ふーん、その仙迦って人のことをウチが抜いちゃったのが余程気に入らなかったみたいだねー」
「この感じだと、あながち『ゴールドタイガー』が無関係とは思えないんだよね。アソコのギルド、過激な連中多いから」
真那華の楽しそうな反応に潤は答える。
「・・・・・・この仙迦って子、無関係どころじゃないわ。『ゴールドタイガー』のギルドマスター・・・・・・いや、ここのギルドでは将軍と言うみたいだけど、寅松仙景将軍の妹みたいよ」
聖蘭は気になり調べたらヒットした。
「魔法と体術を使う魔闘家という型を使うみたいね」
「へぇ、真那華みたいな戦闘スタイルだね」
聖蘭の説明で潤は真那華の戦闘スタイルに似たところを感じた。
「真那華は天才的な知識と戦闘センス、技量でやってるけど、彼女の場合、固有スキル【短縮充填】ありきで可能にしてるみたいね」
【短縮充填】とは魔法系のスキルに限らず魔力を溜める時、溜める時間が短くなるというスキルである。
「関西圏では結構、名の知れた高校生の潜行者みたいね」
「つまり、このコメントはその仙迦って子のファンがやってるわけかー。いいじゃん、売られた喧嘩は買うよ」
真那華は楽しそうな様子で反応する。
正にこの展開は真那華の大好きな展開で、分からせて来ようとする連中を分からせる事が真那華の楽しみの一つであった。
「真那華、凄く楽しそうだね。こんな時は碌でもないことを考えているんだっけ?」
「そうよ。分かって来たみたいね。真那華が楽しそうな時は警戒した方がいいわ。八割くらい碌でもないことだから」
潤も何となくではあるが、真那華のことが分かって来ていた。
「残りの二割は?」
「承さんが関係してることよ。承さんが帰って来るって聞いた時、楽しそうだったじゃない」
「真那華にとっての唯一の肉親だからね。僕もお姉ちゃんしかいないから気持ちは分かるなー」
潤の両親は既に亡くなっているので、両親のいない真那華とはそういう点では理解出来た。




