第6話 親方と指スマ
2026/1/2追記 指スマでWinした時の表記を最近の方に合わせました。
そんなこんなで親方と指スマすることになった俺。何故。
「まず、コウ、手ヲ構えまして……」
俺は両手を軽くグーにして自分の前に構える。親方もそれを真似てグーを構えた。
「''イッセーノ、1!''みたいなカンジで、数字ヲ宣言シマス。ソシタラ、んー例エバ…親指ヲ、コウ!したトシマス」
俺は両方の親指を上げ、''2''の状況を作った。
「コノ場合、上がっテいる親指の数が''2'で、さっき宣言シタ数字でアル''1''ではないのでノーカン…何事もナク終わりマス」
「……オヤユビノカズガ''イチ''ダッタラ、ドウナルンダ?」
「お、イイ質問しマすね親方!言っタ数字と上がっテル親指ノ数ガ同じダッタ場合は……」
俺は右手の親指を下げて''1''の状況を作る。
「数ヲ宣言した人が、手をひとつ引ッ込めマス」
構えていた右手を下げる。
「デ…親方モなにか数字言ってミテください。今アルのはオレノ手が1つと、親方ノ手が2つで上げラレル親指は最大3つデス。0~3の数字で好キナ数字を、「いっせーの」の後に宣言してミテクダサイ」
「…マッテクレ。ゼロッテナンダ?カズノコトナノカ?」
「ア、そうデスそうデス。ヒトツモナイコトヲ''ゼロ''って言いマス。親指ガヒトツモ上がってナイ、参加者が全員グーの状態なら、その場の指ノ数は0デス」
「ムズカシイナ…イ…イッセー…イッセーノ、''サン''…!」
俺は左手の親指を上げた。親方も右手の親指だけ上げてみていた。
「……''ニ''?」
「ソウ!親指が2本ナノデ''2''デス!」
「カズガ、チガッタトキハ……」
「何モ起きマせん。そのママまた、相手の番にナリます」
「アトカラモウイッポンアゲタラ……オカシクナルカ」
「そうデスね、数字を言っタ瞬間上ゲた親指のみを数えマス。コンナ感じデ交代で数字を宣言していっテ…俺ガやってたルールデハ、先にドッチの手も引っ込めラレた方が勝ちデス」
「……コンガラカッテキタ」
「まぁ、コウイウのはただ説明ヲ聞くヨリもやってミタ方が早いデスヨ!チョットやってミましょう!」
「ン……ワカッタ。ヤッテミヨウ」
「じゃ、俺から行きますよ…」
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d レッツ、指スマ!b
――――――――――
(表記説明:d…左親指 b…右親指 o…ノー親指)
―俺のターン―
「いっせーの、''1''!」
db db …計4ユビ
「はいはいはいはい…」
「ヨクワカラナイ…」
親方は少し困惑した顔をしながらも、ルールを理解しようと集中している。
―親方のターン―
「イ、イッセーノ、''ニ''!」
do ob …計2ユビ【親方Hit!】
「ア!ヒット!親指ノ数当てたカラ、親方は手ヲひとつ引っ込められマス」
「ナルホド…?」
親方はルールを理解し始めたようだ…!
―俺のターン―
「イッセーノ、''2''!」
db o …計2ユビ【俺Hit!】
「ン!!オマエ、ヒット?」
「ソウ!オレも手ヲひとつ下げマス。親方、飲ミ込ミ早イッスネ~」
「フッ…ツヅケヨウ」
親方は嬉しそうだ!
―親方のターン―
「イッセーノ…''2''!」
o b …計1ユビ
「ン゛ーーーーッ…」
親方は俺の親指が上がっていないことを悔しがっているようだ。つまり、ルールをかなり理解してきている!
―俺のターン―
「イッセーノ…''0''!」
o b …計1ユビ
「ん゛ーーーーっ…」
「ギッ!ギッ!」
親方が珍しくゴブリン笑いをしている。ゲームを楽しめているようだ!
―親方のターン―
「イッセーノ…''ゼロ''!」
b o …計1ユビ
「ン゛ッ……」
「イイ勝負になっテきまシタね…!」
親方は0も使いこなし始めた…!
―俺のターン―
「イッセーノ…''2''!」
b b …計2ユビ【俺Hit!】
☆俺Win! ☆
「ア゛ッ!?」
「コレでオレはモウ片方の手モ引っ込メルので…コノ勝負は、俺の勝チとなりマス」
「モ…モウイッカイ!モウイッカイ!」
親方はルールを完全に理解し、指スマにハマったようだ!
その後も、俺と親方は何回か指スマをした。
親方はずっと楽しそうだったし、俺も子供の頃に戻ったみたいで楽しかった。
「コレガ、アソボー、カ…ナルホド。コウイウコトダッタノカ」
親方は何やらかなり感銘を受けているようで、自分の手をじっと見つめている。
「イ、イヤ、子供達がやっテたのがコレだったかは分かりまセンけど……」
「ニンゲンノコドモ、ヤッテタノトハ、チガウ。デモ、キット、オナジ」
「違うケド、同ジ…?」
「ン。アソボー、ナニモ、手ニハイラナイ。ナニモ、キズツケナイ。デモ、タノシソウダッタ。ダカラ、コレモ、オナジ。コレハ、マチガイナク、オレガシリタカッタ''アソボー''ダ。マモノノセカイニハ、ナイ。アソボー、マモノ、シラナイ」
「アソボー、ナイ…」
魔物の世界には''ただ遊ぶ''っていう概念がないんだな…
親方の言う通り、狩りや採集みたいにモノが手に入るわけじゃないし、ちょっとしたゲームをするにもルールを覚えるとこから始めないといけないのは魔物にとってハードルが高いことかもしれない。
遊ぶことで得られるものは楽しさとか充実感とか、あと一緒に遊んだ相手と仲良くなるとか…目に見えないものばかりだ。
かけがえのないものだけど、それは実際に体感してみないとわからないことかもしれない。
そっか…ルールがある遊びをみんなで楽しむって、すごく高度で平和的なことだったんだな。人間ってすごいや。
「フゥ…アタマ、スゴク、ツカッタ。キョウハ、ココマデ。アシタマタ、ユビスマ、アソボー、シテクレ」
「はい!モチロン!明日モまた、遊ビまショウ!」
誰かと遊ぶってやっぱり楽しいな。
他のみんなもできるかな?今度教えてみよう!




