5巻 2章 3話
ボウリング場。
青いライトがレーンや床を照らし、ピンクのライトが天井を照らしている。
ヴァルとクラウン、チョコはベンチに並んで座り、スティックのアイスクリームを食べながら休憩している。
毛先だけ金髪にしたショートドレッドヘアのヴァルは、ストロベリー味のアイスにかじりつき、香りにうっとりしながら言った。
「う〜ん。次のクエスト決める前に、せっかくナイチンゲールに接触できたんだから、もっと深掘りしようよ。この件は僕ですら興味あるね。魁はみんなで追うべき!」
クラウンはチョコ味のアイスにかじりつき、濃厚なチョコの口溶けにうっとりしながら聞いていたが、「みんなでっ?!」ヴァルの言葉に目を見開いた!
「そう。みんなで。なんか強く反応したね。良い作戦でも閃いた?」
「みんなでやるのがいいよねっ。でも、あー、んんー、それが何かこう、やりたい事はあるんだけど、うまくまとまらないっていうか。今までもモジュール見つけたら関係ありそうなクエストはみんなでやってきたけどー、末端だけやっても効果はイマイチなんだよなー。反撃にも遭うし。」クラウンはアイスの棒をガジガジ噛んだ。
「噛まないの。」ヴァルはクラウンの口からアイスの棒を取りあげた。
クラウンは呟いた。「はぁー。サティアさんとまた話したいな。」
「いいな〜。僕もナイチンゲールに会ってみたいよ。」
「ん?そうだよ!行こうよ。」
クラウンは立ち上がってヴァルとハイタッチして言った。「ブラストにコール。」
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ナイチンゲール。
数時間後、クラウン達はブラストとポーリーと噴水前で合流した。ラウンジの入り口に近づくとカレーの匂いがした。
ラウンジのキッチンでは、サムスカーラを囲んで3人の友人男性達がカレーを作っていた。ポーリーは「私、聞いてくるよ。」と、彼らに挨拶しながら近づいていき、サムスカーラに話しかけた。
「うわっ。うまそー。みんなの分もある?今日サティアは?」
サムスカーラはうなずいた。「良かったら食ってくれ。サティアは仕事でいないよ。」
ポーリーが振り返って言った。「サティアいないって。カレー食べていいって。」
長いソファーにみなで座ってカレーをご馳走になった。甘さとスパイスとコクのある味だった。こだわった旨さがあり、クラウンは正直おかわりしたくなった。「サムスカーラさん、カレーおかわりしてもいいですか?」
「ほっ。ほっ。作ったかいがあるよ。たくさん食べてくれ。みなが遊びに来るっていうから友達とカレー作って遊んでたんだ。なあ。」サムスカーラが友人達を見ると、友人達もカレーを美味そうに食べながらうなずいた。
サムスカーラと同じ年頃の彼らは、着こなしもオシャレで渋い雰囲気がある。友人達は嬉しそうにクラウンを見ている。
クラウンも彼らを見ながら『いいなー。僕も将来こんな大人達になりたいな。』と思った。
「めちゃめちゃうまいです。」クラウンはお辞儀して皿を持って立ち上がった。
「オレもいいですか?」ブラストも立ち上がった。
「僕も〜後でおかわり頂きます!」ヴァルは残りをパクパク食べた。
「私も!」ポーリーも皿を持って追いかけたが何かに気付いた。「あれ?アマデウスもいたんだ!食べないの?」
角のテーブルにアマデウスがいた。「ずっといました。カレー頂きます。」そう言って、ゆらりと立ち上がりキッチンへ。
クラウンはカレーをよそうアマデウスに話しかけた。「アマデウスさん、僕、魁を弱体化させたいんですけど、弱体化させるには末端を叩くだけじゃ不十分だなって思っていて。けどその先はどうしたらいいですか?」
「ふふふふ。弱体化って良いよねー。弱体化には3つの工程に注視する必要がある。あっちで食べながら話そう。」アマデウスはカレーをよそってニヤッと微かに笑った。
アマデウスも長いソファーに座った。
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「1つ目は組織の資金源や経済的なネットワークを攻撃して、資金の流れを遮断することが効果的です。」
クラウンはうなずいてから、カレーを頬張った。
「2つ目は情報提供者や協力者を見つけ、取り締まりを強化することが重要です。情報公開して世間の反感を買わせ、メディアを使って支持基盤を弱体化させる事もできます。おや?心当たりのある顔ですね?」
「はい。信頼できるジャーナリストの友人がいます。」
アマデウスもカレーを一口、味わって食べた。
「3つ目は、組織の活動に関わる人物を法的に追及する事が効果的です。証拠収集や調査結果を法執行機関と連携し、追及し、合法的に鎮圧します。」
クラウンは何度も大きくうなずいた。「うん。いいですね。それをクエストでどーやって組み立てようかなーって。とっかかりがぼやけてて、決断に自信ないっていうか、、すみません。すごく参考になりました。やってみます。」クラウンはお辞儀してガツガツとカレーを食べた。
「その分野はサムスカーラに聞いてみるといい。」アマデウスはカレーを静かに食べた。
話を聞いていたサムスカーラがクラウンとアマデウスにチャイを淹れて持って来た。「君たちも含めた、すべての人にとって最良の結果とはなんだろう?真の願望をみつけださねばならぬ。」2人の顔をみて言った。
クラウンとアマデウスは、はっとした。
「はっ!そっか、、やっぱり弱体化できるクエストを複合的にやらないと、、虎徹さんにラファエルさんにお奉行様に、あと、あと、とにかくみんなに連絡します!サムスカーラさん、アマデウスさん、ありがとうございます!」
「それなら私も協力しよう。作戦室を作るから、それまでに仲間を集めて。また連絡する。ふふふふふ。」アマデウスは前屈みになって手を組み微笑んだ。
ブラストは話を聞きながらカレーを平らげた。「うおー。なんか良い感じにまとまった!」
ポーリーも微笑んだ。
「アマデウスが笑ってる所、久々にみた。色んな犯罪組織関連の弱体化をコツコツやってきたタイプだから、良かったな。あんな嬉しそうにするんだ。」
「よしっ!食器片付けたらブラスト、ヴァル、行こう!ポーリーも行く?」クラウンは誘った。
「行く!私には風の神がついてるからな。」ポーリーは威勢よく言った。
「あはは。」クラウンは笑った。
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3日後。
アマデウスからのコール。
「作戦室をオンラインロビーとノクターン号に作りました。皆さんナイチンゲールの部屋にご入室下さい。」
オンラインロビー、ナイチンゲールの部屋をタップしてみな入室した。
分割画面が並ぶ。薄暗い部屋からアマデウスの姿が少しだけ見えた。「クラウン氏、君が司令官だ。」
「へっ?!そうなの?そう、、なるか。あはっ、えっと、魁を弱体化させる為、みんなにとって良い事をしようと思う。それで、みんなに集まってもらいました。僕達がここ数年で受けた多くのクエストは行方不明者の捜索です。子供や職場、戦場に向かった家族の捜索依頼が増加しています。この背景には魁の組織達と繋がっているけど、捕まえたり討伐しても、収まるどころか増加気味なんだよね。みんなには情報とか、関連組織の調査とかを協力してもらいたいです。3日前にみんなに声をかけた時、添付したログの中で気づいた事とか、意見とか、アイデアも含めて、いろんな意見をもらえると助かります。これは関係ないかな?って話も除外せずに教えてもらえたら嬉しいかな。後日、行けそうなクエストから選んだメンバーで行って欲しいんだ。報酬はギルドを通してになります。いいかな?」
みな返事したりOKサインを出したり、スタンプを押して同意してくれた。
その日は1時間あれこれしゃべったりして色んな情報が出で来た。休憩を挟んで、さらに関連のありそうなクエストの情報を照らし合わせ、詳細やログチェックしていると、ラファエルが討伐リストには入っていないが、解決したクエストログのいくつかに、同じ人物が写っているのを見つけた。
ラファエルは3つのログを拡大して1人を指差して言った。
「こいつ、子守のジャグラーか?たしか前はベビーバンダル[乱暴者]とも呼ばれていたかな。接触するなら、こいつがオススメ。だけどコイツには気をつけて、情報は持ってるけど魁側だからな。孤児を金持ちに紹介してる。最初はお互いウィンウィンだったみたいだけど、金持ちが全員善良とは限らない。金回りが良くなってから、より顧客の好みを聞いて、どこの銀河からでもさらって来たり、違法にスターベビーを作って販売や臓器売買してる組織にもいたって黒い噂もある。」
お奉行様が画面に近づいて言った。
「ラファエル殿、いつ頃、何処でをまとめて送ってくれぬか?ちょっと周りに聞いてみよう。居場所がわかるやもしれん。目星がつけば探し易いであろう。」
クラウンは内心思った。『頼りになるし助かる〜。早くこうすれば良かったんだ。あれ?去年、ハニにスターダスト会議[異業種会議]みたいな事したら?って言われたけど、こうすれば良かったんだ。』
クラウンは画面越しにハニに声をかけた。「ハニ、遅くなりましたが、ようやく動けそうです。」
ハニには何の事か伝わった。
「遅くないよ。最初はすぐやれって思ったけどね。うふふ。今となってはナイチンゲールに協力してもらえる方が良かったし、今スノーとも結局こうなって良かったって言ってたの。へへっ。」
ハニの横でスノーはゴーストをなでながら言った。「早くノクターン号に乗ってみてえな。アースにオレらも向かうぞー。」スノーは手をパッパッと開いてみせた。
ブラストが呼びかけた。「クラウン、スノー、ノクターン号で待ってっぞ!ポーリー、ノクターン号の機械室の空きスペース使わせてもらっていい?」横で聞いていたポーリーはうなずいた。「ああ、いいよ。みんなも船長室以外は好きに使ってくれ。」
「クラウン、スノー、着いたら機械室にワンズ連れて来て。ここ2年くらいクラウンとスノーだけ襲われやすいなーって考えてたんだ。チョコとゴーストに探知されにくくなる部品つけさせて。ステルスアップどう?アプデやんない?」
「やってくれよ、最高ー!シシッ!」スノーはグッドサインをした。
「ブラストー!マジ最高ー!」クラウンも喜んだ。
アマデウスがみなに声をかけた。
「よろしいでしょうか?そろそろ予定の時間です。ロビーはいつでも開いていますので、個別のやり取りは引き続きどうぞ。今日はこれで一旦終わります。」アマデウスの薄暗い画面は真っ黒になった。
クラウンは虎徹に話しかけた。「虎徹さん、HOMAREの用がある時は無理しないでね。」
「クラウン殿、兄さんが平安に治めてくれていたゆえ、今の所安定しておる。拙者も加勢致す。まごろくも行くぞ。」
「えっ?!マジで嬉しいー。まごろくさんも来てくれるの?」
虎徹の横にまごろくは座った。
「そらー、長に言われたらどこでも行きますー。最初から行く気やったけどな。その間、警護に来てもらう武将は誰に声かけよかな?」虎徹の横でまごろくは考えながら見上げた。
ポーリーが言った。
「それなら四国の伊予の武将が行ってくれるよ。こっちも海賊蹴散らしたからな。」
「伊予の武将ゆーたら、イケイケの?」
「はは!イケイケのだ。」
「そしたらこちらからも連絡してみます。」まごろくはポーリーと話した。
ヴァルはにこやかに言った。「ポーリーとまごろくがしゃべってる〜。なんか嬉しい。」
クラウンもにこやかに言った。
「だねー。それと、みんなに紹介するよ。ビクトール。それでビクトールがみんなにお願いがあるんだって。」
「ビクトールです。この後、みんなでゲームしたいんだけど、いいですか?」
ギルドのみなはOKサインを出した。
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続く。
絵:クサビ




