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クソガキダンジョン奔走記  作者: 酒粕小僧
天才クソガキ始動

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クソガキと害悪獣

『ボルテックロブスタ』、この怪物は『水泡の湖』しか出現しない激レアエネミーで、出現確率が0.05%と言われている。


「へぇ、このモニターから出てるサブウィンドって機能便利過ぎー」


 目の前に小さく映像が映し出されコメントが表示される。


『『ボルテックロブスタ』食べるって本気で言ってます?』


「本気も本気、ウチ、エビ大好きなんだよねー」


 真那華は海鮮は全般好きだが特にエビとイカが大好きである。


「本当は『カイザークラーケン』が良かったんだけど、そいつがいるダンジョンA級以上なんだってさ」


『『カイザークラーケン』ってそれボスエネミーじゃなかった?』


『カイザークラーケン』はA級ダンジョン『荒海墓場』のボスである。


『まさか、『カイザークラーケン』も食べる気だった?』


「だって、イカだよイカ。アレだけ大きかったらイカスミパスタ何人前作れるんだろうって夢が膨らまない?」


『常人はまず怪物を食おうとはしない』


 真那華の話にリスナーはツッコミを入れる。


「まったく、コレだから凡人は、何事も自分の常識で計ろうとするからやんなっちゃう。50年前の大災害、あの時全ての常識は壊れちゃってる事に気付かないなんて頭がお猿さんなのかなー」


 真那華は一つの真理を告げる。


 大災害が発生しダンジョンが出現したと同時に今まで当たり前だと思ってた事が崩れ去った。


『クソ、ムカつくが正論過ぎて反論できねぇ』


『ウッキッキー』


『人間辞めた奴おる』


 真那華のコメント欄は何故か人間を辞めた者で溢れた。


「それにしても、雑魚ばっかりだねー⭐︎」


 真上から何度も怪物が襲いかかって来るが真那華が剣を振るうだけで怪物は三枚におろされる。


「このままじゃ、魚をおろすのが上手くなっちゃいそう」


『なんで、剣で三枚おろし出来てるんですかねー』


『ウッキー(猿には分からない事だ)』


 真那華の後ろには三枚におろされた怪物が散乱してるが、放っておいても一定時間経てば消えてしまうのである。


『というか、どうしてコレでC級なの?』


『S級すら余裕で倒してなかった?』


 リスナーからそんな疑問が噴き出す。


「実力があっても実績がないとC級から上は上がれない仕組みになってるのは『潜行者』をやってる人は頭が猿じゃなければ分かってるはずなんだけどなー」


『ウッキキー』


『ウキー』


『猿が増えた!?』


「日光かな?」


『潜行者』はC級までは実力を示す事でランクを上げる事ができるがそれから上は実力と実績が必要となる。


 実績は実力より証明が難しく未知のダンジョンの初クリアや未曾有の危機の解決、未知の素材を納品しそれが今まで見つかってない素材なら実績が付く。


 そして、最後の一つが起源ダンジョンの各層のボス初討伐である。


「さて、このままボスに行くけど。それじゃあ圧倒的過ぎてつまらないよねー、でも大丈夫条件は満たしてるはずだから」


『条件?いや、まさか』


『ウキーッキーウキ(猿でもコレは分かります)』


『ボスのレアエネミーと戦う気じゃ』


 そんなリスナーの心配を他所に真那華はボス部屋に入る。


「そうそう、流石に分かるよね。ここのダンジョンのボスは『バブリーシーライオン』潤滑性な泡で攻撃して来るトドのような怪物だよ。でも、レアエネミーになると・・・・・・」


 真那華の真上に巨大な泡があり、その中で一体の怪物が泳いでいる。


「『グラフェンナーワル』、あの泡の中の安置から一方的に泡を放って来るのは『バブリーシーライオン』と同じ、でも違うのは」


 真那華が話していると『グラフェンナーワル』が泡を放っている。


「泡の性質が潤滑性のものから粘性のものに変化しちゃうところ。あの粘液泡で捕らえてあのツノでグサリって訳、だから本当は一人では絶対に挑んでは駄目なんだけど無理だと言われたらやってみたいじゃん」


 真那華の真上にいる怪物はイッカクのような怪物で漆黒のツノを持っている。


「あのツノでレイピア作りたいんだよねぇ。欲しい人いるぅ」


 真那華は突然の視聴者サービスを始める。


『マジかよ。でも、期待させといて煽って来そうだからな』


『クソガキだからなぁ』


『実際、あの怪物のツノで出来たレイピアならしばらく交換せずに済みそうだけどな』


「なぁんだ、いらないんだ。それなら自分の分以外は売却しちゃお」


 真那華はリスナーに意地悪をして楽しむ。


『えっ、マジで言ってる!?』


『こいつのレイピア出回ったら、とんでもない事になるだろ』


『乱獲祭り来る!!』


『いや、コイツ自体遅延行為が多いクソ害悪だぞ。乱獲するには効率が悪過ぎる』


「やっぱり欲しいんじゃん。この欲しがり屋さんめ♡」


 真那華は悪戯な笑みを浮かべながら慌てる様子なく泡を避ける。


『上手く避けてるが、コイツの泡って確か・・・・・・』


「追尾効果でガッチリホールドあなたの心臓グッサリスラストー♡ってなる訳ないでしょ。この馬鹿タレがぁ!」


 真那華は四本の半透明な氷の剣を宙に出す。


『アレって確か』


『須藤管理官が使おうとしてた』


『でも、様子がおかしくない?』


『属性が変わってる?』


『氷は水系統の属性だから、もしかすると他の属性があるかもしれない』


 様々な憶測が飛び交う中、真那華は氷の剣で次々と泡を凍らせている。


「この泡は凍らせて処理するのが一番楽、でも問題はアソコに引きこもってる子をどうするか」


『怪物を引きこもり扱いは草』


『そんな可愛いもんじゃない』


『本当はどうするか分かってるんでしょ』


 真那華が考えてるフリをしてるのは既にバレていた。


「まぁ、コレがいいかな。チェストォ【劫火衝裂刃】」


 真那華が剣を振ると大きな炎の斬撃を巨大な泡目掛けて飛ばす。


 泡は一瞬で沸騰し、熱さに耐えられなかったのか『グラフェンナーワル』が飛び出てくる。


『今、何をした』


『炎の斬撃とばしたら泡が沸騰して『グラフェンナーワル』が出てきた』


『というか、上にあった泡小さいの残して消えてない?』


『そもそも、斬撃って飛ばせるっけ?』


『【闘気】のスキルがあれば可能だったはずでも闘気で属性は乗せられなかったはず』


『そういえば、ここのチャンネルの名前って』


 ここでリスナー達はこのチャンネルの名前を思い出す。


『えっ、まさかネタとかじゃなくモノホンの魔法剣士!?』


『じゃなきゃ今のは説明出来ないというか』


『そもそも、剣士と魔法使いの型は両立出来ないんじゃなかったか?』


『出来ない訳じゃなく練習する時の効率が悪いからみんなやらなくなっただけ』


『つまり、ちゃんと両立出来ればああなると』


『出来ればの話だが、普通はやろうとはならん』


『でも、あの型は間違いなく』


 リスナー達は半信半疑であるが魔法剣士の型が実在した事に驚きを隠せなかった。


 真那華は泡から出た『グラフェンナーワル』を一方的に討伐した。


「あー、やっぱり泡から出すと弱々なんだね。みんなも言ってあげないとざーこざーこって♡」


『ざーこざーこ』


『いや、コイツ中々に厄介でここのダンジョンが不人気な理由って手に入る素材がショボイのと通常ボスとコイツの存在が大半を占めてるんだが』


『そういえば、ここのボスのレアエネミーを出す条件ってなんだったんだろう』


「やろうと思えば誰だって出来るから問題だよねー」


 真那華は同意を求めるように答える。


『空中の泡から奇襲をかけて来る怪物の半分以上討伐かつ地上の中立の怪物はスルーするだったかな』


「説明乙、という訳で比較的簡単だから間違っても一人で挑んじゃ駄目だよ♪」


『マナちゃんは?』


「猿が人間の真似は出来ないでしょ。それと一緒、分かったかな?」


『ウッキーキッキー』


『ウキーウッキッキー』


『俺達はとんでもないクソガキに出会ってしまったのかもしれない』


『でも、それがたまらないんでしょ』


『その通りかもしれない。ウキッウキッ』


『猿しかいねーなこの配信!』


「まったくいくら猿並みの知能だからってまさか忘れてないよね。最初から言ってるけど目的は『ボルテックロブスタ』だから出るまで何回でも回ろうね。『グラフェンナーワル』のツノも何本取れるか楽しみじゃない」


『そういえば、倒して料理して食べるまでの配信だったー』


 真那華がそう言うとリスナー達は本来の目的を思い出し絶望するが、『グラフェンナーワル』で作るレイピアも気になるので見るしかなかった。


匿名の猿3:クソガキはクソガキでも関わってはいけないタイプのクソガキだった。

匿名の猿4:『グラフェンナーワル』のレイピア欲しくない?

匿名の猿1:だって『グラフェンナーワル』自体はA級相当なんだろ。手に入れたらしばらく手入れだけで新調しなくても良いって事じゃん。

匿名希望2:お前ら、人間としての尊厳はどうした!

匿名の猿3:クソガキに壊された。

匿名の猿4:『グラフェンナーワル』の前ではそんなもの不要

匿名の猿1:同じく

変態紳士:やっほーってなんか凄い事になってるね。

匿名希望2:なんだろう。お前が来てくれたのが嬉しい事が少し悔しい。

変態紳士:吾輩の扱いwww

匿名希望2:ダメ元で質問するけど『グラフェンナーワル』のツノでレイピア作ったら強いの?

変態紳士:『グラフェンナーワル』って害悪レアエネミーの?あるなら欲しいね。『グラフェンナーワル』のツノは丈夫で頑丈らしいから

匿名希望2:俺も見よう


 そして、この日『グラフェンナーワル』のトレンドがトップを飾った。


 その頃御鶴城は配信を終えてダンジョンから出た直後だった。


 御鶴城はSNSで『グラフェンナーワル』、『クソガキ』、『ボルテックロブスタ』がトレンドに入ってる事に気付きどういう事か見てみた。


無名の剣聖:SNSのトレンドがおかしな事になってるが、俺がダンジョンで配信している間何があった?

匿名の猿3:『グラフェンナーワル』のレイピア配布配信が始まった。

匿名の猿4:違うだろ。『ボルテックロブスタ』を狩って食べる配信だろ。

匿名の猿1:お、これで『グラフェンナーワル』が三本配布されるのは確定したぞ。

匿名の猿3:マナ様やっぱつえーウッキー

無名の剣聖:俺がいない間にこのグループチャットはどうなってしまったんだ?

匿名の猿2:マナ様のファングループになった。もう、認めるしかない。アレは最強のクソガキだ。

匿名の猿4:一番やばいのは変態紳士だ。

変態の猿:『グラフェンナーワル』に吾輩はなりたい。

無名の剣聖:・・・・・・これは通常運転だろ。

匿名の猿4:それもそうか

無名の剣聖:そのクソガキと『グラフェンナーワル』がどうした?『グラフェンナーワル』って害悪クソエネミーじゃなかったか?

匿名の猿1:剣の素材がどうしたって?

匿名の猿2:もう既に『グラフェンナーワル』が剣の素材にしか見えてない奴がいるな。

匿名の猿3:その『グラフェンナーワル』の素材を使ったレイピアを作って配布するんだって、応募が多かったら抽選だってさ。

無名の剣聖:は?そんなの強いに決まってるだろ。『グラフェンナーワル』って雷で攻撃するとツノに雷を纏って強化されるから手がつけられなくなるって話だぞ。そのツノを使ったレイピアが弱い訳ないだろ。それを配布って何考えてやがる。

匿名の猿2:流石、高ランクの『潜行者』は見る目が違うな。

無名の剣聖:で、その配信はどこのチャンネルだ?

匿名の猿4:え?剣聖!?この前怒ってなかったか?

匿名の猿3:それは剣聖のプライドが許さないんじゃ・・・

無名の剣聖:馬鹿を言うな!『グラフェンナーワル』の剣だぞ!剣士なら喉から手が出る程欲しいわ。プライド?そんなものとっくに捨ててやったわ。

匿名の猿2:このグループチャットもう駄目かもしれん。


 そんなこんなで、真那華の配信は続いていった。

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