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トレモロ 5  作者: 安之丞


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7/14

5巻 2章 1話⭐️1章のあらすじ

⭐️1章のあらすじ⭐️


クラウンの療養中に訪ねて来た少年は、かつて保護したゴールデンベビーの卵から成長したビクトールだった。ギルドとなり再会したビクトールはハニとブラストと共に、四国の海賊討伐クエストに一緒に向かった。そこで海賊の女性船長ポーリーと出会い、ブラストは恋に落ちた。共に阿波港を封鎖し海賊の討伐を果たす。駆けつけたクラウンはその後ビクトールと共にイジメのクエストを完了させる。一息つく間もなく兼定の訃報を知らされ葬儀に向かう為、ビクトールと別れたのだった、、。


三日月夜、兼定の通夜。


ギルドのみなが揃うのは半年ぶりで、クラウンが背中を撃たれて休んでいたぶりに顔を合わせた。


菊の花が一面に並び、僧侶が読経している。


兼定と親しい者や有志が集まり、感謝やお別れを言い、手を合わせた。クラウン達もお焼香した。


参列者が続くなか、虎徹が奥の部屋にギルドのみなを呼んだ。


虎徹は正座して少し憔悴した顔で話し出した。

「これまで長い間、世話になった。拙者はこのチームを離脱してHOMAREを引き継ぐ事になった。」


病院からずっと一緒に付き添っていたヴァルが小さくうなずいている。


虎徹が伏目がちに顔を上げるとクラウンは立ち上がって、虎徹の両腕を掴んで言った。「僕は離脱してほしくない。離れるなんて無理。離脱しないでもいいよね?」クラウンはぐいぐい虎徹を押す。虎徹も立ち上がって数歩下りながら抵抗し、また数歩下がってを繰り返す。


「スノー、止めてよ〜。」困り顔のヴァルが小声で言った。


「シー。虎徹の方が強いだろ。」


「そーゆー問題じゃない。」ヴァルはブラストとハニを見たが2人とも暗い顔のままだ。


「クラウン殿、兄さんの入院中から相談しておったはずだが、、ヴァル殿、説明してくだされ。」虎徹は助けを求め、結局ヴァルがなだめ役になった。


ヴァルが虎徹からクラウンを剥がして優しく言った。「もう〜。クラウン、前だって虎徹の育休もあっただろ?」


「でもでも、、完全離脱だよ?」


「これからも協力関係は続くんだから取り乱さないで大丈夫。」


「僕?取り乱してた?」


「うん。それに福岡に部屋借りてるんだから、こっちにいる時は会いにも行けるでしょ?」


「う〜ん?ううん?そっかー。えー!けどー。うーん、そっかー。」


「虎徹、今情報処理中だから待ってあげて。」


「すまぬ。」


「ほらー。虎徹のすまなそうな顔みて〜。元々、ホマレ就任までの間って、そんな話で今まで旅できて良かったじゃ〜ん??」


「うん、良かった。ごめん、取り乱して。」


「拙者はそんな風に言って貰えて嬉しい限り。拙者とて寂しい気持ちはみなと変わらない。たくさん遊びに来てくだされ。」虎徹はクラウンの肩に手を置いて言った。


クラウンは色んな感情が溢れてポロポロ涙を流し、自分を納得させた。「うん、大変な時に、本当ごめん。」


「いやいや。突然の事ゆえ。クラウン殿、絆はずっと変わらぬ。ひとつ頼みを聞いてもらえぬか?依頼を受けて欲しい。」


虎徹はハンカチをクラウンに差し出し、クラウンは涙をふいた。スノーは黙ってクラウンの背中をさすった。


⭐️


翌日の葬儀にみなで出席し、食事会をして解散となった。


まごろくが虎徹から頼まれていた風呂敷包みを持って来た。


「クラノスケ、これを兼定殿の元妻、すみれ殿に渡して来てな。」


「うん。僕でいいの?」


「あー、んー、すみれ殿は大の侍嫌いやから、わしらが行っても会うてもらえんのや。すまんなー。」


「そ、そうなんだ。わかった。行ってくる。」


「すみれ殿に会うたら『この度は御愁傷様です。お悔やみ申し上げます。』って元気にはっきりゆーたらあかんで。落ち着いた感じで慎みを持ってぽそぽそと言うのが礼儀や。ええか?」


「うん、ありがと。やってみるよ。」


「頼んだで。すみれ殿によろしくな。」


⭐️


クラウンはすみれの住む家の最寄駅で降りた。山の所々に桜が高く伸び咲いている。山道に入るとナイトメアに乗り、マップを見ながらすみれの元へ向かった。


しばらく山道を進むと、立派な門のある家に着いた。


クラウンは門番に挨拶し名前を告げると、中に案内された。

枝垂れ桜が咲く、美しい庭を通ると、広間ですみれが待っていた。


「ご足労おかけしました。」


「この度は御愁傷様です。お悔やみ申し上げます。」クラウンはお辞儀した。


「クラウン殿、どうぞこちらへ。知らせを事前に頂きました。」


「そうですか。これがそうです。どうぞ。」クラウンは包みを渡した。


すみれは切なくどこか愛おしそうな目で包みをみつめ、風呂敷を解いた。ガラスケースに入った宝石箱が出てきた。すみれ色の宝石やアクセサリーが並び、まるで箱詰めされた高級チョコレートの様だ。


クラウンもその美しさにうっとりした。「うはー。」吐息がもれた。


挿絵(By みてみん)


すみれは無言で宝石箱の蓋を開き、チャーム付きの鍵を指先にかけ、顔の前にかざして見ている。チャームに彫刻された文字を読み上げた。


「懐かしい、、まだ持っててくれたのね。老いてなお、気骨ある者は賞すべきかな。」


「えっ?!今何て、、?あの、もういっかい言ってもらえませんか?」


「ええ。老いてなお気骨ある者は賞すべきかな。これがどうかしたの?」


「友達が探してるグループが同じ事を言っていて。」


「元ネタがあるのよ。知らない?」


「はい。有名なんですか?」


「大元はナイチンゲールの名言だけれど、事件は200年前の事よ。銀河中で闇取引をしていた政治家、警察、犯罪グループの125名を一斉討伐した事があったの。モジュールの合言葉にこの言葉を使って活動していたグループがナイチンゲールと名乗っていたの。そのニュースが流れて、犯罪者達が真似をして流行らせたわ。今はニュースでみる限り詩が流行っているわね。」


「へえー。詳しいですね?」


「父がナイチンゲールのメンバーだったからよ。私も色々教わった。父が死んで疎遠になってしまったけど。元ギルドのメンバーも多いのよ。ギルドなら歓迎してくれるわ。私の知り合いでよければナイチンゲールのメンバーに会いたい?」


「はい!あの!友達もギルドなんですけど誘っていいですか?」


「ええ。私もここで塞ぎ込むより、気持ちを落ち着けに久しぶりに2人に会いたいわ。連絡してみるわね。支度もしてくるわ。お待ちになって。」


すみれは黒色の外出の装いに着替えた。兼定の遺品の中から、すみれ色の宝石のネックレスを身につけている。


「いらっしゃるそうだから行きましょう。」


「すみれさん、ありがとうございます。あと、僕の友達は連絡つきませんでした。」


「あら残念。また別の機会に。ではクラウン殿、参りましょう。」


⭐️


続く。

絵:クサビ

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