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トレモロ 5  作者: 安之丞


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5巻 1章 3話



作戦が決まり、各地の港を封鎖して拠点を作る事から始めた。


ハニは大量の木材や岩を運び、ビクトールはパラソルの下、運搬車を遠隔操作してそれらを振り分けた。

船員達や武士達はバリケードを作ったり、土嚢を運んだ。


ブラストとポーリーは足場や櫓(やぐら)を一緒に組み立てている。


「なんでクエストに来た?そっち持って。」ポーリーは縄を取り出した。


「OK。友達が怪我で休んでて、その間オレはモジュール犯罪を追いかけて、ここに来た。」ブラストは柱を支えた。


「はははは。モジュール追いかけるの面白いか?」


「笑うなよ。船長は海賊だろ?ここの武将と仲良いの?」


「武将の一族とは初代船長からの付き合いで、私は5代目。こっちからは襲わない海賊やってる。この前みたいに商船を代わりに走らせたり、襲ってきたら反撃したり、海のゴミ拾いしたり、これでも海を守ってんだから、さっきから討伐対象者かな?って目でみないでくれる?」ポーリーはロープをぐるぐると素早く縛った。


ブラストは、はにかんで笑った。


⭐️


1週間後。

湾岸包囲網の作戦の日。


朝、青く澄みきった空の下、みな武装して港に集結した。

武将が立ち上がった。

「皆の者ー!もうすぐ囮(おとり)の商船が来る!奴らのこれまでの愚行に鉄槌を下す。討つぞー!!」


オーーー!!


みな大声を上げた。武将が家紋の旗を掲げた真っ赤な船「金剛斬血丸(こんごうざんけつまる)」に乗り込む。槍隊と弓隊、侍達、船員達も続く。


「行くぞーー!!」ポーリーも声を上げた。


ウォーー!!


ポーリーは自身の藍色の船「ノクターン号」に乗り込む。槍隊とギルド、船員達も続いた。


⭐️


太平洋。


大海原の航路を金剛斬血丸は進む。


「来たぞー!商船が海賊船を引き連れてやって来ます!大型1隻!小型3隻!」


武将は軍配団扇(ぐんばいうちわ)を掲げた。「帆を上げろー!火を焚けー!」


武将が軍配団扇を右に向けた。「早くー!」金剛斬血丸はものすごいスピードで海賊船団に近づいていく。


「弓ー!」武将が左を指し軍配団扇を振り下ろした。大型の海賊船に矢の雨が降った。「いいぞー!火をつけろー!放てー!」武将が合図すると弓隊は一斉に火矢を放った。帆に穴が空き、船は燃え上がっていく。「槍ー!」武将のかけ声で槍隊は一斉に槍を投げた。


ドカ!ドカ!ドカ!

槍は海賊達を串刺しにし、船体側面を破壊した。大型の海賊船はスピードを上げて逃げ回った。


金剛斬血丸は海賊船団を追いかけて外から回り込みながら、槍攻撃で追い込んで行く。


武将が急に軍配団扇の向きを変えた。小型の海賊船2隻も逃げ回り、お互いが近づくと、武将は軍配団扇を真っ直ぐ突き出した。2隻の海賊船が平行に並んだ瞬間。


「早くー!そのまま突撃ー!衝撃に備え!」

海賊船の横腹めがけて体当たりで突っ込んだ!


ドカーン!ドカーン!


2隻の海賊船を金剛斬血丸は真っ二つに折って海に沈めた。


残る海賊船は小島の拠点に向かって逃げ出した。武将は帆を下ろし追いかけた。


⭐️


小島の拠点に向かってノクターン号は海原を進む。


「船長ー!小島の拠点から奇襲部隊が出航しましたー!海賊船、大型1隻、小型2隻!」


「追うぞー!槍隊、構えろー!」ポーリーは舵を取った。小島の陰からノクターン号は猛スピードで海賊船に迫った。ブラスト達はすごい風切り音の中、デッキにしがみついた。


ポーリーは絶妙に波を乗りこなし近づく。「槍ー!」

槍隊は一斉に槍を投げた。


ドス!ドス!ドス!


海賊船の甲板に槍が降る。「早くー!」


あっという間に攻撃を終えると、ノクターン号は速度を上げ、距離を取って回り込むように海賊船を追いかけた。


「船長ー!武将様の船が見えましたー!」


「行くぞーそのまま進めー!」ポーリーは鼻先をツンと上に向けた。


そのまま武将達と合流し、金剛斬血丸とノクターン号は海賊船団を囲む様にぐるぐる回る。


「よーし!商船の護衛に入るー!槍ー!ギルドも構えろー!」ポーリーが奇襲部隊を後ろから槍で攻撃しながら、商船と海賊船の間に素早く入った。


「ギルドー!岩ー!」


うねる波間を進む中、ハニはデッキに立ち構え、ビクトールとブラストはハニを支えた。「タクシス!」


海から巨大な岩を引き揚げ、ハニは上げた両手を海賊船めがけて振り下ろした。


ドカーン!


小型の海賊船を岩で撃破した。大きな波飛沫(なみしぶき)が立ち、船は揺れた。


「フォーッ!はっはー!槍ー!そのまま突っ込めー!掴まれー!」テンションが上がったポーリーは次々と指示を出した。


ノクターン号はうなりを上げて、槍攻撃と体当たりで小型の海賊船をもう1隻、撃破した。


ドーン!


挿絵(By みてみん)


「そのまま引きつけろー!スプラッシュが来るぞー!盾を構えろー!」ポーリーは速度を抑え、大型の海賊船に追いかけさせた。


ポーリーは後ろを見ながら舵をとり、目印の岩場を越えたのを確認して言った。「ギルドー!岩ー!」


「タクシス!」


ブラストとビクトールはハニを支えた。ハニは巨大岩を海の中から引き揚げ、岩場と岩場の間を塞ぐ様に巨大岩を落とした。


ドパーン!

シュバーン!


特大のスプラッシュが滝の様に降った。岩の向こうから激突音が響いた。


ドカーン!


追いかけて来た大型の海賊船は巨大岩に激突し大破した。

「フォー!商船と寄港ー!後ろは塞いだ。そのまま港の反対側から出港ー!」


ノクターン号の姿を見て、港を護衛していた仲間の海賊や武士達は歓声をあげた。ハニはその中に手を振るクラウンとチョコの姿を見つけた。デッキから身を乗り出し、コールした。「来ると思ってた!クラウン、チョコ、乗って!このまま行くって!」


囮の商船が停泊し、クラウンはノクターン号に乗り込んだ。ブラストとビクトールとハイタッチして、みなワッペンをぶつけた。


⭐️


クラウン達を乗せたノクターン号は、帆を上げ猛スピードで小島の海賊の拠点に向かった。


小島の拠点前で、武将の金剛斬血丸が大型の海賊船1隻に横付けした。海賊船のマストからロープにぶら下がり海賊達が乗り込んで来る。侍達はすかさず飛んでくる敵を斬った。槍隊は連投し船を破壊していく。


ノクターン号が接近すると小型の海賊船1隻が火矢を構えて向かって来た。


「帆を上げろー!早くー!」


ビュウーー!

一斉に火矢が飛んでくる。


「盾ー!」ポーリーが命じるとクラウンとブラストは槍隊の盾の後ろに素早く入った。


「ショックウェーブ!」ブラストは大量の火矢を衝撃波で蹴散らした。


「いいぞー!槍ー!」ポーリーは上機嫌だ。


槍隊とクラウンは立ち上がり攻撃した。

「ロージー!ロージー!」


ドカ!ドカ!バン!バン!


海賊船は飛んでくる槍と火の玉の攻撃を受け、ボロボロに崩れて海に沈んだ。


「イエー!」船員達の士気が上がった。


「船長!船長!ポイントまで来ましたー!」


クラウンとブラストが振り返り、ビクトールを呼んだ。


2人の間に立ち、クラウンとブラストが片手でビクトールの背中を支えた。


「一緒にやろう!」クラウンは微笑んだ。

「合図したらパワーを思いっきり使って。できる?」ブラストは聞いた。


ビクトールはうなずきながら興奮気味に言った。「うん!やってみる。一緒にだよね?」


「よしっ!せーので行くよ?」クラウンがそう言うと、足元でチョコも元気いっぱいにしっぽを振った。


力強い目をした3人は、拠点の前で構えた。


「せーのっ!ロージー!」

「ストーム!」

「ビクビク!」

チョコからプリズムが出て光った。


浜辺に灰色の竜巻が現れ、火柱と雷も発生した。そのまま切り裂く様な音を立てて拠点を飲み込んでいった。


バキバキ!ゴウゴウ!バリバリバリー!


カン!カン!カン!


ノクターン号から警鐘が鳴り響く。「帰るぞー!」


海賊長の首を取った武将もノクターン号に続いた。後ろを走る金剛斬血丸から勝ち鬨が上がった。


武将が「エイ!エイ!」と発すると一斉に「オーー!!」と返した。


「エイ!エイ!」

「オーー!!」


⭐️


港に戻ると、海賊討伐にみな歓喜した。


ブラストは全身で喜ぶポーリーに駆け寄った。「ポーリー!ケガはないか?!」


ポーリーは船を降りても大興奮していた。「見ての通り!生きてる!最後のアレは最高だった!はははっ!」ポーリーは言い終わるとブラストに抱きついた。ブラストはポーリーを抱え上げてくるくる回った。ポーリーは気分良さそうに笑っている。


それを見ていたビクトールはクラウンに言った。「どんどん親密になってない?」


クラウンはポーリーを改めてちらっと見て言った。「ブラストは危険な香りのする人がタイプなんだ。」


「そーなんだ。」ビクトールは微笑んでブラストとポーリーを見た。


⭐️


続く。

絵:クサビ

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