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クソガキダンジョン奔走記  作者: 酒粕小僧
天才クソガキ始動

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アタッカーにタンクは出来ない

 真那華と聖蘭(セイラ)は『石蜘蛛洞窟』のレアボスエネミー『女王膠灰蜘蛛』の攻略を開始すると『女王膠灰蜘蛛』が天井から降りてくる。


「ウチが女王を抑えるからその間にたくさん狩ってね」


 真那華は『女王膠灰蜘蛛』に突っ込む。


「まったく、ちゃんと持ち堪えてよね」


 そして、聖蘭(セイラ)は『女王膠灰蜘蛛』の取り巻きである雑魚の殲滅を開始する。


『マジで素材回収を開始しやがった!』


『雑魚が減ったそばから増えてんだが』


『だから、言わんこっちゃない!』


『これヤバくないか』


 コメント欄は二人を不安視するコメントで溢れる。


「まったく、面倒ね。【閃光撃ち(フラッシュドロー)】」


【万物貫通《マテリアルペネトレイト》】で『膠灰蜘蛛』の成虫が放つセメント球と一緒に撃ち抜き同時に迫っていた一番近い幼虫を【閃光撃ち(フラッシュドロー)】で撃ち抜き、残りを『フェンリル』の魔弾で一掃する。


『え!?今?え!?』


『どうした?』


『いや、たぶん目の錯覚だ』


『錯覚じゃない。『膠灰蜘蛛』の成虫が撃ち抜かれたと同時に一番近くに迫ってた幼虫が同時に撃ち抜かれてた。だが、幼虫の方に撃った瞬間が見えなかった』


『どうなってんだ?』


 リスナー達は聖蘭(セイラ)の撃った【閃光撃ち(フラッシュドロー)】に混乱している。


「まぁ、アレは分からないよねぇ。前より早くなってるし、やっぱりこっそり潜ってるね。アレは・・・・・・」


 真那華は『女王膠灰蜘蛛』を牽制している。


『え?マナ様は見えてるの?』


『アレ、一体どうなってるんだ?』


「【射撃術】が使えるから出来る芸当とだけ言おうかな♪簡単に教えたら聖蘭(セイラ)ちゃんに悪いし私の口からは言えないかなぁ」


 真那華は聖蘭(セイラ)の閃光撃ち(フラッシュドロー)は黙っていた方が面白いので黙っている事にした。


『でも、抑えると息巻いた割にはギリギリだな』


「うんうん、良い度胸だねぇ、そういうお猿さん、ウチ大好きだよ。ウチはオールラウンダーの万能型だけど攻撃型強めだから本職のタンクに比べれば拙いよ。頭がお猿さんだとこんな事にも気付かないのかなぁ」


『いや、仮にタンクでもその身長じゃ無理でしょ』


『どう見ても小学生低学年くらいだからな』


『よく資格取れたと思った』


「ぷっちーん」


 その瞬間、『女王膠灰蜘蛛』の前脚が斬り飛ばされた。


「その話しに触れるって事は〜死にたいのかなぁ?ん?」


 真那華は『女王膠灰蜘蛛』のもう片方の前脚も斬り飛ばす。


「ん?」


 真那華は飛び上がり『女王膠灰蜘蛛』の目玉に剣を突き刺すと『女王膠灰蜘蛛』が叫ぶ。


「どうしたのかなぁ?静かになっちゃったね?どうしたの?ねぇ?ねぇ?ねぇ?」


 真那華の「ねぇ?」の数だけ『女王膠灰蜘蛛』の目が潰されていく度に『女王膠灰蜘蛛』は叫びをあげる。


「五月蝿いなぁ。少し黙っててよ。ウチはお猿さん達と大事な、大事な、お話をしてるんだからさぁ」


 真那華は火属性を纏った剣を『女王膠灰蜘蛛』の腹に突き刺す。


 その瞳に宿る圧倒的な圧にリスナー達はマナ様の逆鱗に触れてしまったことを後悔する。


「で?どこまで話したっけ?」


 真那華は朱色に燃え盛る【従魔剣】を四本宙に出しながら質問する。


「ああ、そうそう、ウチの身長が・・・・・・何だって?」


 そう言いながら、一本一本【従魔剣】刺しながら『女王膠灰蜘蛛』に刺した剣に入る力を強く入れていく。


『お、大きいです、はい』


『そんな背中について行きたい』


『高校生、年相応です』


『わー、おっきすぎて首がつりそうだ』


『デカ過ぎて草』


 リスナー達はその恐怖から、真那華の背の高さを褒めちぎり怒りを沈めようとしている。


「うんうん、そうだよね。ウチがまるでちっちゃいみたいに言うんだもん。びっくりしちゃった」


 この時、リスナー一同は心に誓った真那華を身長でいじるのは今後一切やめようと


「マナーーーー!!話しが違うじゃない!!」


「皆んながウチを驚かすんだもん。手元が狂って『女王膠灰蜘蛛』を倒しちゃったよ、あまりにも五月蝿いからだよ。もっと静かにしてれば長生き出来たのに皆んなもそう思うよね?」


『は、はい』


『ごめんなさい』


『身長いじりはもうやめます』


『おい!馬鹿!!』


 このコメントのやり取りを見て聖蘭(セイラ)は察した、前回の黒鉄潤の話しをする時言いにくくしていたのは身長にコンプレックスがあるからだと理解した。


「まったく、仕方ないんだから」


「それで、必要な量のセメントは取れた?」


「ええ、まだ少し足らないけど、検証する分には問題ないわ」


 聖蘭(セイラ)は一応、本格的に製造する時の為にもっと取っておきたかった。


「まぁ、でもタンクでも無いのに抑えるのは難しかったかな。ウチは倒す専門だから、攻撃を耐えるのはウチの型には合わないんだよねぇ」


「私もマナもゴリゴリのアタッカータイプだからね」


『チーム組むならタンクとヒーラーは欲しいよね』


『バランス考えるとそうなるな』


『でも、タンクってやってる人って少ないんだろ?』


『日本での統計だと『潜行者』のタンク率って27%くらいらしいぞ』


『まぁ、身体張るポジションだからやりたがる人がいないのとアタッカー以上のある種のセンスを要求されるって聞いた事ある』


 リスナー達はタンクについて語り始める。


「さて、今回はこれでお開きかなぁ。『グラフェンナーワル』のレイピアは本数が多いからもうしばらく待って欲しいかな。絶対に最高の剣に仕上げるからね」


「仕上げるの私なんだけど」


「うんうん、期待してるよ。親友」


「まったく、調子いいんだから」


「それじゃあ。お猿さん達、チャンネル登録とグッドボタンよろしくね」


 真那華が配信を閉じると聖蘭(セイラ)と外に出る。


「うん、やっぱり。潤ちゃんと話しをしないといけないかもね」


 真那華はそう話すと聖蘭(セイラ)と一緒に帰ろうとした時だった。


「配信を見て急いで来たんだ。見つけたぞ。最強剣士配信者マナだな」


「うん?誰?」


「この人ってまさか!」


「聖蘭(セイラ)ちゃんの知ってる人?」


 目の前に現れた男を聖蘭(セイラ)は知っていた。


「剣聖ミツルギ、剣聖チャンネルの配信者よ。貴女と同じ自称最強よ」


 二人の目の前に現れたのは御鶴城誠、剣聖チャンネルの剣聖ミツルギである。


「へぇ、随分と愉快なお猿さんみたいだねぇ」


「お前も随分と愉快なガキだと思うが?」


 二人は睨み合いながら様子を伺う。


「剣士最強は二人もいらない貴様に決闘を申し込む!」


「ふーん、お猿さんが人間様に挑もうって?それに私は剣士じゃないし、ウチのチャンネル名知らないの?」


「ふん、そんな事は重要な事じゃ無い。何故なら貴様は剣士最強だからだ。剣士最強は二人もいらない。それだけで充分だ」


「これこそ猿だねぇ。まったく話しが通じない。人間の会話を学んでから出直して来なさいってお猿さんだから、覚えられないんだっけ?」


 真那華にとって真那華は剣士ではなく魔法剣士で剣士とは別物で御鶴城が剣士最強というのは構わないとすら思ってるが、御鶴城が真那華を剣士という認識なので話しが通じなくなっている。


「このクソガキがぁ、さては負けるのが怖いんだな。俺は最強の剣聖だからなビビるのは分かるぜ」


「ビビる?ウチがあなたみたいなお猿さんに?確かに最強の剣聖さんなんでしょうねぇ。お猿さんの中ではって話しだけどー」


(真那華、流石に煽り過ぎよ。相手はミツルギ実力だけならS級相当と言われてるA級潜行者なのよ)


 御鶴城は実力だけならS級並みと言われているが実績がS級に到達してないのでA級の判定をくらっており、A級でも実力だけならS級相当という潜行者は御鶴城の他にも結構いたりする。


「まぁ、そんなに剣での芸をしたいならやってあげるけど、負けたら一ヶ月間配信はお猿さんのカチューシャ着けて配信してねぇ」


「今、ボイレコで言質取ったからな逃げるなよ。お前こそ負けたら一ヶ月猿のカチューシャの配信だからな。決闘は明後日の十七時、管理局の演習場で行う。分かったな」


「あなたのお猿さん配信楽しみにしてるよぉ」


 二人は決闘の日時を決めると御鶴城は立ち去る。


「真那華、何考えてるのよ!!」


「え?何が?」


「あの人、実力だけならS級相当なのよ!!」


 聖蘭(セイラ)はいつになく慌てている。


「須藤ちゃんと同等なら大した事ないよ」


「底なしのお馬鹿さん!須藤管理官は管理局に所属してからは管理局の仕事ばかりでダンジョンから離れてて滅多に潜らないの!現役のS級はあんなもんじゃないんだからね!」


「まぁ、何とかなるっしょ。だってウチ最強よ」


 慌てている聖蘭(セイラ)と対照的に真那華はお気楽な感じに答える。


「まぁ、黒鉄燐に喧嘩を売るよりはマシだわ。彼女こそ日本最強の潜行者だから」


「ん?黒鉄?潤ちゃんの苗字も黒鉄だよね」


「だって黒鉄潤さんは黒鉄燐の妹よ」


 聖蘭(セイラ)は驚くべき事実を真那華に告げる。


「姉が最強なら妹も強いじゃん。ウチの兄ぃは最強じゃなく理不尽、そして、その妹のウチは最強なんだから」


「いや、その理屈はおかしい」


 聖蘭(セイラ)は真那華の変な理屈にツッコミを入れる。




匿名の猿2:怖かった凄く怖かった正直少しちびった。

匿名の猿1:汚っ!!パンツ変えろよ!

匿名の猿4:マナ様に身長に関するワードは禁句なんだ。

匿名の猿3:目からハイライト消えた上に物凄い圧だったからな。『女王膠灰蜘蛛』に八つ当たりしてたし。

匿名の猿1:あの八つ当たりが自分達じゃ無いだけまだマシだ。

匿名の猿2:おい、怖い事言うのやめろよ。

匿名の猿4:それにしても、銃いいよなぁ。

匿名の猿3:あの銃カッコいいよな。必要素材が鬼畜という意味を除けばだが

匿名の猿1:あの時は『龍脊椎』の話しで盛り上がってたけど、最高純度の『蓄電結晶』ってどうやって手に入れるんだ?

匿名の猿4:そういえばそうだ。市場に出回ってる『蓄電結晶』は中純度だし、採れても最大でも高純度しか聞かないし高純度自体珍しいんだが。

匿名の猿2:【錬金術】の精錬で純度を上げる方法があるが?

匿名の猿1:そういえばあったわ。産廃だから忘れてた。

匿名の猿3:よく考えるとあの銃作るの無理じゃね。

匿名の猿4:なんで?

匿名の猿3:『魔龍玉』だっけあれ【錬金術】の合成使うって言ってただろ。そして、最高純度の『蓄電結晶』は精錬が必要だ。

匿名の猿1:それがどうした?

匿名の猿3:マナ様が関わってるんだぞ。【錬金術】の熟練度が低い奴等が作れる素材だと思うか?

匿名の猿3:そういえばそうだったー

匿名の猿1:『グラフェンナーワル』の素材を精錬してる時点で気付くべきだった!!

匿名の猿3:【錬金術】は産廃って言われてるんだ育成してる奴がいると思うか?

置名の猿4:確かにその通りだ。

匿名の猿2:というかセイラちゃんそれを分かって言っただろ。

匿名の猿3:あ、やっぱり。たぶん自分でも用意するのが面倒だから素材は自前で用意しろって言ったんだ。

匿名の猿1:いや、セイラちゃんは工房エリアで装備作る時もそんな感じだよ。素材は客に用意させて作ってる。

無名の剣聖:ついにやった。

匿名の猿2:何を?

無名の剣聖:あの最強剣士を語るクソガキに引導を渡す時が来たのだ!!

匿名の猿1:妄想かな?

匿名の猿3:夢なら寝てみてもろて

匿名の猿4:おやすみなさい

無名の剣聖:おやすみ・・・待て待て、まだ寝ねえよ!あのクソガキに明後日の十七時、管理局の演習場で決闘する約束を取り付けた。

匿名の猿2:マジかよ。

匿名の猿1:それがマジなら激アツなんだが、応援に行くぜ。

匿名の猿3:その日、まだ仕事中だわ。応援してる。

匿名の猿4:クソガキ分からせたれ!


 そして、真那華と御鶴城の決闘が決定したのだった。

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