表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異空間王子と妖精少女は王子様のスパイ  作者: 幻想桃瑠
◆◆◆――最終章 偽王子を取り戻して幸せな結末を確保せよ!――◆◆◆
68/71

第六十七話 妖精という職業

 三年が経過した。今は、桜の咲く季節で春真っ盛りだ。

 学をおさめた私は、本腰入れて家業を継ぐことにした。

 父と母は自営業をしているらしかったが、内容までは知らなかった。

 自営業なのに、内容を知らないなんて変な話だが、鈍い私は今の今まで気づくことはなかった。

 その自営業というのが、妖精という諜報員の仕事だと聞いたときには驚愕の限りを尽くした。よくよく考えれば、姉が妖精なのに、父と母もそうだと考えてもおかしくないのだ。


 両親は妖精の仕事が忙しかったらしく、いつも実家に居なかった。姉から異空間を譲ってもらったと両親に話した時に、真実を打ち明けられたというわけだ。


 私は、姉のアパートの部屋を譲り受けて、そこで生活することになった。ここは、今日から姉の部屋ではなく、私の部屋なのだ。

 しかし、最近隣室が埋まったらしく、物音が気になり始めた。もしかすると壁が薄いのかもしれない。私も物音には気を付けないといけないようだ。


「偽王子君、今日はどうしようか?」

『今日は久しぶりに、宝玉城でも探索しようよ~』

「そうだね~! 行こう行こう!」


 私は、異空間を移動させながら宝玉城を見て回った。

 すると、第二王妃様の部屋で、泣いている人影を見つけた。

 あ、あれ? このひと?


『メープル様……! どうしてお姿をくらまされたのですか……! 今はご無事なのですか……! 私は、私は心配で毎日胸が張り裂けそうです……!』


 このひとは、確かメープル様のメイドだったアリスだ。

 今は、第二王妃様のお部屋は使われてないらしい。そこで、アリスは毎日こっそり泣いているのだろう。この様子だと、第二王妃様は今は幸せに暮らしていることも知らないらしい。


「可哀想だな……」


 私は、自分の身と重ね合わせて同情した。私が偽王子君を失ったように、このアリスもメープル様という主を失って辛いのだろう。


「よし! 私たちが、アリスさんを夢見国に連れて行ってあげよう!」

『そうだね~! 俺もそれが良いと思うよ~!』


 私はすぐに、半トリップして姿を現した。


「こんにちは、アリスさん!」

「あ、貴方は!?」

「妖精の蜜柑です」

『偽王子です』


 私は、すぐに事情を話した。

 そして、アリスを夢見国のメープル様の所へ異世界トリップさせた。


「メープル様……!」

「アリス!?」


 メープル様は、夢見城の廊下にいた。


「お元気でしたか! 本当にまたお会いできるなんて!」

「私は元気ですよ。アリスは?」

「私は今元気になりました!」


 二人は涙を流して笑いあい、再会を喜び合っている。

 いや~、良いことした後は気持ちが良いな~。

 私は、その光景に目を細めて喜んだ。


「妖精様が、私を連れて来てくれたのです!」


 一気に半トリップしている私に視線が集中する。


「メープル様、こんにちは~」

「ありがとう、蜜柑さん! このご恩は一生忘れません!」

「いや~、別にかまいませんよ~」

『右に同じく~』


 そんなに感謝されると照れてしまう。


 その時。

 奥の大きなドアが開いて、声が四方八方に響き渡った。


「くどいぞ! その話はナシだ!」

「困ります! 夢見国の将来にかかわる話なのですから!」


 彼は逃れるようにこちらに歩いてくる。そして、その後を追う従者。

 彼と彼は私に気づいて立ち止まった。


「あ、アレクシス様とパトリックさん!」


 それは、アレクシス王子とパトリック執事だった。


「久しぶりだな、蜜柑! 偽王子!」

「お久しぶりです、蜜柑様! 偽王子様!」


 彼らは、相変わらず元気そうだった。

 懐かしい再会に、私は思わず頬を緩めるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ