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40話 いい感じ

 テスト当日の朝。いつも通り登校した俺は、教室でぼんやりと席に座っていた。


 帰りたい。

 テストだからって緊張しているとか、そういうのはちっともなかった。ただ早くテストが終わって家に帰ってベッドに寝転びたい。


「でもテストの日はいつもより学校が早く終わっていいんだよな」


 テストの準備や受けるのは嫌いだけど、昼前に終わって早く帰れることだけはいいだった。


「樽井、おはよう」


 いつものように相澤が挨拶してきた。今登校したばかりなのか、まだ鞄を肩にかけていた。


「ついにテスト日だね。勉強した?」

「知ってるだろ。してない」

「家でこっそりやってたかもしれないじゃん」

「やったと思う?」

「いや」

「だろ」


 わかってるならなぜ聞くんだ。


「君こそちゃんと寝た? まさか今日まで三時まで勉強したわけじゃないよね?」

「ふふっ、今日はなんと九時間も寝たんだよ」

「意外だね。テスト日だからもっと勉強してるかと思った」

「チッチッチッ、樽井は分かってないね」


 相澤は人差し指を立てて左右に振りながら、舌打ちをした。


「テストは何よりコンディションが大事。こういう日はちゃんと寝た方がいい点数取れるよ」

「そう?」


 あまり興味のない話だった。テスト点数なんて赤点さえ回避でいればどうでもいい。赤点を超えれるなら、五十点でも六十点でも構わなかった。


「じゃテスト頑張ってね。あ! あたしよりいい点数取るな」

「頑張ってみる」


 俺の返事に相澤はニコッと笑い、自分の席へ座った。その直後、先生が教室に入り、テストが始まった。


 一時間目は国語のテストだった。問題用紙を受け取って、ゆっくりと目を通す。


 やばいな・・・。

 半分くらいわからない。日本語で書いてあることはわかるけど、これでどうやって答えを導けばいいのか見当もつかなかった。

 勉強は十分やったと思うが、いざテストになると勉強してたことがきれいさっっぱり頭から消えている。赤点を回避できるかどうかすら確信できないほどだった。


 勉強を早く終わらせすぎたか。

 前だったら当日の朝まで詰め込んで、ある程度頭に残っていたはずなのに、今回は早く終わらせたため一週間も勉強していない。そのせいで相澤と一緒にやったことも全部抜け落ちたようだ。


 とりあえず簡単なことからやってみよう。

 方針を変え、俺は問題用紙の後ろから解き始めた。


 これは国語だけの話じゃなかった。次の歴史テストも同じだった。


 そうして昼になって初日のテストがすべて終わった。先生が教室を出ていくと、相澤はすぐに俺のところへ来た。


「テストどうだった?」

「詰んだ」


 文字通りマジで詰んだ。半分はわからない問題、残り半分を実力で解ける問題。しかも正解なのか確信はできない。これじゃ赤点回避できるのかわからない。


「ふふっ、あたしの勝ち確定だね」


 相澤は得意げな顔をした。

 最初から君の勝ちだって言い続けたのに。


「あたしは先に帰るね」

「珍しいね。また勉強?」

「いや、梨花ちゃんたちと一緒にご飯食べる約束したんだ。樽井もくる?」

「いいや、俺は帰る」


 とにかく早く家に帰って休みたい。勉強は・・・まあ、なんとかなるだろう。


「そっか。あと、明日は一緒にお昼食べるから、覚えておいて」

「ん? いきなり?」

「うん。明日は樽井と食べるつもりで予定も空けてるから。いやって言うな」

「家で別々に食べれば」

「だめ」


 だろうな・・・。

 俺は仕方なく頷いた。


「分かった」


 どうせ昼は食べるんだし。


「じゃあまたね」


 相澤は手を振って教室のドアへ向かった。そこには山田さんと相澤の友達が彼女を待っていた。


「俺も帰ろ」


 テストで使ったシャーペンを鞄に押し込み、立ち上がった。そしてそのまま家へ帰った。


 テスト二日目。今日は得意な数学と理科のテストがある日だった。


 数学は大丈夫だろう。

 前、田中さんに教えんがら完全に理解したし、元々得意な科目であって自信あった。


 実際、数学と理科はほとんどわからない問題はなかった。四、五問を除けば全部分かった。計算ミスさえなければいい点数取れる。


 二日目のテストは終わり、昨日と同じように鞄を肩にかけた相澤が俺の席にやってきた。


「どうだった」

「なかなかいい感じ」

「それは困るなあ」


 相澤がイタズラっぽく言った。


「そっちは?」

「もちろんいい感じ。ちゃんと勉強したんだもん」


 相澤は自信あるかのように胸を張って答えた。


「それはよかったね」

「樽井に勝たなきゃいけないから」


 なんでそこまで勝負にこだわるのか、わからなかった。


「それよりご飯行こ。お腹すいたよ」

「分かった」


 俺は昨日と同じようにシャーペンを鞄に入れ、立ち上がった。そして相澤と一緒に教室を出た。

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