第六十話 アレックス王子の結末
「展開についていけないのだが、まさかとは思うが……」
アレクシス王子は、頭痛がしたように額を手で押さえている。
再会を熱烈に喜んでいた国王様とメープル様は、二人だけの世界に入っている。
「国王陛下、お会いしたかった……!」
「歳月が流れるのは早いな、メープル」
国王様は本当にうれしそうだ。
その後で、国王様は自嘲するような反省するような表情を浮かべた。
「メープルが任務で宝玉国に行った後で、妊娠していることを知って驚いた」
「えっ? ど、どういうことですか? 任務って?」
横槍を入れるようで悪いが、気になったので訊いてみた。
メープル様が真剣な顔で頷いた。
「私は、夢見国の諜報員……。つまり、スパイなのです」
『「ええええええええええ!?」』
「そして、宝玉国に行く前、私と国王様は恋仲だったのです」
『「えええええええええええええ!?」』
第二王妃様が夢見国のスパイ……!? 国王様と恋仲……!?
アレクシス様を振り返ると、魂が抜けたように目がうつろになっていた。
「しかも、奪われた我が子を取り返すためにメープルが宝玉国の第二王妃になったことを聴いたときには、この世の終わりのごとく後悔した」
そして、夢見国の国王様は、アレクシス王子の前まで歩いてきた。
そうして、アレクシス様の両手を取った。
「だが、今回のアレクシス王子のご訪問で彼に会い、私は確信した」
「な、何を……?」
アレクシス様は、狼狽えまくって瞳を揺らしている。
「アレクシス王子は、私にそっくりではないか! アレクシス王子が私とメープルの息子であることに間違いはないのだと!」
『「な、なんだって~!?」』
そ、そうか……! 国王様を見た時のデジャビュって、アレクシス様に国王様が妙に似ていたからなんだ……!
道理で、今回のご公務が上手く行ったわけだ。頑固な夢見国の国王様が首を縦に振ったのは、アレクシス様が我が子だとすぐに分かったからなんだ。
「これから、メープルを夢見国の王妃として、アレクシスを夢見国の王子として、私の国に迎え入れる! それで構わないな?」
「ふう……っ!」
「ああっ、アレクシス様!?」
今度こそ、アレクシス様は眩暈がしたように倒れてしまった。
まさか、シンデレラストーリーだったとは。
小さな宝玉国で虐げられていた王子様が、大国の夢見国の王子様になって幸せに暮らすという結末なのか。
「大丈夫でございますか、アレクシス殿下」
「あ、ああ……」
倒れたアレクシス王子を、パトリック執事が感動したように涙を浮かべて起こしている。
メープル王妃様も国王様も目を細めてそれを眺めている。
『良かったよね、蜜柑ちゃん』
「うん、本当に良かったよ……!」
暖かな視線がアレクシス王子に向けられていることを知って、私も目頭を熱くするのだった。
これで、最終話ではありません。次回から、最終章に入ります。恋愛にも結末がありますので、続きもお読みくだされば幸いです。




