表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/47

39話 たまたま

 学校を出た俺と相澤は並んで道を歩いていた。


「珍しいね。樽井の方から一緒に帰ろって言うなんて」

「なんとなく、そんな気分だっただけ」

「図書室にはいつきたの? まさか、あたしが起きるの待ってた?」


 待っていたのは事実だけど・・・・・・。


「いや、図書室に行ったら、ちょうど君が起きたんだ。全然待ってなかった」

「ふーん」

「なんだ、その目は」


 相澤は目を細めて、疑うようにこっちを見てきた。


「なんか嘘ついてるっぽいんだけど。あたし起きる待ってたでしょ」

「待ってないって」

「嘘。樽井がこの時間まで帰ってないわけない」


 それはそう。いつも授業が終わったらすぐ帰ってたし。


「今日は日直だったから、帰るのが遅くなっただけだ」

「そっか。じゃなんで図書室に来たの」

「それは」


 君の様子を見に来た、なんて恥ずかしくて絶対に言えない。


「たまたま通りかかって寄っただけ」

「へえ、本当に?」


 なんだ、あの言い方。


「校門と図書室って逆方向なのに、たまたま通りかかったって? そんな偶然ある?」

「それは・・・・・・」


 図星を突かれた。言い訳が思いつかない。


「やっぱりあたしに会いに図書室まで来たんだね」

「そんなんじゃないって」


 必死に否定し続けたが、嘘に気づかれた時点で俺が何を言おうと全く説得力がなかった。


「顔まで真っ赤になって。恥ずかしがらなくていいよ。彼氏が彼女に会いに来るのはよくあることだから」


 熱でもあるんじゃないかってくらい顔が熱くなった。


「だから違うってば」

「はいはい、わかりました。そういうことにしておきましょ」


 全然信じてないね。

 相澤はイタズラっぽく笑った。なんだか悔しくて反撃したくなった。


「あ、そういや君、相澤図書室ですごく寝てたけど、勉強は諦めた?」

「うっ、それは」


 うまく入ったのか相澤の顔に戸惑いが浮かんだ。


「しょぶで勝つってあんだけ言ったのに、勉強もせず寝ちゃったら負けるかもしれないよ」

「ちゃんと勉強してるの。勉強しすぎて疲れて寝ちまっただけ。あと、絶対勝つから」

「夜更かしして勉強してるのか」

「うん」


 相澤はコクリと頷いた。


「何時に寝てるんだ」

「二時や三時」

「じゃその時間まで勉強するの?」

「そう」


 一体そこまで頑張るんだ。

 二時や三時に寝るってことは一日約五時間しか寝てないってことだった。もちろん、俺も普通その時間に寝てるけど、相澤とは違う。俺はその時間までゲームとかスマホを見ている一方で、相澤は勉強をする。そして授業時間に寝る俺と違って相澤は真面目に授業を受けるから、俺と睡眠時間が同じだとは言えない。


「そんなに頑張らなくても、君が勝つって。少し休めよ」

「だめ、全科目樽井よりいい点数もらって完璧に勝利するの」

「なんでそこまでこだわるんだ」

「一科目でも負けたら、樽井が結果に納得しないかもしれないでしょ。だから絶対に勝つの」

「俺、そんなにずるいやつじゃねぇよ」


 一体俺のことどう思ってるんだ。


「そもそもこの勝負って点数が高い方の勝ちだったんだろ。一科目でも負けたらなしになるわけでもないだろ」

「それはそうだけど」

「もし君が心配することが起きたら、その時はちゃんと負けを認める。だから無理すんあ。適当に勉強しろよ。ちゃんと寝ないと体壊すぞ」

「なにそれ。あたしのこと心配してくれてるの? 結構彼氏っぽいじゃん」

「ガチではないけど、一応彼氏なんだから」

「前のやつは言わなくてもいいのに」

「ん? なんて」


 相澤が小さく呟いたせいで、よく聞き取れなかった。


「なんでもない」

「なんだよ。もう一度言ってくれよ」

「いやだ」


 一体なんて言ったんだ。もう一度言ってくれてもいいじゃない? 気になるのに。


「もしあたしが勝負に勝ったら、その時に教えてあげる」

「その頃には忘れてそうだから、今言って」

「それはいやだ」


 そのあとも何度か「言って」って頼んだけど、相澤は最後まで教えてくれなかった。


 しばらくして分かれ道に差し掛かり、相澤は右を指さした。


「知ってると思うけど、あたしこっちだから。またね」

「え、今日は家まで送らなくてもいいの?」


 俺の意志で送ってくれたことはないが。

 まだ明るいので一人でも全然いいはずだけど、でもなんか送った方がいいと思う。


「いいよ。今日はもう十分だから」

「十分? なにが」

「それも内緒だよ」

「マジ内緒が多いな」

「女の子ってそういうもんだよ。じゃまたね」


 相澤は手を振って帰っていった。俺も反対の道を進んで家へ向かった。


 その日を境に、テスト日まで相澤と一緒に帰ることはなかった。俺の言ったこと覚えているのか授業が終わったら相澤はすぐにテスト勉強しに行った。そして俺はすぐ家に帰って一緒に帰れなかった。


 そして時間は経ってテスト当日を迎えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ