第4回 周泰、劉繇との戦いで活躍する
孫策軍の侵攻速度はかなりのものであった。
それでも、劉繇軍にも孫策軍の侵攻は伝わっており、曲阿城の近くの牛渚の塞にて対抗する姿勢を見せた。この塞には数千の兵が立てこもっていた。
孫策は、塞を取り囲み、全軍を突撃させた。
無論、周泰も蒋欽も突撃をする。蒋欽が部下たちに声を掛ける。
「死にたくなければ、俺たちの背中が見えるところで戦え!そすれば命を落とすことはないし、手柄も転がり込んでくるぞ!」
周泰が言う。
「兎に角、遅れずに連いて来い!」
二人は、ひた走り、部下たちは懸命にその背中を追う。
本陣から見ている孫策は、周泰たちの姿を捉えて言った。
「随分、活きのいい者たちがおるな。」
朱治が答える。
「数日前に仕官してきた周泰と蒋欽という者です。この地域の盗賊や山賊狩りで名を挙げていた者たちです。」
「なるほど。実戦経験が豊富ということか。面白そうだ。」
そう言うと、孫策は突然馬に飛び乗り、自らも突撃する。
朱治はあわてて、その後を追った。
孫策は、真っすぐに牛渚の塞に向かって突き進む。
その途中、周泰と蒋欽に声を掛ける。
「周泰、蒋欽と申すそうだな!我が名は孫策!手柄が欲しければ連いて参れ!手柄を挙げれば挙げるだけ、出世できるのが我が軍だ!」
こう言うと、颯爽と駆け抜けていった。蒋欽が言う。
「畜生!俺たちも馬だったら追いつけるのにな。」
「しょうがあるまい。しかし、やればやった分だけ、本当に返してくれる大将と見た。」
「ああ、同感だ。野郎ども、遅れるな!更に速度を上げるぞ!」
周泰たちは全身全霊をかけて走った
そして、塞の外に出ている敵にその勢いでぶち当たり、突撃をかました。敵兵はことごとく吹き飛んだ。
この一撃で、敵兵たちは大いにひるみ、塞の中に逃げようとするが、門は開かない。門を開ければ、孫策軍の侵入を許すのは火を見るより明らかであった。
「さあ!梯子をかけよ!」
孫策の声が鳴り響く。
塞に一斉に梯子をかけ、塞内への侵攻が始まった。その先頭を行くのは周泰、次いで蒋欽であった。二人は、敵兵たちを撃殺していく。囲まれそうになったところを、部下たちが追いついてきて敵兵たちを打ち倒した。
蒋欽が言う。
「お前たち、やるじゃねーか!さあ、さっさと門を開けちまおうぜ!そうすれば、俺たちの騎兵が突撃してくる!」
周泰たちは、門の場所を目指して進む。
敵も門が開け放たれれば一巻の終わりとわかっているので必死で守る。しかし、そこら辺の兵で相手にできる周泰と蒋欽ではなかった。
二人は無事門を開放、蒋欽が叫ぶ。
「さあ、待たせたな!騎兵さんたち、こっちだぜ!」
一気に孫策軍の騎兵部隊が突撃を仕掛ける。
多くの敵兵はここで降参、歯向かう者は皆殺しにされた。
こうして、曲阿城の重要拠点である牛渚の塞は、孫策軍が一日にして落としたのである。
孫策軍の進撃は止まらない。
牛渚の塞を落として休むことなく、今回の本命である曲阿城にそのまま向かった。
城主である劉繇は、名士であり、人間的には優れた人物であるが、武の方はからっきしであった。
兵力的には、劉繇の方が断然優位であったが、孫策に真正面から勝負を挑んで勝てそうな者は、劉繇軍には居なかった。
牛渚の塞での大敗の報を受けて、劉繇はいてもたってもいられなくなった。
そして、孫策軍に完全に城を包囲される前にと、早々に逃亡を図ったのである。
城主がいなくなった城を守る気概のある将兵もここにはおらず、将兵も逃亡してしまった。
結局、曲阿城はまともな戦いもなく、一日にして孫策の手に落ちたのである。




