第六十八話 王子様のプロポーズ
せっかく来たからというので、アレクシス王子のお部屋でお茶をすることになった。アレクシス王子と私は椅子に座って、夢見国の銘菓のお茶菓子を食べながら、お茶を注いでくれているアリスの話に耳を傾けていた。
アリスは、メープル様の傍でメイドとして働くことになったそうだ。アリスの表情も明るい。アリスは、宝玉城の近況を語ってくれた。
「最近、宝玉城は平和になったんですよ~」
「本当ですか? それは何よりです」
しかし、王妃様は故郷に帰り、第四王妃様はいまだ行方不明らしい。
ローズ第三王妃様が正妃様になり、ギルバート王子がご結婚されて孫が生まれたので、国王様も笑うことが多くなったという。
「良かったですね~」
『宝玉城が平和になって良かったですよね~』
「そうなんですよ~、蜜柑様~偽王子様~」
アレクシス王子も前の席に座って微笑んでいる。そして、ティーカップを傾けている。アレクシス王子も、宝玉国の国王様とギルバート王子が幸せになって嬉しかったのだろう。
私はメイドのアリスからそんな話を聞きつつ、私も今までの出来事をアレクシス王子の前で語ったりした。
「でも、アレクシス様、聴いてくださいよ! この腕輪、私の世界で売ったら、千円にしかなりませんでした! 千円ですよ!」
アレクシス王子が笑い出したので、私は怒った。
「なんでそこで笑うんですか!」
『そうだよ~! 蜜柑ちゃんの言うとおりだよ~!』
「蜜柑の国の通貨は知らないが、二束三文なのだろうということだけは分かったからな」
アレクシス王子の頭の良さは相変わらずだ。私はムッとして腕を引っ込めた。
そんな私に、アレクシス王子がニヤリと笑って続けた。
「でも、二束三文の腕輪を高く売る方法があるのは知っているか?」
「えっ!? ど、どうすればいいんですか!?」
私は思わず身を乗り出した。
「こちらの世界では、国宝級なのだからこちらで売ればいいだろう?」
私は椅子に座りなおして俯いた。
異世界で売っても意味がないじゃないか。
異世界の通貨は日本では使えない――。
「あっ! そ、そうか!」
私は閃いて立ち上がった。
「異世界で腕輪を売って、金に変えれば良いんだ! そして、私の国で売れば……!」
「なんだ、蜜柑もなかなかやるじゃないか」
アレクシス王子は私の事を見直したように微笑んでいる。
これで、両親を楽させてあげられる――。
『良かったね~、蜜柑ちゃん~』
「うん!」
「……それはともかく、また蜜柑に妖精としての仕事を頼みたいんだが……」
妖精としての仕事か。またアレクシス王子のもとで働くのも悪くない。
「……私にできることなら」
「では、お仕事をお願いしよう」
一体今度の任務は何なのだろう。アレクシス王子の事だから、結構な面倒事かもしれない。けれど、姉の出来なかった任務をこなせた私なのだから、今度だってできるはずだ。
アレクシス王子が椅子から立ち上がった。
そうして、私の座っている椅子の横で跪いた。
「蜜柑さん、私の妻になってください」
えっ……? なんて言ったの?
また私はひとの話を聞きのがしたようだ。
「えーと?」
私は目をぱちくりさせた。
アレクシス王子は、挫けることもなく、私の目を見て続けた。
「私の妻になって、ずっと傍にいてください」
「……!」
今度こそはっきりと聞こえた。
私は、跪いたアレクシス王子を瞠目した自分の目に映した。
そして、時間が止まったように硬直していた。
「最近、アレクシス様は、お妃候補を探しているんです」
パトリック執事がアレクシス王子の助け舟を出した。
「アレクシス様がすべて断っていた理由がはっきりしました。蜜柑様がお妃になってくだされば、万事解決です!」
「お、お断りします……! 私、偽王子君が大好きだから……!」
『み、蜜柑ちゃん……!』
偽王子君は、異空間をピンク色にさせてぐるんぐるんさせている。
私は、偽王子君を振り返った。
「私は、異空間でも偽王子君が大好きなの!」
しかし、偽王子君は、真っ赤になって湯気を出している。
もしかして、偽王子君は、オーバーヒート?
あ、アレ?
元第三王妃様は、アレクシス王子に毒を盛っていないし亡き者にしようとしてないので、途中で蜜柑に協力し始めたから、こういうハッピーエンドにしてみました。でも、蜜柑がアレクシス王子と結婚でも良かったかも?




