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異空間王子と妖精少女は王子様のスパイ  作者: 幻想桃瑠
◆◆◆――最終章 偽王子を取り戻して幸せな結末を確保せよ!――◆◆◆
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第六十五話 蜜柑VS黒幕

 私は凄まじい感情を抱えながら、姉の部屋に帰った。そして、余弦国の予言城に異空間を転移させる。余弦国は雨が降っているようだった。


 そして、私は黒幕を見つけた。

 黒幕はグラナート王子と何事か会話をしていた。

 私は、半トリップして、黒幕の名を叫んだ。


「バベル!」


 姉の手紙に書かれていたのは、バベルの名だったのだ。

 窓の外の暗闇が稲妻で明滅した。

 敬称のない呼び方に、黒幕のバベルは驚いてこちらを振り向いた。

 バベルの顔が冷ややかな表情に取って代わった。

 グラナート王子は瞠目している。

 私は、手にほうきを持ったまま、構わずに叫んだ。


「バベル! 吉永檸檬を……お姉ちゃんを返せ!」

「バベル……? どういうことだ……?」


 グラナート王子は、怪訝そうにバベルを窺っている。


「バベル……?」


 尋ねるグラナート王子を捨て置いて、バベルはこちらに歩いてきた。


「事情は知っているようですね、どうやら……?」

「アンタが、私のお姉ちゃんを手にかけたんでしょ!」


 バベルは狂ったように大笑いした。ゾッとするような笑い方だった。


「そうですよ! 私は妖精の力が欲しかった! この余弦国を支配するために!」

「なんだと!? バベル、お前は……! ぐぅ……!」


 グラナート王子は何事か叫んだが、頭を押さえて椅子にもたれていた。

 グラナート王子の記憶が戻ろうとしているのだろうか。


「蜜柑さん、願い星って知ってますか?」と、バベルが訊いてきた。

「知ってる! 願いを叶えてくれるアイテムでしょ!」


 願い星で、偽王子君の願いを叶えてきた。だからその事は既知していた。


「その願い星にお願いして、私の身体に吉永檸檬を吸収しました。そして、グラナート殿下の記憶を消したのです!」

「……ッ! お姉ちゃんをよくも!」


 バベルがこちらに歩いてきた。


「でも、私は不完全だ。手に入れられなかったものがある。妖精になったのにこれがなくては意味がない」


 ほうきを持って身構える私をバベルは掴んだ。

 そして、余弦城の中に私を引きずり込んだ!


「きゃっ!」

『蜜柑ちゃん!』


 しかし、妖精の私にバベルは『見向きもしなかった』。私は慌てて振り向いた。

 バベルは異空間と向き合ってニヤリと笑って手を伸ばしていた。

 そうか! 狙いは私じゃない。偽王子君の異空間なんだ!

 しかし、偽王子君は私を攻撃すると思ったらしい。

 偽王子君は叫んだ。


『蜜柑ちゃんに触るな! 蜜柑ちゃんは、俺が守る!』

「偽王子君!?」


 偽王子君は、異空間をぐるんぐるんさせて、食事をする要領でバベルを宙に浮かした。

 そして、勢い良く、異空間に吸い込んでしまった。


「偽王子君ッ!」


 私は吃驚して異空間に駆け寄った。


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